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Ⅵ
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「ねえ、りゅてる。りゅてるはどこで生まれて、どんなふうに暮らしてたの?」
「メイド長と衛兵の間に生まれたから、この城の中で育ちました。母さん―メイド長が病気で死んでから、父さんは飲んだくれになって、倉庫の美酒を盗んだんです。取り締まり隊に連れて行かれましたよ。―それ以来、会ってません。」
この経歴が偽物だとしたら、ずいぶん徹底しているものだと思う。これで自分はリュテルの両親に会って、あら捜しをすることができない。本物だったら、リュテルやリュテルの両親にはずいぶんと失礼だ。
「じゃあさ、なんでりゅてるには名前も過去もあるのに、わたしにはどっちもないのかな…?」
リュテルに何度も読み聞かせしてもらっているうちに、単語だけならわかるようになってきた。だからこっそり午前中のうちに図書館に行ってきたのだ。名前は、誰にでもあるべきものだということぐらいはわかった。
「さあ。なぜでしょうね。でも無くて困っているほどのことでもないでしょう。ましてや無いほうがいい過去もあるんです。さ! 今日は何を読みましょう、お嬢様。」
一瞬悲しそうに目を伏せると、ごまかすようにわざと明るい調子で言った。少女は迷った。このまま何も問わなければ、いつもと同じ楽しい日々が待っているのだろう。でも、きっとそれは、本当の幸せじゃない。自分はまだ本当の幸せを知らないけれど、だからこそ知りたいと思う。少女は決意を再確認する。
「ごまかさないでよ!」
それは自分に向けての鼓舞の気持ちもこめて、ずいぶんと鋭く響いた。リュテルは驚きに目を見開く。
「あのね…、本当に知りたいのは外のことなの。どうなっているのか、本当は知ってるんじゃない?」
リュテルの瞳を覗き込む。話してくれないと思っていた。強制的に時間を巻き戻すとか、書き換えられるとかすると思っていた。だけどリュテルは、ゆっくりと口を開いた。
「外はね―――。」
「メイド長と衛兵の間に生まれたから、この城の中で育ちました。母さん―メイド長が病気で死んでから、父さんは飲んだくれになって、倉庫の美酒を盗んだんです。取り締まり隊に連れて行かれましたよ。―それ以来、会ってません。」
この経歴が偽物だとしたら、ずいぶん徹底しているものだと思う。これで自分はリュテルの両親に会って、あら捜しをすることができない。本物だったら、リュテルやリュテルの両親にはずいぶんと失礼だ。
「じゃあさ、なんでりゅてるには名前も過去もあるのに、わたしにはどっちもないのかな…?」
リュテルに何度も読み聞かせしてもらっているうちに、単語だけならわかるようになってきた。だからこっそり午前中のうちに図書館に行ってきたのだ。名前は、誰にでもあるべきものだということぐらいはわかった。
「さあ。なぜでしょうね。でも無くて困っているほどのことでもないでしょう。ましてや無いほうがいい過去もあるんです。さ! 今日は何を読みましょう、お嬢様。」
一瞬悲しそうに目を伏せると、ごまかすようにわざと明るい調子で言った。少女は迷った。このまま何も問わなければ、いつもと同じ楽しい日々が待っているのだろう。でも、きっとそれは、本当の幸せじゃない。自分はまだ本当の幸せを知らないけれど、だからこそ知りたいと思う。少女は決意を再確認する。
「ごまかさないでよ!」
それは自分に向けての鼓舞の気持ちもこめて、ずいぶんと鋭く響いた。リュテルは驚きに目を見開く。
「あのね…、本当に知りたいのは外のことなの。どうなっているのか、本当は知ってるんじゃない?」
リュテルの瞳を覗き込む。話してくれないと思っていた。強制的に時間を巻き戻すとか、書き換えられるとかすると思っていた。だけどリュテルは、ゆっくりと口を開いた。
「外はね―――。」
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