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第十二篇第四章 烈しさを増す大事件
金獅子エルヴィスvs吼猿アルマ
しおりを挟む「迅ェな…オイッ!!」
肩上から縦に向かって並行に振り下ろされた
双剣の剣撃を慌ててトンファーで防ぎに行く
アルマだったが武器が触れ合う直前になって
此の行動其の物が悪手だったと気付く。
其れはエルヴィスの持つギフトのチカラ。
特性“貫通”を宿している事に起因していた。
特性“貫通”とは防御不可の無敵の特性性能で
ありトンファーを貫通し全身に雷撃の一閃が
奔り抜ける事を意味していたのだ。
甲高い金属音が鳴ると共にまるで落雷を受け
たかの様にアルマの全身に雷が奔る。
そして、ダメージを負ったアルマに対して
エルヴィスは一瞬の隙を見逃す事無く、身体
を旋回させ回し蹴りをアルマに叩き込む。
吹き飛ばされたアルマを追いエルヴィスは
更に地面を蹴ると雷撃を纏う双剣を構えたが
此の連撃は此処で収まる事となる。
吹き飛ばされながらも全身から卯ノ花色の炎
を爆発させたアルマの身体が受け身を取ると
共に大猿の姿へと変貌して行く。
二本の角と卯ノ花色の毛深い獣人化を見せた
アルマは迫り来るエルヴィスに爆破の特性を
持った音波とも呼べる咆哮を放つ。
エルヴィスは其の音波を双剣で防ぎながらも
爆発に巻き込まれて一度背後へ距離を取る。
「業火覚醒… 吼吠猿破…ッ!」
早速覚醒を見せた中将アルマは体勢の立て
直しを図ったエルヴィスを見遣るとまるで
心の中を読み取ったかの様な言動を放つ。
「意外だったぜ……同僚から聞いた話じゃエルヴィス・ハワードって男は見た目からは想像も出来ない程に冷静で先手を打つ様なタイプじゃねぇと思ってた。やはり…仲間が此方に囚われているコトは…いくらお前でも焦りを生むか…!」
其の言葉を聞いたエルヴィスの表情が段々と
強張って行く中で静かに口を開くと反応した
エルヴィスの言葉にアルマは耳を傾ける。
「此の事態はよ…全て総長である俺が突っ走った結果で起こった事だ。其の失態をアイツは自分の身を投げ捨てる事で全滅という道を防ぎに行ってくれた」
エルヴィスの双剣を握る両拳が更に強さを
増しギュッと力が込められて行く。
「俺や反乱軍はアイツにあの時救われたんだ。だから今度は俺等が救ける番だろ」
「心意気や良しだが、お前等のしでかした事は政府への宣戦布告だ。取り返しの付かない事を仕掛けちまったなァ…」
「そんなモン今は悪いが考えてる余裕がねぇ。アイツを救ける為に立ち塞がる障害はどんなモンだろうと乗り越えるだけだ」
「(冷静さを欠いてんなァ…護国師団反乱軍の要は…総長であるコイツでは無くアドリーっていう参謀だったのかもな…なら絶対にあの女の身柄は死守だ…!)」
アルマはまたも口から音波の様な猛火の咆哮
を幾重にも重なる様に連撃して放つ。
白き炎が冷静さを欠くエルヴィスへ迫る。
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