44 / 44
第三章
43
しおりを挟む
一触即発の俺達の間に、一陣の風が吹いた。気配で察してはいたが、美咲が俺と兵士達の間に舞い降りた。美咲は何故か濃緑の和服を着流し、藁で編んだ三角帽を被っている。腰には硬鞭を佩くように差している。
「拙者、助太刀侍。勝てる方に助太刀候・・・・・・へあっ!たあっ!」
適当なことを言った美咲は、適当に相手を定めるとその兵士の剣を硬鞭で叩き折り、返す刀で肩に硬鞭を振り下ろす。
「峰打ちでござる・・・・・・っ!!」
「それ、峰しかないだろうが!!」
そんなこんなで兵士共から逃げおおせた俺達は、準備を整えた後に領主の館へ赴いた。シバいた兵士はその場でロープに巻いて放置した。ついでだからと美咲が『私は善良な民に武力を振るい、王国法273条に違反した罪人です』という看板を作って一人一人闇魔法で胸辺りに吸着させていた。
さて、領主の館の玄関に備わったドアノッカーを三回叩く。こちらの世界でもドアは三回、トイレは二回叩くのだそう。
しばらく待っていると、アルフォンスと名乗る執事風の男があらわれた。
その男は痩せぎすで疲れた様な表情を見せているが動作自体はきびきびとしており第一印象とギャップがある。しかし、彼の雰囲気とのギャップが有るのはその青い瞳だろう。滅茶苦茶鋭い。
「俺は凩 一という者だ。国王からワッツ殿に親書を預かっているんだが目通り願えるだろうか」
「あなたがハジメ様でしたか。お待ちしておりました。ワッツより最優先でお通しするようにと仰せつかっております。どうぞこちらへ」
柔らかく目を細めるアルフォンスに先導され、俺達は領主の館に足を踏み入れた。
「ワッツ様、ハジメ様がお見えになられました」
「ついに来られたか!お通ししてくれ!」
「かしこまりました。・・・・・・どうぞこちらへ」
通された部屋は領主の執務室。アルフォンスの招きで入室すると、部屋の隅に突っ立っている初老の男が出迎えてくれた。
「私はワッツ=ガイール。この領地のお飾り代官をしている。御使い様、お会いできて光栄でございます」
出迎えられた後は彼の自己紹介と共に拝まれてしまったが、まぁ良いだろう。
そのあとは密談としたい旨を聞いて部屋全体に遮音の魔法を掛けながら自己紹介を手早く行う。他の人が自己紹介している間は暇だったのでヒカリ属性で作った鎖を用いて潜んで居る者を捕獲しておいた。
◆ ◆ ◆
その頃、エリュシアから一達がイシュミールへ到着したと報告を受けイシュミールの現状を聞いたガンジュールは、即断でイシュミールへ熟達した兵士10名と新人20名、信の置ける騎士5名を送ることを決定する。そして、その事を綴った手紙を国王の元へ送ると午前中にエリュシアを連れてイシュミールへ出立した。
「拙者、助太刀侍。勝てる方に助太刀候・・・・・・へあっ!たあっ!」
適当なことを言った美咲は、適当に相手を定めるとその兵士の剣を硬鞭で叩き折り、返す刀で肩に硬鞭を振り下ろす。
「峰打ちでござる・・・・・・っ!!」
「それ、峰しかないだろうが!!」
そんなこんなで兵士共から逃げおおせた俺達は、準備を整えた後に領主の館へ赴いた。シバいた兵士はその場でロープに巻いて放置した。ついでだからと美咲が『私は善良な民に武力を振るい、王国法273条に違反した罪人です』という看板を作って一人一人闇魔法で胸辺りに吸着させていた。
さて、領主の館の玄関に備わったドアノッカーを三回叩く。こちらの世界でもドアは三回、トイレは二回叩くのだそう。
しばらく待っていると、アルフォンスと名乗る執事風の男があらわれた。
その男は痩せぎすで疲れた様な表情を見せているが動作自体はきびきびとしており第一印象とギャップがある。しかし、彼の雰囲気とのギャップが有るのはその青い瞳だろう。滅茶苦茶鋭い。
「俺は凩 一という者だ。国王からワッツ殿に親書を預かっているんだが目通り願えるだろうか」
「あなたがハジメ様でしたか。お待ちしておりました。ワッツより最優先でお通しするようにと仰せつかっております。どうぞこちらへ」
柔らかく目を細めるアルフォンスに先導され、俺達は領主の館に足を踏み入れた。
「ワッツ様、ハジメ様がお見えになられました」
「ついに来られたか!お通ししてくれ!」
「かしこまりました。・・・・・・どうぞこちらへ」
通された部屋は領主の執務室。アルフォンスの招きで入室すると、部屋の隅に突っ立っている初老の男が出迎えてくれた。
「私はワッツ=ガイール。この領地のお飾り代官をしている。御使い様、お会いできて光栄でございます」
出迎えられた後は彼の自己紹介と共に拝まれてしまったが、まぁ良いだろう。
そのあとは密談としたい旨を聞いて部屋全体に遮音の魔法を掛けながら自己紹介を手早く行う。他の人が自己紹介している間は暇だったのでヒカリ属性で作った鎖を用いて潜んで居る者を捕獲しておいた。
◆ ◆ ◆
その頃、エリュシアから一達がイシュミールへ到着したと報告を受けイシュミールの現状を聞いたガンジュールは、即断でイシュミールへ熟達した兵士10名と新人20名、信の置ける騎士5名を送ることを決定する。そして、その事を綴った手紙を国王の元へ送ると午前中にエリュシアを連れてイシュミールへ出立した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
6話1番上に来てますよ
ご指摘ありがとうございます!