RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
544 / 954
第十二篇第四章 烈しさを増す大事件

ザックに課せられた使命

しおりを挟む






各フロアで混迷たる激闘が繰り広げられる中
大監獄プリズングァザの最深部で在る反乱軍
参謀のアドリー・エイテッドが囚われている
3rdフェーズへと先頭で辿り着いたのは彼女
やエルヴィスとの関係の深いザックだった。

彼には突入前に此の大監獄の中を良く知って
いるヒューズからとあるお願いがされていた
のだが、其の内容とは。



『いいですか?プリズングァザの牢の鍵は其々のフロアの詰所に保管されています。メインの鍵はもしかしたら護衛の誰かが所持している為、無いかもしれませんが。必ず予備は詰所に保管されていると昔、聞いた事が有るんです。アドリー奪還の為には鍵が必要となります……危険ですが3rdフェーズの詰所で其れを手に入れて下さいッ…!』



大監獄プリズングァザの牢は特殊な石を加工
し作られているのだが、其れはギフトの能力
を封じ込める絶封石シールドストーンである。

余談だが此の石は全世界でプレジアにしか
存在しない貴重な資源で在り海外との戦争の
火種となる事の多い石なのだ。

ギフトの能力者は絶封石に因って加工された
鎖と牢の中に入っている為、鍵を手に入れる
事が出来ない場合、救出は困難である為、彼
が其の鍵を入手する事も救出の絶対条件。

ザックは慌てふためくプリズングァザの看守
達を横目に其の混乱に乗じて詰所を探し監獄
の中を足を早めて駆けて行く。

そんな中で、看守達の詰所を其の視界に捉え
たザックは詰所の入り口に耳を当て中からの
音を探りに掛かる。

中から聞こえて来た声は多くても二つ。

ヒラヒラと揺れるカーディガンに覆われた腰
元からザックはボウガンを手に取った。



「(アドリー…もう直ぐ行きますよ。後少しの辛抱です…!)」



ザックは恐る恐る扉を開けると中でモニター
を眺める二人の看守の背後を取ると焦らずに
ボウガンを構えながら静かに近付いて行く。

そして、普段からは想像も付かない程の速度
で行動を開始し二人の看守の首元を手刀二発
で叩き伏せ意識を奪って見せた。



「(良し、騒ぎにならずに詰所まで来れましたね…後は…鍵を手に入れてエルヴィスとの合流を果たしましょう…)」



巨大なキーケースから予備のマスターキーを
探し出し其の鍵を手に取るとホッと一息を
吐いて詰所を後にしたザック。

しかし、ザックが詰所から出た通路に一人の
男性が後ろ手に手を組みながらザックの存在
を其の瞳に捉えるのだった。



「貴方は…?」



ザックからの問い掛けに答えようと口を開く
金髪オールバックで短髪の長身の目立つ其の
壮年男性は静かに言葉を放つ。



「私の名はマッド・ゲルティーノ。大監獄プリズングァザの監獄署長を務めている者である…」



口周りと揉み上げに繋がった金色の髭と署長
用の赤と黄色のスーツ型の制服に身を包んだ
大監獄プリズングァザ署長マッドがザックの
前に堂々と立ち塞がった。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...