異世界探訪記

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五十六日目。エルフ族の集落に延びる道にて

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五十六日目。
 今日は兵士さん達と商隊さんとで街に向かう。ギルビットさん達は池作りの指揮者として残った。
 俺は侍従のファルムスさんが慕う喫茶店の店主が気になったのでこっちに同行した。
 台車は軽くなったので兵士達が二台、商隊が一台運び、俺とダッシラーさんが先導のような立ち位置になった。
 話しは途中から最果ての森を抜けた先にある『西の最果て』に移り、この日記帳を読み聞かせつつ盛り上がった。
 爆発とか切断とかに疑問をもたれたので丁度襲ってきた蛇と兎で実践してみせると商隊さん達も含めて顔を青くしていた。まぁ、兎が爆発したり、蹴りで蛇が切断したりは俺だって最初は青くなったさ。切断はともかく食糧が無くなったんだからな!

 で、『エルディスの塩』の下りになるとダッシラーさんはよだれを垂らしつつ真剣に悩み始めた。うん。わかりやすいね。
 まぁ、エルフ達にしてもあの塩は欲しいだろうし、兵士達が護衛兼回収班として動くなら赴く可能性は有るんじゃないかな?
 そう伝えるが、ダッシラーさんは「まだ実力が伴っていないかもしれない」とそう結論づけていた。
 トップエイトの兵士達も顔を引き締めて頷いているから、かなりダッシラーさんが信頼されているんだろうな。欲に濁った判断を下さないのも好感が持てる。
 そこで、なにを思ったのかこの口が水道工事が終わったら行ってみます?とかほざき始めたからダッシラーさんが雷に打たれたかのように固まってしまった。周りの兵士や商隊さん達も同じだった。

 結論から言うと絶賛された。おかしな話だがと前振りをしてから、俺が護衛をしてくれるなら被害少なく彼我の実力差を確認でき、今後の訓練に活かせる。との事。

 あ、塩じゃなくてそっちメインで考えたのか。

 兵士の鏡だなぁと思った。まぁ、それだけじゃなく出来るなら『エルディスの塩』を回収し、毒なし蛇をその塩で食べてみたいと笑いを誘うのも忘れていなかったが。
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