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第十一篇第四章 未来へ灯す希望の光
放つ未来への一撃
しおりを挟む「行けェェェ…ッ!!」
渾身の一撃がヨハネへと迫る中で気持ちが
込められたサーガの声が其れを後押しする。
バリバリと電撃の音を立てながら進むサーガ
の尾の攻撃だったがヨハネは身体を旋回させ
刀を振るうと其の場に黄金の竜巻が起こって
サーガの一撃を届かせる事すらさせない。
「……っちゃあ…やっぱり…ヨハネ中将は本物ッスね…アレを防がれるのか…ちょっとキツいッスね…!」
「サーガ少将…其れでも止まる事を選択せぬのだな…」
「そうッス…まだ止まる訳には行かないッスよ…!」
ニヤリと笑ったサーガの表情から覚悟の形を
更に感じ取ったヨハネもまた受けて立とうと
刀を構え直した。
「俺の役目はアンタを足止めする事…つまり彼等を此処から撤退させ…希望を未来へ繋ぐ事…!」
「奴等に希望を見ても無駄だ。奴等は…政府に逆らう愚か者達であろう?戦う戦力は政府の足元にも及ばない…其の希望は無へと帰るのだ」
「そうッスかね?案外わからないかもしんないッスよ…其れにね…政府の描く未来より彼等の描く未来の方を想像したら…民は笑っていられそうなんス」
「まやかしだ…サーガ少将」
「信じるのも貫くのも自由ッスよ…だから俺は其のちっぽけな可能性に賭けて来たッッ!!」
ヨハネの眼前でサーガの波動とギフトが一気
に増長し大技を予感させる。
痛みの中でニヤリと笑みを浮かべるサーガは
其の溢れ出る波動とギフトを纏って仁王立ち
すると双刃刀を高く天へと掲げる。
「絶技… 雷臨・九重狐尾叉ッッ!!!!」
双刃刀の先端の向きへと交差しながら九つの
尾が天へと駆け上って行く。
そして、其の尾の先端が全て天を舞うヨハネ
の方向を指した瞬間に勢い良く全てが重なり
相手の上に雷を纏った尾の連撃が始まった。
「生きるのに平等も不平等もないンス…全ての民が最低限度の生活を営める日を目指して…時代よ…変わって行けッス!!」
サーガの身体がみしみしと音を立てながら
絶技の持つ反動に耐えている。
しかし、全ての攻撃が終わる頃に見上げた空
には未だ美しくヨハネの舞い上がる姿が在り
サーガは呆れた様に笑っていた。
「やっぱり…届かなかった…ッスね…!」
其の言葉と共にフラついたサーガの真横へと
ヨハネは瞬時に舞い降りて刀を振るう。
そして、俯きながら瞳を閉じ自身の刀の攻撃
に依って斬り裂かれ倒れて行くサーガの姿を
背中を向けて見送る。
「いや、届いていた。行動は褒めるべきとは思わぬが…其の想いは確かに届いた。見事だったぞ…サーガ少将…」
バタリとうつ伏せに倒れ込んだサーガの事を
背中で感じ取りヨハネは緩りと其の場を去る
様に足を進めて行った。
閉じられる翼を横目に見ながらサーガの身体
からもヨハネの身体からも覚醒は消えた。
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