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始まりの章 女神領の決闘 編
第四話 領主カイザンと元領主〜外交司官〜
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大図書館内で領主代理の件の一応の解決と、副産物的に知識書を得た。
次に向かうべき場所は、商業区。アミネス曰く、旅に必要な物品を何かと揃える必要があるとのこと。考えれば誰でも思い付くことを偉そうに言っていた件は、今後のためにも指摘しないでおく。
女神領の商業区は、他の領地に比べても随一な程の面積を誇る広大さがある。そのためか、領内の大半を商業区関連の土地が占めており、品数は小物も含め、軽く一億を超えているとか。理由は、各大陸の領地から様々な物が取り寄せられているからだ。本来であれば、領民と認定許可された商人のみの立ち入りが許されている場所故に、カイザンも何故だか領主なのにギッリギリ許されている身分状態にある。
・・・これだけはほんとに意味がわからない。
これに関しては、旅から戻ってくるまでに改善してほしいということにして、今はとりあえず買い物に集中。
こういう場所での買い物なので、一応、アミネスからカイザン専用のリュックっぽいカパンを造ってもらえた。一ヶ月前の輝かしい高校生活をふと思い出す。嫌な思い出が出る前にシャットアウトした。
・・・とまあ、旅に向けて順調な訳ですけども、商業区って事はまたアイツだろ。
「アミネスちゃんにカイザー様、商業区ここに何か用が?」
気配を察知したか、急に転移魔法で現れて笑顔で出迎えてきたのは、もちろんのことハイゼル。
元領主の側近であった彼女は、何十年前に人手不足からジョブチェンジしたところ、こっちで上手くいったからだそうで。
暇潰ししか頭にないカイザンとて、領主成り立ての頃は多くの上位地位の者たちの会議やら難しい話し合いやらに参加させられた時にハイゼルと共同して仕事をした時もあった。この広さを一人で管理する能力はピカイチだと個人的にも思う。...カイザンはそれほど仕事をしていなかったので、よくは分からないけど。
ハイゼルの出迎えは領主的には嬉しいが、もうちょっと心の準備とか考えてほしい。背後より、目の前で現れるのが結局一番怖い説を提唱したい。
その気持ちをグッと抑えて、返しを待つハイゼルに。
「後半部分には、そうだ。前半部分には、違うと答える」
・・・ほんの少し前にカイザーを訂正しただろ。つか、アミネスの後に呼びやがったな。こんにゃろ。俺は帝王.............じゃなくて、最強種族のカイザーだぞ。........あれ、どれが正解だっけ?
さすがに名前いじりを同じ奴から二回以上もされるのは癪に触りまくるので、今度二人だけになるタイミングがあったら罵倒を繰り返してやりたいと思う。
・・・今度、だから近々は無理だな。殴ったりとかも勇気出ないから、やめておこう。
何度も言うが、女神領商業区はハイゼルの管理下にある。
カイザンは腐っても、腐り切っても、骨だけになっても領主。商業区を歩くだけでも彼女の同行は必要とされる。
・・・まったく、面倒な身分だ。
「なら、エイメルさんと交代されては?」
「そんなことしたら復讐真っしぐらだろ。最高地位に戻られたら俺終わりだよ」
「根はお優しい方ですから、命はともかく、自尊心までは取りませんよ」
「お前、俺のこと、命より自尊心プライドが大事な男だと認識してんのか?」
えっ、違うんですか?と言った顔を見せてきた。
一見、仲良さそうに命だの復讐だの残酷な話をする二人。今はハイゼルに連れられて目的地へと向かっているから付いて行けばいいだけだから言い返し放題。..............なのだが、前触れなく足を止めたハイゼルは振り返って、
「カイザン様、何処に向かわれるのですか?」
「いや、知らないで案内してたのかよ」
・・・こいつ、絶対に女神種で一番ヤバいだろ。精神鑑定しよう、公的な場所で。
頭のネジが一本抜けてるとかじゃなく、貫通して脳細胞を傷付けまくっているのだろう。エイメルやアミネス曰くの、ハイゼルは仕事をキチンとこなしてるとかが嘘としか思えない。一緒に仕事をした時の記憶とか多分、思い描いた理想的な。
