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プロローグ
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少女は生まれた時からこの城を出たことがなかったが、住み込みの召使いや衛兵たちと過ごす日々は間違いなく幸せだった。だから、みんなはなぜこんなに優しくしてくれるのだろうとか、なぜ召使いや衛兵はいつも仕事がなく一緒に遊んでくれるのだろうとか、自分はもうすぐ何歳になるのだろうとか、そういったことにはまったく疑問を抱かなかった。
「王子様とお姫様はいつまでも一緒に暮らしました…。おしまい。」
ウェーブのかかったミルクブラウンの髪に同色の瞳をしたかわいい顔の少女と、金髪に翡翠色の目の背の高い青年。
二人は花の香りがかぐわしい庭園にいた。
若い衛兵のリュテルは決まって午後になるとご本を読み聞かせてくれる。陽だまりの庭園の中、大きなひざの上で聞く物語は心地よい眠気を誘う。
今にも熟睡しそうに目を細めていると、
「お嬢様も眠たそうだし、そろそろおわりにしますか…。」
「だめっ! まだふぃーりあ物語、読んでもらってない!」
といってひざの上から飛び起きた。
フィーリア物語というのは三百年以上前に作られたお話で、フィーリアという名前の王女が不治の病に苦しむ国民のために治す方法を探して冒険に出る話を中心に、約二百の短編集から成り立つ童話である。 リュテルは、フィーリア物語が大好きな少女のために必ず一日一話読み聞かせる約束をしていた。
「はいはい、わかりましたよ。お嬢様。今日はどんなお話読もうかな…」
少女はほっとしたように座りなおすと、しばらくしてぽつりとつぶやいた。
「わたし、聞いているだけじゃなくて、もっといろいろなところに出てみたい…。わたしだって、ぼうけんしたい! ふぃーりあ様みたいに魔法と剣をつかって、つよいドラゴンをたおしたい! りゅてるだってぼうけんしたくない?」
少女は大きな瞳を希望に輝かせ、立ち上がって舞うように剣を振るう真似をした。リュテルは少女にそのようなことを言われるのは初めてだったので、しばし呆然としたが、やがて首を振った。
「俺だって、冒険とやらにはあこがれますよ。だけど、外は危険です。どんなふうに危険なのかわからないけれど、実際危険じゃなきゃ、あんなものは建ってません。」
リュテルは広い庭園の端に目を向ける。そこには高さ十メートルを超える城壁が、囲うように屹立していた。それは、リュテルが生まれるずっと前から建っていたらしい。
「そうだよね…。」
少女はそれ以上わがままを言わず、複雑な気持ちを抱えたまま、今日のお話を聞いていた。
「王子様とお姫様はいつまでも一緒に暮らしました…。おしまい。」
ウェーブのかかったミルクブラウンの髪に同色の瞳をしたかわいい顔の少女と、金髪に翡翠色の目の背の高い青年。
二人は花の香りがかぐわしい庭園にいた。
若い衛兵のリュテルは決まって午後になるとご本を読み聞かせてくれる。陽だまりの庭園の中、大きなひざの上で聞く物語は心地よい眠気を誘う。
今にも熟睡しそうに目を細めていると、
「お嬢様も眠たそうだし、そろそろおわりにしますか…。」
「だめっ! まだふぃーりあ物語、読んでもらってない!」
といってひざの上から飛び起きた。
フィーリア物語というのは三百年以上前に作られたお話で、フィーリアという名前の王女が不治の病に苦しむ国民のために治す方法を探して冒険に出る話を中心に、約二百の短編集から成り立つ童話である。 リュテルは、フィーリア物語が大好きな少女のために必ず一日一話読み聞かせる約束をしていた。
「はいはい、わかりましたよ。お嬢様。今日はどんなお話読もうかな…」
少女はほっとしたように座りなおすと、しばらくしてぽつりとつぶやいた。
「わたし、聞いているだけじゃなくて、もっといろいろなところに出てみたい…。わたしだって、ぼうけんしたい! ふぃーりあ様みたいに魔法と剣をつかって、つよいドラゴンをたおしたい! りゅてるだってぼうけんしたくない?」
少女は大きな瞳を希望に輝かせ、立ち上がって舞うように剣を振るう真似をした。リュテルは少女にそのようなことを言われるのは初めてだったので、しばし呆然としたが、やがて首を振った。
「俺だって、冒険とやらにはあこがれますよ。だけど、外は危険です。どんなふうに危険なのかわからないけれど、実際危険じゃなきゃ、あんなものは建ってません。」
リュテルは広い庭園の端に目を向ける。そこには高さ十メートルを超える城壁が、囲うように屹立していた。それは、リュテルが生まれるずっと前から建っていたらしい。
「そうだよね…。」
少女はそれ以上わがままを言わず、複雑な気持ちを抱えたまま、今日のお話を聞いていた。
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