異世界探訪記

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百二十四日目。アンダッシュにて

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 百二十四日目。
 収穫量アップの種は蒔けたと言う理解の元に、ギルビットさんとメヌエットさんに後どれだけ居るか聞いてみた。
 メヌエットさんはいつでも大丈夫という返事だったが、後一日二日は大丈夫か心配と言う言葉が聞けたので明日か明後日に出発する事にした。今日、手を貸さずに様子を見て夕餉時に判断する感じだ。

 ギルビットさんが見回りしながら気付いたのだが、大地に染み込ませた魔素は大地を伝って拡散するようだ。
 ただし速度は非常にゆっくりで、一日で親指第一関節分と言ったところか。
 どうしてこんな些細な事に気がつけるのか不思議だが、側に居る分には色々知らない事実が判明して面白い。

 昨日の内にギルビットさんが触れ回っていたのか、村人の行いを手伝いもせずに眺めていても文句を言われない。
 今日から色々と役割を分担し始めたようだ。
 エルフとベレッテルは昨日までと同じように畑へ水を撒きつつ魔力を魔素に変えて地面に染み渡らせ、ヒューマンは大忙しで農作物の収穫に回っていた。その中でも本人の希望を叶えたのか水撒き魔素撒きにヒューマンも参加していたし、エルフも農作物の収穫に回っている者も居る。ベレッテルはどんな物がヒューマンやエルフに好まれるか、エルフやヒューマンに聞きながら収穫に当たる者も居る。
 昨日、一昨日と殆ど収穫して居なかったが痛んだ野菜は驚く程少ないそうだ。
 昼までに収穫した野菜は、待ちわびたのか期待されていたのか知らないが収穫中に行商さんが検品する程。収穫終了と同時に行商さんは村を出て行き、残ったのは魔力枯渇で這々の体の村人。
 それから収穫を終えた者が我も我もと短時間だが魔素を染み渡らせ、此方も魔力枯渇になっていた。

 農業に従事している村人は、朝だけは調子がよいのを毎日実感しているそうだ。
 魔力枯渇を殆ど引き起こさない職に就いている者達も一昨日の魔力枯渇をきっかけに調子が上向いているそう。

 魔法の授業の方はと言えば、午前中に子供と獣人、ヒューマンの女性が集まって魔力を感じるところから始めた様だ。火をつける魔法ぐらいなら毎日のように使っているが、習うならしっかりと学びたいとの声が多かったそうだ。
 大人組は獣人を含めて理解の及ぶ部分なのですぐにでき、我が子やその友達を優しい目で見守っていて、既に魔法が使える子が使えない子に一生懸命あれこれとどう感じるかなど説明していて面白い。興味深いと言い換えても良いかも知れない。
 ギルビットさんはこの様子をメモに細かく記載していたからこれからの寺子屋システムに生かそうとでも思っているのだろう。

 夕餉の後、明日の午後にここを発つ事にした。村人全員がやる事を理解しているように見えるからだ。ただし、躓いたときの為にグラザットさんとの連絡はできる限り取り合う事を、ザラキアさんとグラザットさんを交えて約束した。
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