思わず嘆息して、ハイゼルに分かりやすくちゃんと伝えてあげることにした。幼児期でも分かるように。
「あのね、俺たちはね、旅にね、行くためのね、準備がね、商業区でね、整えられるんだね....じゃなくて、整えられるんだよ」
文節で区切れば分かってくれるだろうという判断の下、優しく教えてあげた。すると、ハイゼルは何かを理解して、聞いてはいけないことを聞くかのように恐る恐る尋ねてきた。
「カイザン様、大丈夫ですか?」
「お前のウィルスぐちゃぐちゃにしてやろうか?」
・・・こいつ、哀れんできやがった。ムカつく聞き方さやがって。
実際にはウィル種にそんな能力は存在していないのに、お前殺すぞ並みに言い返した。自分はあまり短気でないと自負するカイザンがここまで感情的になったのは久しぶりの事だ。
アミネスの影に隠れて激しく深呼吸、怒りを抑えるために尽力する。今度は試しに普通に言ってみよう。
「おっし、旅に役立つもんとか売ってる場所に案内してくれよ」
「分かりました、はい」
「逆じゃない?」
・・・ってか、普通に分かるのかよ。何だったんだ、俺のあの文節分けはよぉ。
どうにかして、ハイゼルとの関わり合いを減らそうと決意する。
案内は大丈夫だろうとの思いでハイゼルの背中を追う二人。そこで、カイザンが不意に「そう言えば」と、アミネスに疑問をぶつけた。
「エイメルの時は、本を借りただけじゃんか」
「はい、そうですけど、それがどうかしましたか?」
「旅の準備って、お金の方はどうすんの?」
今更ながら思った。よくよく考えれば、旅に出れば絶対必要となるものだ。旅に出たいと言いながら全く計画を立てていなかった自分が悪いというのはちゃんと理解しているから。
まあ、アミネスならそこら辺できている。と信じての質問。その期待に対してアミネスが返したのは、
「それについては大丈夫です。本来、領主への支給として払われる資金は全て、私が保管していますから。これが.......先週の」
「.....ぐっ」
アミネスがカバンから給料らしき封筒を取り出した直後、反射的にあらゆるツッコミを忘れたカイザンが奪い取ろうと飛びかかった。
しかし、封筒を持つ手を軽く傾けられ、略奪に失敗。勢い余ってすぐ横に積まれていた箱に顔面から突っ込み、そのまま一回転。
いつまでも無様な姿を見せる訳にはいかないので、しれっとすぐに立ち上がっみた。
この間、ハイゼルは背後の小騒ぎに一切振り向こうとしなかった件については、これもまた怖いので見なかったことにしよう。
立ち上がったカイザンは、ぶつけた顔を押さえて何事もなかったかのように歩くアミネスにすっと並走する。
「酷い、顔はダメだろ。もうお嫁にいけないじゃないか」
「何がどうなってもお嫁にはいけませんよ」
「今の時代は違ぎゃっほ」
いつもと変わらない、一方が消極的な言い争いの中、カイザンが変な声を出して踏み出そうとしていた足を後ろに退いた。
原因は、突然にも足を止めたハイゼル。危うく顔面から背中にぶつかりそうになった。上位地位の女神種の服装のだいたいが背中開いてるから本当にセーフ。
変な声を出さされたことに普通にムカついたから悪態をつこうとするカイザン。しかし、その瞬間、ハイゼルを含めたおそらく女神領の全ての女神種が何かに気付いたように空へと視線を向けているのが分かった。
突然の反応、驚きながらも同じ方向を見てみ.........何も見えない。彼女らはきっとただ遠くを見つめているのではなく、気配的に何かを見つめているのだろう。
「おい、急に何?」
目の前で手を振ったりして注意を引くと、
「....帰って来ましたね」
視線をずらさぬまま、明確とは言えない答えを述べてきた。
「主語を抜かすな。帰って来た?それってのは、ダ・レな訳?」
カイザンの二度目の質問に対し、ハイゼルは一向に視線を逸らさないまま無視を続けている。
・・・あまり関わりたくない女神一位だけど、反応されないのはスゴく悲しいぞ。
領主の質問への答えを即答しないなんて、カイザンの機嫌が悪かったら反省文八百文字以上並みの罰が必要だ。
最終的に目を閉じて意識の中で会話らしきことを始めたハイゼル。何か怖いから懲罰に関しては置いといて、説明は困った時のアミネスに任せよう。
「時期的に考えて、エイメルさんが仰っていた外交官、ミルヴァーニさんですよ」
「あーあの。もう帰って来たったんだ。その、何とかさん」
