異世界探訪記

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百十一日目。ストレイフーズにて

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百十一日目。
 今日は朝からストレイフーズの西門を出て南へ二刻進んだ。ナルビダは帰りに収穫しようと朝餉の時に話し合っていたので混乱もない。
 で、そこにあったのは川幅こそ狭い物の流量の多いアケルナと称される川。ランゴバルドはこの川の周辺に生息しているのだそうだ。
 この川、大元はあの水車小屋を建てた湖の物もあるらしく、アレの他に後三つの源流が有るらしい。どこからもそれなりの流量が注いでいて、だからこそ入ったら腰まで浸かるような深さになっているのだとか。昼に入ってみたらめっちゃ冷たかった。

 ランゴバルドは昼までに二頭狩ることが出来た。
 一頭はギルビットさんが足止めしてメヌエットさんが首を落とす連携を見せ、もう一頭は俺が側頭部から針を刺すような感じで仕留めた。牛と言えばタンも重要な部位だから傷付けたく無かったからだが、二人にはこんな繊細な仕留め方は今まで見たことがないと言われた。
 血抜きは魔法でパパッと。ランゴバルドの全身に魔力を浸透させて穴からにゅるんと取り出すイメージを込めたらすんなり出来た。
 それにしても、なんかバッグの要領が増えている気がする。魔法陣の記入、間違えたかな?ランゴバルド一頭丸々入ったのはおかしな気がするんだが……。
 ギルビットさんも吊して血抜きをしていたランゴバルドに俺と同じ処置をし、俺と同じようにバッグに入れ、同じ様な疑問を持ったようだ。
 後はメヌエットさんが同じようになれば完璧だな!

 昼が過ぎて川に入り、身体が冷えたので昼下がりまで焚き火に当たり、マリーベルとシュミットが兎と蛇を三、四匹捕まえてきたところで移動開始。
 血は結局、穴を掘って底に流し込んだ。魔法ってやっぱり便利ね。
 移動を開始した途端にランゴバルドに出くわしたので、今回はメヌエットさん一人で対処すると言い出したのでやって貰うことになった。
 突進してきたランゴバルドをひらりと躱し、背骨の通る首筋へ短剣を振り下ろす。その際剣には風を纏わせ、全身に強化魔法を巡らせて切断力を強化していたが、意図的に背骨を断つところで剣を振り上げてランゴバルドから折れないように引き抜くという超絶技巧を見せつけてくれた。

 ギルドに戻ってきてギルビットさんとメヌエットさんのランゴバルドを提出して依頼を二つ完了。締めて二十五万Pペカになった。一頭十万Pは割の良い討伐依頼かもしれない。その外は蛇が五匹で五千、兎が六匹で三千。
 後から聞いたのだが、ギルビットさんとメヌエットさん、二人とも依頼ではなくギルドに卸さないかと提案が有ったそうだ。血抜きが完璧で損傷がほぼないかららしい。

 夕餉の為にラスティーの店へ。ランゴバルド一頭を差し入れしたら喜んでくれるかと思ったら期待とは裏腹に怒られてしまった。保存する空間が無いのが頭に来て、こんな高級品、扱ったことが無いのが次点。ラスティーの店は平民相手の商売なので、メニューに出しても値段とイメージで誰も注文してくれないと言うのも有ったか。
 そう言いながらも質が落ちるとかなんとか言い訳をしつつ、口角を上げつつウッキウキな雰囲気で捌き出すのは料理人だからか?
 明日アズラータさんの備蓄庫を改造するのでラスティーの店も改造しても良いかも知れないな。
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