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第二編第一章 辻斬り事件
仲間に届く無事の知らせ
しおりを挟むまた、舞台は戻って光の街セイントピア。
忠告を破り、帝国軍に追われる身となった
ロードの仲間、シャーレとポアラは突然
帝国軍の軍兵が見失ったロードの行方を
探して街を縦横無尽に駆け巡っていた。
「ほんとに世話が焼ける…!」
「ええ。全くです…入り口に居なかったので一人で中に入ったのは明確ですし」
「でも、あの様子を見る限り向こうもロードを見つけられて無いって事だよね」
ポアラが指差した先には同じ様に
街中を駆け巡る帝国軍の姿があった。
「ですね。兎に角急ぎましょう」
シャーレとポアラは溜息を吐きながら
左右を見渡す様に走って行く。
だが、一向にロードの姿は見えてこない。
すると、二人が駆けて行く正面に
とある人影が現れる。
其の人影は洒落たブラウンのスーツを
着こなす、貫禄のある五十路の男。
白髪を七三に整え、ルーペ型の片眼鏡に
揉み上げから顎に繋がった髭が特徴である。
二人はぶつかるのを回避する様に
其の男性の目の前で足を止める。
「あっぶないっ!…もう、何?」
「申し訳無い、其方の貴人の方。少々急いでいるもので…」
「もしや、ロードという若い青年をお探しでは?」
目の前の高貴な見た目の男性がニコッと
笑みを浮かべて述べた言葉に二人は
目を丸くして驚きを浮かべる。
二人の頭の中には2パターンが見える。
偶々、流れで此の男性側に救われたか。
はたまた、此の男性側の手に落ちている
という目の前の貴人が敵というパターン。
特にシャーレの方は、最悪のパターンを
鑑みて片手を青龍刀に近づけ身構える。
「おっと。信用するのは難しいとは存じますが、彼なら無事です、彼は今追われる身、出歩く事が難しい彼に代わってお二人をお迎えに上がりました」
「…信用する根拠は?」
「シャーレ殿。ロード殿とは長屋町で知り合ったと、其方のポアラ殿は拳術道場で、ですね。ロード殿からお伺いしました」
「では、拳術道場のあった町の名前は?」
疑り深く身構えを解かぬまま、シャーレは
目の前の貴人に質問を投げ掛ける。
「わかりませぬ。私奴からも一応お訊きは致しましたが「知らね、忘れちまったわ」と一言頂いたのみでありまして」
「シャーレ…ロードは私達を売る様な性格じゃないよね?」
「ええ。それに…知らないというのが最もロードらしい。すみません、貴人の方、御無礼をお許しください」
シャーレとポアラは戦闘体勢を解くと
目の前の男性に近寄って行く。
「いえいえ。申し遅れましたが私奴の名はレザノフと申します、先ずはロード殿の元へご案内します」
「レザノフさん、ですね。改めまして私がシャーレ、此方はポアラです」
「ええ、ありがとうございます。広い町で見つけるのは大変かと考えておりましたがお二人の髪色はとても目立つ、助かりました」
シャーレとポアラは二人の髪をお互いに
見て改めて、確かに、と笑みを溢した。
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