「ミルヴァーニ・メービラス、さんです。重要人物ですので、しっかりと覚えてくださいよ」
・・・ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ。
何故か心の中で復唱するカイザン。アミネスだからいいものの、側から見て黙り込んでる様子に。
そんな復唱にやたら時間をかけると、
「........うん、面倒だから代わりに覚えておいてよ」
投げやりでも投げ出した訳でもない。適材適所を真っ当したまでだ。そもそも、女神領領主なカイザンが何故そんな面倒なことをしなければならないんだ。という言い訳を復唱の間に考えていた。覚えるのをそっちのけにして。
たまらず、アミネスも本日何度目かのため息を吐く。幸せの逃げまくりだ。
「カイザンさんの脳って、設計やら構成やら、もろもろ雑な作りなんですね。もちろん、褒めてますよ」
「未だかつて、雑を使った褒め言葉を俺は知らないんだけど」
一つ、可能性があるとすれば、日本と異世界とでは言語解釈が微妙に違うんじゃないか説。アミネスが後半にもちろんを付け足した時点でそれは説立証ならずだ。
「まあ、そのメービラスってやつ」
「どうして、家名を覚えたんですか?」
「....女神領領主な俺がお出迎えに行った方がいい感じだよな?」
結局覚えられなかった名前はいつかの時にきっと暗記するだろうと考えて、そろそろ話を進めないと。
ふと周りを見れば、周りの女神種が続々と平常運行へと戻っていた。
当然、いつの間にか魂が戻ってきていたハイゼルがカイザンの疑問を受け取ると、何か言いにくそうにあたふたし始め、目を泳がしたり言葉に詰まったり難しい顔をしたりの果て、計三分かけてやっと口を開いた。
・・・お前も話が進まない原因だよな。間違いなく。
「難しいことに、あの方は。ミルヴァーニ様は、元領主エイメル様に四千年間仕えてきた方なのです。....要するに、女神種で一番彼女を崇拝し、絶対的忠誠を捧げている。ということです」
「女神領領主な俺の大切な三分と天秤にかけたらシーソー式に飛んでいくような情報なんだけど」
カイザンの遠回しな例え方に、しばらく沈黙ができる。
例え内容がよく分からないからではない。カイザンの偏差値を一とするならば、二人は五十。くだらないと思いながらも理解している。理解できていないのは、カイザンの方だ。
説明はいつも、アミネスのため息から始まる。
「言ったかもですけど、カイザンさんの脳って雑な作り方されてますよね」
「できれば、聞かなかったことにしたいけどな」
・・・って言うか、急な物言いはもはや罵倒だよ。
と考えるが、アミネスとて理由なく罵倒.......からかいをする筈がない。と信じたい。と思いたい。
「あの、カイザンさんの察しが悪いのは知ってましたけど、ここまでなんて驚きを隠せません。隠す気もしません。・・・・つまりは、ですね。ハイゼルさんも含め、多くの女神種の方々がエイメルさんとカイザンさんの決闘を目撃しています。あの光景を観ていたからこそ、カイザンさんを領主と仰いでいる方も多い筈。ですから、それを目撃せず、この領で最もエイメル様を深く信仰していたミルヴァーニさんが、急に現れた非新進気鋭の帝王さんに逆らうことなく、純朴に従ずると思いますか?」
・・・一部、心から訂正させてもらうぞ。知らない四字熟語に非を付けられたのはともかく、帝王って誰だ?せめてカイザーにしろよ.......いや、カイザーもダメだけどさ。
と心の声は裏の方で、表ではしっきりと答える。
「従ずるんじゃね?」
日常的に心の声を使いこなしていたが故に、制御は完璧だ。
しかし、心の方ばかりに気が行ってしまい、内容がテキトーになってしまうことも。発言から数秒後にどうして自分があの結論に至ったのかと悩むのはいつものこと。進歩と進化をしないのが、女神領領主なカイザンだ。
何も考えずに出した答えを、アミネスは、
「........従ずる。その考えも一理あるかもですね。一度、会いに行ってみましょう。きっと上手くいきますよ」
満面の笑みでそう言うと、気配の発生源たる方向を指した。
浮かべられた笑みの意味を、カイザンは知っている。
「ウソ、大変なことになるって顔で言ってる」
悪戯も度を過ぎたら事件になりかねない。
