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第七篇第三章 狂宴の雪山
襲い来る狩人の鋭爪
しおりを挟む雪の台座に乗ったアドリーに向かって鋭い爪
を光らせながら覚醒したノエルが襲い来る。
其の速さたるや空から獲物を狙う鴉そのもの
でアドリーは其の姿に冷や汗を流し息を呑む
が其れ所では無い、とばかりに雪の台座を
一気に動かして回避しようと大地を目指す。
其れに伴いノエルも一気に滑空を図ると一足
先にアドリーは雪の大地へと降り立ち片膝を
付きながら空中のノエル目掛けて一箭を放つ
が爪で薙ぎ払う様に掻き消されてしまう。
「…速い…!」
「さあ…覚悟しろ。反乱軍参謀アドリー・エイテッド。自身が狩りの獲物である事をな」
滑空しきったノエルが左手の鉤爪で横から
アドリーの腹部を狙うが氷雪のギフトに因り
生み出された氷の壁で何とか防ぐ。
だが、余った右手の鉤爪が逆方向から左側と
同じくアドリーの腹部目掛けて襲い掛かる。
しかし、其れも何とか握った氷の弓で防ぐが
勿論弓は盾でな無い為に押されてしまう。
「粘る物だな。獲物としては得点は高いだろう…」
余裕を見せたノエルは翼をはためかせ身体を
宙に浮かせると背後から勢いを付けた右足の
蹴りをアドリーの腹部へと叩き込んだ。
呻き声と共に雪の大地を無造作に転がって
行ったアドリーの元へ攻勢を止める事をせず
ノエルが追撃の為に低く飛行し距離を詰めて
鉤爪での攻撃をアドリーに向けて放つ。
アドリーは息を切らしながら上体だけを
起こして氷の盾を造形するが其の氷の盾が
段々と爪の跡を残して崩壊して行く。
「…はぁはぁ…これならどう…?」
氷の盾に右手で新たな氷壁を造り上げると
更なる防御体勢を施し左手では氷の氷柱を
造形して盾を回避させて背後から狙い撃つ。
放った氷柱だったが其れは盾に当たり弾けて
消えて行ってしまったのだが、其れを感じた
アドリーは自身の失敗に気付いてしまう。
氷の盾に氷壁を被せる事でアドリーは自分の
視界からもノエルの姿を消してしまった。
そしてノエルの疾風のギフトの得意特性は
“静寂”音を消す事の出来る特性である。
其の時には既に遅く座り込むアドリーの背後
には鉤爪を構えたノエルの姿があった。
しまったとばかりに慌てて振り返るアドリー
の肩口にノエルの鉤爪が襲い掛かった。
雪の大地が紅い血液に因って染まる。
そしてアドリーはらしくない叫び声を上げて
雪の大地に向かって横向きに倒れ込んだ。
息が荒くなり口からも吐血をし身体が嫌な
痙攣に因って身体機能の低下を物語る。
「……残念だ。覚醒ぐらいは拝めるかと思ったがな…。油断はやはり大敵だ…一つの組織の参謀と呼ばれる幹部が此の程度では…総長エルヴィスの器も知れると言うモノ…さあ次で終わりだ…仕留めるぞ次は…!」
ノエルがまたしてもアドリーに向かって鉤爪
を振り上げ横たわるアドリーの首元を狙う。
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