RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十一篇第三章 鬩ぎ合う苦悩

修道院にて待ち伏せる者達

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次々と帝国軍の狭まる包囲網に人員を割かれ
小人数となりつつあるロード達。

共に走るシェリーと六撰将ランス、マルクに
リア、そしてガルフと其の五人の中央に立つ
ロードは自身の視界に山中とは思えぬ一つの
立派な建物を入れる。



「お…?急に景色が変わって来たな…」


「あの建物は今は使われていませんが元は修道を治めようとした僧達が生活を共にしていたジョシュル修道院ですね」


「修道院が見えて来たって事は…街境に当たるイヴァンリスの長城は目と鼻の先さ…!」



街の雰囲気としても山中の景色としても多少
浮いた存在にも見える西洋の城風で白い壁の
ジュシュル修道院を真横に見つめてロードは
月夜に後方の仲間へ想いを馳せる。

すると突如として足をブレーキにして修道院
を前に立ち止まるランスの姿に周りが慌てて
行動を合わせると何が起きているのか解らず
ロードは目を見開いて周りを見渡す。

其処へ、静かに歩みを進めて距離を詰めて
来る二人の帝国兵の姿があった。



「俺等が何処へ抜けようかってぇのも把握済みってワケだ……」


「アイツ等……!」



迫って来る二人の帝国兵を見て唇を噛み悔い
を表情に浮かべたランスの横でロードは其の
二人の人間を見て何かを思い出す。



「我を憶えているか?赤髪…」


「私とも一度会ったよね…君は…」



ロード達の前に現れたのは双方共が帝国軍に
於いて中将を任せられる猛者。

一人は中将ヨハネ・ヒューストン。

風の街ヴェントで勃発したロジャーズグリフ
の戦いに於いて反乱軍副長ウィルフィンとの
交戦中にロードとも出逢っている。

もう一人は中将マリア・シリウス。

時の街ジュードオークスで宰相ガズナの演説
を共に眺めロード達と出逢い、其の後反乱軍
総長エルヴィスと激戦を繰り広げた。

中将マリアとヨハネ、修道院の庭園の手前に
存在する門柱を越えロード達を見遣る。



「貴様等の命運は此れにて終いだ。我が戦場へと舞い降りる以上避けられぬ運命であろう…!」


「私も居ますよ…ヨハネ中将。とにかく…政府を敵に回して生きられると淡い希望は持たない方が身の為ですね」



殺気を易々と露わにして話す二人の中将を前
にしてランスは他の六撰将と目を合わせる。

そして、静かに頷いた面々の中でガルフ一人
が振り返り口を開く。



「ロード…シェリー…取り敢えずお前等は俺と共に来い…安全を最優先するぞ」


「………またかよ…」


「しゃらくせぇが其の感情は閉まっておけ…行くぞ…!」



ガルフの指示に渋々と乗った、というよりは
乗るしか選択肢が残されていなかったロード
は俯きながらシェリーと共にガルフの背中を
追って修道院の脇を駆け抜ける。

勿論、ヨハネとマリアはロード達を追おうと
はするものの其の前にランス、マルク、リア
の三人が立ち塞がるのだった。

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