でも実際のところ、前置きなしに急にカイザンが現れたら本当に危ないかもしれない。何千年級の忠誠、反乱を起こすのは決して不思議なことではないのだから。
誰かに、先に行って説明してもらう必要がある。
・・・アミネスだと俺のことを心の底から悪く言うかもだし、エイメルは普通に考えて余裕でアウト。となると......仕方ないか。
エイメルに任せてしまった場合、元の地位を求めてミルヴァーニと共闘とかされそう。そうなってしまうと、全女神種が.....考えない方がいい。
幸い、女神領には誰にも逆らえない掟がある以上、一対一の決闘にはなってくれる。そうなれば、ウィル種は負けない。実に、カイザンに優しい領である。
「ハイゼル」
「はっはい。何でしょう?」
明らかなる年上から敬語で返されるこの快感はいつ感じても素晴らしい。
カイザンに声をかけられてとっさに反応したハイゼル。近くにあった店の机を借り、ミルヴァーニ用に商業区の管理書類をまとめていた仕事前向き女神。その書類、どっから出した等の疑問は呑み込む。
「お前が先に行って、俺のことを言っといてくれよ。なるべく穏便に、絶対に素晴らしい感じで伝えておけよな」
「なるべくと絶対にの位置が反対ですよ」
身の危険より風評が大事、世論に敏感な領主様だ。.....領主は別に、選挙で決められたり不信任案とか出ないけど、従ってもらえないとただの独裁政治。
・・・是非、ハイゼルには頑張って言葉を探してもらいたい。
年下から言語能力を期待されるハイゼルは、任された役目に関して疑問を見つけた。
「あの、カイザン様も来られるんですよね?」
女神が下手から恐る恐る聞いてくる様子が実に爽快だ。様付けで敬語だぞ。何回聞いても飽きないからいい。
なんて浸っているとアミネスから白い目で見られるのは既知のことなので、平静を装いながらさっと答える。
「もちろん、俺たちも挨拶しに行くぜ。そいつはエイメルの言ってた見込み十分女神だからな」
・・・説明の甲斐あって従ってくれるならすぐに命令するし、従わないのならぶん殴ってでも無理やり忠誠を誓わせるか。
後者も一つの選択肢としてあるが、心も体も肩書き以外はまだまだ十六歳。そんな勇気は到底ない。アミネスは、カイザンならやりかねないと思っていることは置いといて、ハイゼルの役目が重要視される。
「では、できる限りの説明をこちらで。口上手な他の者にも救援を要請し、女神種史上最高に完璧な対応をさせていただきます」
今から戦争です、と同じくらいの声音と勢いで安心してと言わんばかりのハイゼル。
「そんなにもの奴なのか。会って早々に怒り狂ったように魔法放ってきたりしないよね?」
・・・想像したら逆に盛り上がる展開だな。二日はつまらなく居られそう。.....治療室で。
女神種の持つ特殊能力[魔力増幅]は、あらゆる魔法の威力や範囲、付与された効果すらも魔力量に応じて倍増させるというもの。
あの時はエイメルにそれをさせる前に改ざんしてやったが、奇襲されたりしたら対応の仕様がない。転生する前と同じ身体能力で軽く避けられるような魔法は撃たないだろうし。
想像がどんどんと広がり、怖くなって下顎が猛烈に震え始めた頃、同じく想像していたハイゼルはカイザンとは違った結論に至ったようで、
「確かに、多方面において何かと行動力のある方ですが、会って直ぐに決闘を申し込んだりはしませんよ。.....敵と見なすその時までは」
最後を怖がらせたいのか、声音をやたらと低くして言うと、指先に無色の魔力を込め始めた。
さっき大図書館で見たばかりの転移魔法だ。どうやらもう行ってしまうらしい。聞くこと頼むことはあらかた片付いた訳だし、安心して物品集めを再開....。
「いや、できねぇだろっ!!」
ハイゼルの最後の一言に、カイザンは自分でも耳を塞ぎたくなる程の怒号を言い放った。
次回予告雑談
カイザン&エイメル
「なあ、エイメルよ」
「はい?」
「お前は、相当に頑張っていたんだな」
「何ですか、急に」
「領主仕事って大変だなぁーって思ってさ。俺なんか書類と目が合っただけで投げ出したぞ。他の女神に」
「カイザン様は雑務が苦手なのですね」
「俺が普通の反応。お前が異常。過去の仕事量とか聞いたけど、どれだけ頑張ったらお前並みに働けるんだよ。意味分かんねぇ」
「では、私から。次回、最暇の第五話「領主カイザンと代理女神」....私の代わりだなんて考えないでよろしいのに」
「いや、そういうのじゃなくて。俺がお前よりも下に見られてる問題だよ」
次に向かうべき場所は、商業区。アミネス曰く、旅に必要な物品を何かと揃える必要があるとのこと。考えれば誰でも思い付くことを偉そうに言っていた件は、今後のためにも指摘しないでおく。
女神領の商業区は、他の領地に比べても随一な程の面積を誇る広大さがある。そのためか、領内の大半を商業区関連の土地が占めており、品数は小物も含め、軽く一億を超えているとか。理由は、各大陸の領地から様々な物が取り寄せられているからだ。本来であれば、領民と認定許可された商人のみの立ち入りが許されている場所故に、カイザンも何故だか領主なのにギッリギリ許されている身分状態にある。
・・・これだけはほんとに意味がわからない。
これに関しては、旅から戻ってくるまでに改善してほしいということにして、今はとりあえず買い物に集中。
こういう場所での買い物なので、一応、アミネスからカイザン専用のリュックっぽいカパンを造ってもらえた。一ヶ月前の輝かしい高校生活をふと思い出す。嫌な思い出が出る前にシャットアウトした。
・・・とまあ、旅に向けて順調な訳ですけども、商業区って事はまたアイツだろ。
「アミネスちゃんにカイザー様、商業区ここに何か用が?」
気配を察知したか、急に転移魔法で現れて笑顔で出迎えてきたのは、もちろんのことハイゼル。
元領主の側近であった彼女は、何十年前に人手不足からジョブチェンジしたところ、こっちで上手くいったからだそうで。
暇潰ししか頭にないカイザンとて、領主成り立ての頃は多くの上位地位の者たちの会議やら難しい話し合いやらに参加させられた時にハイゼルと共同して仕事をした時もあった。この広さを一人で管理する能力はピカイチだと個人的にも思う。...カイザンはそれほど仕事をしていなかったので、よくは分からないけど。
ハイゼルの出迎えは領主的には嬉しいが、もうちょっと心の準備とか考えてほしい。背後より、目の前で現れるのが結局一番怖い説を提唱したい。
その気持ちをグッと抑えて、返しを待つハイゼルに。
「後半部分には、そうだ。前半部分には、違うと答える」
・・・ほんの少し前にカイザーを訂正しただろ。つか、アミネスの後に呼びやがったな。こんにゃろ。俺は帝王.............じゃなくて、最強種族のカイザーだぞ。........あれ、どれが正解だっけ?
さすがに名前いじりを同じ奴から二回以上もされるのは癪に触りまくるので、今度二人だけになるタイミングがあったら罵倒を繰り返してやりたいと思う。
・・・今度、だから近々は無理だな。殴ったりとかも勇気出ないから、やめておこう。
何度も言うが、女神領商業区はハイゼルの管理下にある。
カイザンは腐っても、腐り切っても、骨だけになっても領主。商業区を歩くだけでも彼女の同行は必要とされる。
・・・まったく、面倒な身分だ。
「なら、エイメルさんと交代されては?」
「そんなことしたら復讐真っしぐらだろ。最高地位に戻られたら俺終わりだよ」
「根はお優しい方ですから、命はともかく、自尊心までは取りませんよ」
「お前、俺のこと、命より自尊心プライドが大事な男だと認識してんのか?」
えっ、違うんですか?と言った顔を見せてきた。
一見、仲良さそうに命だの復讐だの残酷な話をする二人。今はハイゼルに連れられて目的地へと向かっているから付いて行けばいいだけだから言い返し放題。..............なのだが、前触れなく足を止めたハイゼルは振り返って、
「カイザン様、何処に向かわれるのですか?」
「いや、知らないで案内してたのかよ」
・・・こいつ、絶対に女神種で一番ヤバいだろ。精神鑑定しよう、公的な場所で。
頭のネジが一本抜けてるとかじゃなく、貫通して脳細胞を傷付けまくっているのだろう。エイメルやアミネス曰くの、ハイゼルは仕事をキチンとこなしてるとかが嘘としか思えない。一緒に仕事をした時の記憶とか多分、思い描いた理想的な。
思わず嘆息して、ハイゼルに分かりやすくちゃんと伝えてあげることにした。幼児期でも分かるように。
「あのね、俺たちはね、旅にね、行くためのね、準備がね、商業区でね、整えられるんだね....じゃなくて、整えられるんだよ」
