112 / 141
百十一日目。ストレイフーズにて
しおりを挟む
百十一日目。
今日は朝からストレイフーズの西門を出て南へ二刻進んだ。ナルビダは帰りに収穫しようと朝餉の時に話し合っていたので混乱もない。
で、そこにあったのは川幅こそ狭い物の流量の多いアケルナと称される川。ランゴバルドはこの川の周辺に生息しているのだそうだ。
この川、大元はあの水車小屋を建てた湖の物もあるらしく、アレの他に後三つの源流が有るらしい。どこからもそれなりの流量が注いでいて、だからこそ入ったら腰まで浸かるような深さになっているのだとか。昼に入ってみたらめっちゃ冷たかった。
ランゴバルドは昼までに二頭狩ることが出来た。
一頭はギルビットさんが足止めしてメヌエットさんが首を落とす連携を見せ、もう一頭は俺が側頭部から針を刺すような感じで仕留めた。牛と言えばタンも重要な部位だから傷付けたく無かったからだが、二人にはこんな繊細な仕留め方は今まで見たことがないと言われた。
血抜きは魔法でパパッと。ランゴバルドの全身に魔力を浸透させて穴からにゅるんと取り出すイメージを込めたらすんなり出来た。
それにしても、なんかバッグの要領が増えている気がする。魔法陣の記入、間違えたかな?ランゴバルド一頭丸々入ったのはおかしな気がするんだが……。
ギルビットさんも吊して血抜きをしていたランゴバルドに俺と同じ処置をし、俺と同じようにバッグに入れ、同じ様な疑問を持ったようだ。
後はメヌエットさんが同じようになれば完璧だな!
昼が過ぎて川に入り、身体が冷えたので昼下がりまで焚き火に当たり、マリーベルとシュミットが兎と蛇を三、四匹捕まえてきたところで移動開始。
血は結局、穴を掘って底に流し込んだ。魔法ってやっぱり便利ね。
移動を開始した途端にランゴバルドに出くわしたので、今回はメヌエットさん一人で対処すると言い出したのでやって貰うことになった。
突進してきたランゴバルドをひらりと躱し、背骨の通る首筋へ短剣を振り下ろす。その際剣には風を纏わせ、全身に強化魔法を巡らせて切断力を強化していたが、意図的に背骨を断つところで剣を振り上げてランゴバルドから折れないように引き抜くという超絶技巧を見せつけてくれた。
ギルドに戻ってきてギルビットさんとメヌエットさんのランゴバルドを提出して依頼を二つ完了。締めて二十五万Pになった。一頭十万Pは割の良い討伐依頼かもしれない。その外は蛇が五匹で五千、兎が六匹で三千。
後から聞いたのだが、ギルビットさんとメヌエットさん、二人とも依頼ではなくギルドに卸さないかと提案が有ったそうだ。血抜きが完璧で損傷がほぼないかららしい。
夕餉の為にラスティーの店へ。ランゴバルド一頭を差し入れしたら喜んでくれるかと思ったら期待とは裏腹に怒られてしまった。保存する空間が無いのが頭に来て、こんな高級品、扱ったことが無いのが次点。ラスティーの店は平民相手の商売なので、メニューに出しても値段とイメージで誰も注文してくれないと言うのも有ったか。
そう言いながらも質が落ちるとかなんとか言い訳をしつつ、口角を上げつつウッキウキな雰囲気で捌き出すのは料理人だからか?
明日アズラータさんの備蓄庫を改造するのでラスティーの店も改造しても良いかも知れないな。
今日は朝からストレイフーズの西門を出て南へ二刻進んだ。ナルビダは帰りに収穫しようと朝餉の時に話し合っていたので混乱もない。
で、そこにあったのは川幅こそ狭い物の流量の多いアケルナと称される川。ランゴバルドはこの川の周辺に生息しているのだそうだ。
この川、大元はあの水車小屋を建てた湖の物もあるらしく、アレの他に後三つの源流が有るらしい。どこからもそれなりの流量が注いでいて、だからこそ入ったら腰まで浸かるような深さになっているのだとか。昼に入ってみたらめっちゃ冷たかった。
ランゴバルドは昼までに二頭狩ることが出来た。
一頭はギルビットさんが足止めしてメヌエットさんが首を落とす連携を見せ、もう一頭は俺が側頭部から針を刺すような感じで仕留めた。牛と言えばタンも重要な部位だから傷付けたく無かったからだが、二人にはこんな繊細な仕留め方は今まで見たことがないと言われた。
血抜きは魔法でパパッと。ランゴバルドの全身に魔力を浸透させて穴からにゅるんと取り出すイメージを込めたらすんなり出来た。
それにしても、なんかバッグの要領が増えている気がする。魔法陣の記入、間違えたかな?ランゴバルド一頭丸々入ったのはおかしな気がするんだが……。
ギルビットさんも吊して血抜きをしていたランゴバルドに俺と同じ処置をし、俺と同じようにバッグに入れ、同じ様な疑問を持ったようだ。
後はメヌエットさんが同じようになれば完璧だな!
昼が過ぎて川に入り、身体が冷えたので昼下がりまで焚き火に当たり、マリーベルとシュミットが兎と蛇を三、四匹捕まえてきたところで移動開始。
血は結局、穴を掘って底に流し込んだ。魔法ってやっぱり便利ね。
移動を開始した途端にランゴバルドに出くわしたので、今回はメヌエットさん一人で対処すると言い出したのでやって貰うことになった。
突進してきたランゴバルドをひらりと躱し、背骨の通る首筋へ短剣を振り下ろす。その際剣には風を纏わせ、全身に強化魔法を巡らせて切断力を強化していたが、意図的に背骨を断つところで剣を振り上げてランゴバルドから折れないように引き抜くという超絶技巧を見せつけてくれた。
ギルドに戻ってきてギルビットさんとメヌエットさんのランゴバルドを提出して依頼を二つ完了。締めて二十五万Pになった。一頭十万Pは割の良い討伐依頼かもしれない。その外は蛇が五匹で五千、兎が六匹で三千。
後から聞いたのだが、ギルビットさんとメヌエットさん、二人とも依頼ではなくギルドに卸さないかと提案が有ったそうだ。血抜きが完璧で損傷がほぼないかららしい。
夕餉の為にラスティーの店へ。ランゴバルド一頭を差し入れしたら喜んでくれるかと思ったら期待とは裏腹に怒られてしまった。保存する空間が無いのが頭に来て、こんな高級品、扱ったことが無いのが次点。ラスティーの店は平民相手の商売なので、メニューに出しても値段とイメージで誰も注文してくれないと言うのも有ったか。
そう言いながらも質が落ちるとかなんとか言い訳をしつつ、口角を上げつつウッキウキな雰囲気で捌き出すのは料理人だからか?
明日アズラータさんの備蓄庫を改造するのでラスティーの店も改造しても良いかも知れないな。
0
あなたにおすすめの小説
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
合成師
あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる