ある日、始まった物語

どこか儚げな美少女

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始まりの章

第2話(※修正済み)

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 翌日、俺は寝ぼけたような、疲労困憊に陥ったような顔で大学での講義を受けていた。


 というか、受けてる科目が英語なのだが、バリバリの英会話による講義のせいで教授が何を言ってるのか、さっぱり訳が分からんし俺はそもそも英語に興味がない純日本人である。


 すると、俺の席の横、そこにいた女子生徒が話しかけてくる。


 「ねぇ…………ねぇってば、フウタローどうしたの?、今日はなんだか元気ないみたいだけど……」


 フウタロー、つまりこの俺『山田  風太郎』の名前を読んだ声の主、それは幼馴染の"引合  瑞稀(ひきあい  みずき)"その人である。なんだかんだ現在に至るまでの【保・幼・小・中・高・大】まで同じ進路に通ってきた関係性、いわゆる俺たちは腐れ縁の仲なのである。そして、この瑞稀という幼馴染は昔から根が真面目なのが彼女の長所であり、俺が苦手とする所なのである。


 「まぁ、人助けってやつかな…?」


 と、俺は話をはぐらかすように語った。と言っても昨夜は有無を言わせず股間を蹴り上げられただけなのだがな……。


 すると、瑞稀は____、


 「へぇ、君がまた珍しいね、もしかして助けた相手は女性かな?、それも美人さん!」


 と、自信ありげに答えてみせた。なんと的中なのである。


 「お、おう……よく分かったな…?」


 俺は少し面食らった様子で驚いた。すると、瑞稀は俺に微笑み、ふふん……と鼻を鳴らす。


 「フウタローは美人に弱いからね、私は君の事なら何でも知ってると豪語できる自信があるわよ、エッヘン!」



 「はいはい、そうですか……そう言ってる瑞稀も十分に美人さんだよ」


 とりあえず褒めておく、それに俺が褒めずとも本人は生まれてこの方、超が付くほどの美人だしな、ここで褒めて損はない。


 「へっ?、えっやだ…!?、もうフウタロ~!」


 ___バシンッ!


 瑞稀の平手打ち、身構える間もなく飛んできたビンタが俺を襲う。


 ……グホッ!、こいつは昔から手が早すぎるんだよな。しかも物理的に手が速い!、だってコイツの家って数百年も続く武道の家系だしな!?


 「ハイソコ、静カニ!」


 俺の視界の外、外国人講師ウィルの声が聞こえた、という事は……!?


 ___バコンッ!


 「ぶっ……!」


 前へと振り向いた瞬間、俺の脳天を正確無比に撃ち抜いた白チョーク、俺は西部劇さながらに後ろへと倒れ込んだ。


 「フウタロー・サン!、毎回イッテマスガ!、授業中ハ静カニ!、ソレカラ瑞稀サンモ!、イイデスネ!」


 今時、大切なかわいい生徒にチョークを投げつけるとは、酷すぎるぜ先生っ!


 「す、すみませんでしたウィル先生…!、ほらフウタローも頭下げて!」


 瑞稀は慌てて倒れ込んだ俺の頭を掴むと強引に首を押して頭を下げさせる。というか、こいつマジで力が強い…!?


 「ヨーロシ!、瑞稀サンニ免ジテ許シマス」


 「ありがとうございます、ウィル先生…!」


 「フフン、イインデスヨ瑞稀サン」


 この女好き野郎め!、こいつ男には容赦ないくせに女にはめっぽう甘い、そこで紳士ぶるのかよ!


 「フウタロー・サン、何カ申シマシタカ?」


 ギラつく白チョーク、俺は直ぐにこう言った。


 「い、いえ!、何も……ッ!!」
























 ____講義が終わった。


 「んぅ~っ!、ようやく今日も授業が終わったね、フウタローの方はこれからどうするの?」


 大学の帰り、そのたわわに実った胸部が突き出さんばかりの背伸びをしながら瑞稀が聞いてきた。


 「まぁ…俺の方はいつも通り今日は暇かな、そんでお前は今日も"看板娘"か?」


 「まぁね、毎日お客さんが来て大変なんだよ」


 ___"看板娘"


 はいそこ!、エプロン姿の瑞稀を想像した奴は出てこい!、いいか絶対に違うからな!、あんなゴリゴリの脳筋女が接客できるわけないだろ!


 ___ボゴッ!


 「ぐへっ!、み…瑞稀さん?、ナゼ俺ヲ殴ッタノデスカ……??」


 瑞稀はニッコリと笑いながら、こう言った。


 「んー、女の勘かな?」


 「いや、絶対それ格闘家の勘だろ!?」


 「つまり、当たってたんだ」


 瑞稀の笑顔、なんだか怖いぞ!


 「あっ、いや……そのですね」


 瑞稀は、俺の顔に拳を近づけた。


 「歯、食いしばってね」


 その表情は笑っていた、しかし目が笑っていなかった。


 「へっ?、瑞稀さん?、もしもし瑞稀さん!?、ちょっとお話しを!」


 「歯ァ食いしばれッ!、フウタローッ!」


 問答無用な暴力がフウタローを襲う!


 「待って!、瑞稀さ~~~~ンッッ!!?」






























 鼻血が止まらない____。



 つ……、つまり看板娘とはな……、、、



 生まれたての子鹿のように歩く俺、瑞稀と帰り道の途中で別れたが、その頬は赤く腫れて鼻血が止まらない。


 ____って!


 つ・ま・り!、看板娘とは己の身を賭して看板を死守する娘のことだ!、数百年前から道場の看板を奪いに来る道場破りから代々看板を守ってきた娘に与えられる伝統ある称号にして役割なのである。

 そして、あの瑞稀の奴が今回で何代目なのかは知らんが、あいつの道場は一度も敗れた事がないこの地域でも指折りの伝承、"不敗伝説"を誇る言わずもがな名家、そんな家で生まれ育った瑞稀は当代最強の格闘サラブレッドというわけだ!


 ____しかしだな、


 「んー、もう少しお淑やかだったら美人で気配りができる良い嫁さんになるのになぁ」


 ___ガサガサ!


 「んっ、なんだ?」


 ………目を凝らしたが草むらしか見えなかった。


 「まっ、いっか…!」


 それより俺は今夜、また彼女に会いに行く。どこか儚さを帯びた、あの美少女……そんな彼女に再び会いに行くのである。


 「まぁ、またあの子と出会えればだけどな」


 そう言って俺は苦笑する、奇跡的にまた少女と出会える事を神に祈っておくとしよう………。








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