文節で区切れば分かってくれるだろうという判断の下、優しく教えてあげた。すると、ハイゼルは何かを理解して、聞いてはいけないことを聞くかのように恐る恐る尋ねてきた。
「カイザン様、大丈夫ですか?」
「お前のウィルスぐちゃぐちゃにしてやろうか?」
・・・こいつ、哀れんできやがった。ムカつく聞き方さやがって。
実際にはウィル種にそんな能力は存在していないのに、お前殺すぞ並みに言い返した。自分はあまり短気でないと自負するカイザンがここまで感情的になったのは久しぶりの事だ。
アミネスの影に隠れて激しく深呼吸、怒りを抑えるために尽力する。今度は試しに普通に言ってみよう。
「おっし、旅に役立つもんとか売ってる場所に案内してくれよ」
「分かりました、はい」
「逆じゃない?」
・・・ってか、普通に分かるのかよ。何だったんだ、俺のあの文節分けはよぉ。
どうにかして、ハイゼルとの関わり合いを減らそうと決意する。
案内は大丈夫だろうとの思いでハイゼルの背中を追う二人。そこで、カイザンが不意に「そう言えば」と、アミネスに疑問をぶつけた。
「エイメルの時は、本を借りただけじゃんか」
「はい、そうですけど、それがどうかしましたか?」
「旅の準備って、お金の方はどうすんの?」
今更ながら思った。よくよく考えれば、旅に出れば絶対必要となるものだ。旅に出たいと言いながら全く計画を立てていなかった自分が悪いというのはちゃんと理解しているから。
まあ、アミネスならそこら辺できている。と信じての質問。その期待に対してアミネスが返したのは、
「それについては大丈夫です。本来、領主への支給として払われる資金は全て、私が保管していますから。これが.......先週の」
「.....ぐっ」
アミネスがカバンから給料らしき封筒を取り出した直後、反射的にあらゆるツッコミを忘れたカイザンが奪い取ろうと飛びかかった。
しかし、封筒を持つ手を軽く傾けられ、略奪に失敗。勢い余ってすぐ横に積まれていた箱に顔面から突っ込み、そのまま一回転。
いつまでも無様な姿を見せる訳にはいかないので、しれっとすぐに立ち上がっみた。
この間、ハイゼルは背後の小騒ぎに一切振り向こうとしなかった件については、これもまた怖いので見なかったことにしよう。
立ち上がったカイザンは、ぶつけた顔を押さえて何事もなかったかのように歩くアミネスにすっと並走する。
「酷い、顔はダメだろ。もうお嫁にいけないじゃないか」
「何がどうなってもお嫁にはいけませんよ」
「今の時代は違ぎゃっほ」
いつもと変わらない、一方が消極的な言い争いの中、カイザンが変な声を出して踏み出そうとしていた足を後ろに退いた。
原因は、突然にも足を止めたハイゼル。危うく顔面から背中にぶつかりそうになった。上位地位の女神種の服装のだいたいが背中開いてるから本当にセーフ。
変な声を出さされたことに普通にムカついたから悪態をつこうとするカイザン。しかし、その瞬間、ハイゼルを含めたおそらく女神領の全ての女神種が何かに気付いたように空へと視線を向けているのが分かった。
突然の反応、驚きながらも同じ方向を見てみ.........何も見えない。彼女らはきっとただ遠くを見つめているのではなく、気配的に何かを見つめているのだろう。
「おい、急に何?」
目の前で手を振ったりして注意を引くと、
「....帰って来ましたね」
視線をずらさぬまま、明確とは言えない答えを述べてきた。
「主語を抜かすな。帰って来た?それってのは、ダ・レな訳?」
カイザンの二度目の質問に対し、ハイゼルは一向に視線を逸らさないまま無視を続けている。
・・・あまり関わりたくない女神一位だけど、反応されないのはスゴく悲しいぞ。
領主の質問への答えを即答しないなんて、カイザンの機嫌が悪かったら反省文八百文字以上並みの罰が必要だ。
最終的に目を閉じて意識の中で会話らしきことを始めたハイゼル。何か怖いから懲罰に関しては置いといて、説明は困った時のアミネスに任せよう。
「時期的に考えて、エイメルさんが仰っていた外交官、ミルヴァーニさんですよ」
「あーあの。もう帰って来たったんだ。その、何とかさん」
「ミルヴァーニ・メービラス、さんです。重要人物ですので、しっかりと覚えてくださいよ」
・・・ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ、ミルヴァーニ。
何故か心の中で復唱するカイザン。アミネスだからいいものの、側から見て黙り込んでる様子に。
そんな復唱にやたら時間をかけると、
「........うん、面倒だから代わりに覚えておいてよ」
投げやりでも投げ出した訳でもない。適材適所を真っ当したまでだ。そもそも、女神領領主なカイザンが何故そんな面倒なことをしなければならないんだ。という言い訳を復唱の間に考えていた。覚えるのをそっちのけにして。
たまらず、アミネスも本日何度目かのため息を吐く。幸せの逃げまくりだ。
「カイザンさんの脳って、設計やら構成やら、もろもろ雑な作りなんですね。もちろん、褒めてますよ」
「未だかつて、雑を使った褒め言葉を俺は知らないんだけど」
一つ、可能性があるとすれば、日本と異世界とでは言語解釈が微妙に違うんじゃないか説。アミネスが後半にもちろんを付け足した時点でそれは説立証ならずだ。
「まあ、そのメービラスってやつ」
「どうして、家名を覚えたんですか?」
「....女神領領主な俺がお出迎えに行った方がいい感じだよな?」
結局覚えられなかった名前はいつかの時にきっと暗記するだろうと考えて、そろそろ話を進めないと。
ふと周りを見れば、周りの女神種が続々と平常運行へと戻っていた。
当然、いつの間にか魂が戻ってきていたハイゼルがカイザンの疑問を受け取ると、何か言いにくそうにあたふたし始め、目を泳がしたり言葉に詰まったり難しい顔をしたりの果て、計三分かけてやっと口を開いた。
・・・お前も話が進まない原因だよな。間違いなく。
「難しいことに、あの方は。ミルヴァーニ様は、元領主エイメル様に四千年間仕えてきた方なのです。....要するに、女神種で一番彼女を崇拝し、絶対的忠誠を捧げている。ということです」
「女神領領主な俺の大切な三分と天秤にかけたらシーソー式に飛んでいくような情報なんだけど」
カイザンの遠回しな例え方に、しばらく沈黙ができる。
例え内容がよく分からないからではない。カイザンの偏差値を一とするならば、二人は五十。くだらないと思いながらも理解している。理解できていないのは、カイザンの方だ。
説明はいつも、アミネスのため息から始まる。
「言ったかもですけど、カイザンさんの脳って雑な作り方されてますよね」
「できれば、聞かなかったことにしたいけどな」
・・・って言うか、急な物言いはもはや罵倒だよ。
と考えるが、アミネスとて理由なく罵倒.......からかいをする筈がない。と信じたい。と思いたい。
「あの、カイザンさんの察しが悪いのは知ってましたけど、ここまでなんて驚きを隠せません。隠す気もしません。・・・・つまりは、ですね。ハイゼルさんも含め、多くの女神種の方々がエイメルさんとカイザンさんの決闘を目撃しています。あの光景を観ていたからこそ、カイザンさんを領主と仰いでいる方も多い筈。ですから、それを目撃せず、この領で最もエイメル様を深く信仰していたミルヴァーニさんが、急に現れた非新進気鋭の帝王さんに逆らうことなく、純朴に従ずると思いますか?」
・・・一部、心から訂正させてもらうぞ。知らない四字熟語に非を付けられたのはともかく、帝王って誰だ?せめてカイザーにしろよ.......いや、カイザーもダメだけどさ。
と心の声は裏の方で、表ではしっきりと答える。
「従ずるんじゃね?」
日常的に心の声を使いこなしていたが故に、制御は完璧だ。
しかし、心の方ばかりに気が行ってしまい、内容がテキトーになってしまうことも。発言から数秒後にどうして自分があの結論に至ったのかと悩むのはいつものこと。進歩と進化をしないのが、女神領領主なカイザンだ。
何も考えずに出した答えを、アミネスは、
「........従ずる。その考えも一理あるかもですね。一度、会いに行ってみましょう。きっと上手くいきますよ」
満面の笑みでそう言うと、気配の発生源たる方向を指した。
浮かべられた笑みの意味を、カイザンは知っている。
「ウソ、大変なことになるって顔で言ってる」
悪戯も度を過ぎたら事件になりかねない。
でも実際のところ、前置きなしに急にカイザンが現れたら本当に危ないかもしれない。何千年級の忠誠、反乱を起こすのは決して不思議なことではないのだから。
誰かに、先に行って説明してもらう必要がある。
