RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第六篇第三章 ジェノスハーバー攻防戦

西コンテナ区域の衝突

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ジェノスハーバーに在る東コンテナ区域で
勃発したエルムとルナの激突が始まる頃に
港の真反対にある西コンテナ区域にも同じく
二人の人間が邂逅を遂げていた。

一人は砂の街にあるセバラ砂漠に於いて
ランス捜索に出ていたロードと反乱軍ガルダ
の目の前に立ち塞がった鬼の仮面を顔の横に
付けて大きな瓢箪の酒をグビグビと飲むのが
特徴的な帝国軍少将オーズ・サーヴェント。

今日も昼間から酔いが周りフラフラと足元が
よろめきながらニヤリと笑みを浮かべる其の
男の目の前で背を向けている大男が着ている
のは純白の団服であった。



「……ヒック…久しぶりに見たねぇ…フロウ・ダルバイン…あっしの事は知らないだろうけどねぇ…」



オーズの声に振り返った其のフロウという男
はガタイの良い肉体に純白の団服を纏い胸元
から男らしい胸毛が見える巨漢の男。

揉み上げから繋がった顎髭と脇を刈り上げた
短髪の革命軍発足時期にノア、ティアと共に
此の革命軍を盛り立てて来た最高幹部だ。

独立師団革命軍参謀フロウ・ダルバイン。



「昼間から酒か。身体に悪いぞ?帝国軍の方よ…!」


「…ヒック…ああ…其の自信満々な目付き。思い出すねぇ…もう十年近く前かい?アンタが活躍してたのは…うぃ~」


「十年前の活躍…?成る程、俺がレスラーだった頃の話だな」


「…ヒック…あっしはアンタの興行試合は結構見に行ったモンだよ…彗星の如く十代で現れ連戦連勝…孤児院から出た希望の星だったねぇ…」



フロウもノアやエルヴィスと同じく森の街
フォレストールにある孤児村ピースハウス
で暮らしていた一人であった。

ノアとエルヴィスのあの一件があった其の
二年前にフロウはとある資産家からの打診を
受けて引き取られて行った。

持ち前のフィジカルの強さに目を付けた其の
資産家はフロウにレスラーとして身体が資本
となる格闘家を薦めて来たのだ。

其れに乗ったフロウは格闘技界に彗星の如く
現れた期待の新星と呼ばれ連戦連勝を記録し
一躍スター街道を進んでいた。



「…ヒック…だけどもアンタは消えた。表舞台から姿を消したアンタはァ…数年後まさかの革命家として戻ってきたんだよォ…。あっしは驚いたよォ…ファンだったレスラーを捕まえる立場になっちまんたんだからねぇ…うぃ~…」



オーズはグビグビと瓢箪の酒を飲み込んで
行きフロウの姿をまじまじと眺める。



「ははっ…昔話の流れかと思ったが。やる気満々じゃあないか。良いだろう?来い」



フロウはコンテナに立て掛けて居た重厚で
巨大な大槌を軽々と片手で振り上げると
いとも簡単に己の肩に乗せた。

其れを見たオーズもニヤリと笑みを浮かべて
瓢箪を肩に乗せて背中へと回すと棘付きの
メイスに手を伸ばし其れを構える。

西コンテナ区域フロウvsオーズ勃発。
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