・・・アミネスだと俺のことを心の底から悪く言うかもだし、エイメルは普通に考えて余裕でアウト。となると......仕方ないか。
エイメルに任せてしまった場合、元の地位を求めてミルヴァーニと共闘とかされそう。そうなってしまうと、全女神種が.....考えない方がいい。
幸い、女神領には誰にも逆らえない掟がある以上、一対一の決闘にはなってくれる。そうなれば、ウィル種は負けない。実に、カイザンに優しい領である。
「ハイゼル」
「はっはい。何でしょう?」
明らかなる年上から敬語で返されるこの快感はいつ感じても素晴らしい。
カイザンに声をかけられてとっさに反応したハイゼル。近くにあった店の机を借り、ミルヴァーニ用に商業区の管理書類をまとめていた仕事前向き女神。その書類、どっから出した等の疑問は呑み込む。
「お前が先に行って、俺のことを言っといてくれよ。なるべく穏便に、絶対に素晴らしい感じで伝えておけよな」
「なるべくと絶対にの位置が反対ですよ」
身の危険より風評が大事、世論に敏感な領主様だ。.....領主は別に、選挙で決められたり不信任案とか出ないけど、従ってもらえないとただの独裁政治。
・・・是非、ハイゼルには頑張って言葉を探してもらいたい。
年下から言語能力を期待されるハイゼルは、任された役目に関して疑問を見つけた。
「あの、カイザン様も来られるんですよね?」
女神が下手から恐る恐る聞いてくる様子が実に爽快だ。様付けで敬語だぞ。何回聞いても飽きないからいい。
なんて浸っているとアミネスから白い目で見られるのは既知のことなので、平静を装いながらさっと答える。
「もちろん、俺たちも挨拶しに行くぜ。そいつはエイメルの言ってた見込み十分女神だからな」
・・・説明の甲斐あって従ってくれるならすぐに命令するし、従わないのならぶん殴ってでも無理やり忠誠を誓わせるか。
後者も一つの選択肢としてあるが、心も体も肩書き以外はまだまだ十六歳。そんな勇気は到底ない。アミネスは、カイザンならやりかねないと思っていることは置いといて、ハイゼルの役目が重要視される。
「では、できる限りの説明をこちらで。口上手な他の者にも救援を要請し、女神種史上最高に完璧な対応をさせていただきます」
今から戦争です、と同じくらいの声音と勢いで安心してと言わんばかりのハイゼル。
「そんなにもの奴なのか。会って早々に怒り狂ったように魔法放ってきたりしないよね?」
・・・想像したら逆に盛り上がる展開だな。二日はつまらなく居られそう。.....治療室で。
女神種の持つ特殊能力[魔力増幅]は、あらゆる魔法の威力や範囲、付与された効果すらも魔力量に応じて倍増させるというもの。
あの時はエイメルにそれをさせる前に改ざんしてやったが、奇襲されたりしたら対応の仕様がない。転生する前と同じ身体能力で軽く避けられるような魔法は撃たないだろうし。
想像がどんどんと広がり、怖くなって下顎が猛烈に震え始めた頃、同じく想像していたハイゼルはカイザンとは違った結論に至ったようで、
「確かに、多方面において何かと行動力のある方ですが、会って直ぐに決闘を申し込んだりはしませんよ。.....敵と見なすその時までは」
最後を怖がらせたいのか、声音をやたらと低くして言うと、指先に無色の魔力を込め始めた。
さっき大図書館で見たばかりの転移魔法だ。どうやらもう行ってしまうらしい。聞くこと頼むことはあらかた片付いた訳だし、安心して物品集めを再開....。
「いや、できねぇだろっ!!」
ハイゼルの最後の一言に、カイザンは自分でも耳を塞ぎたくなる程の怒号を言い放った。
次回予告雑談
カイザン&エイメル
「なあ、エイメルよ」
「はい?」
「お前は、相当に頑張っていたんだな」
「何ですか、急に」
「領主仕事って大変だなぁーって思ってさ。俺なんか書類と目が合っただけで投げ出したぞ。他の女神に」
「カイザン様は雑務が苦手なのですね」
「俺が普通の反応。お前が異常。過去の仕事量とか聞いたけど、どれだけ頑張ったらお前並みに働けるんだよ。意味分かんねぇ」
「では、私から。次回、最暇の第五話「領主カイザンと代理女神」....私の代わりだなんて考えないでよろしいのに」
「いや、そういうのじゃなくて。俺がお前よりも下に見られてる問題だよ」
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