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第十三篇第三章 血の氾濫
血の氾濫 “腐敗”
しおりを挟む此れは、彼等の血の結束の物語。
初めに政府直下裏帝軍という組織の立ち位置
を把握して頂きたい。
裏帝軍への入隊、其れは帝国軍の入隊試験の
様な大々的なモノは存在しない。
何故なら裏帝軍の人間達もかつては敬意有る
帝国軍入隊試験を通過して来た者達なのだ。
軍団長を務めるグレイを始めとしてシャーレ
達の前に立ち塞がった幹部達も同等。
皆、初めは胸躍らせ夢に種を蒔き明るく空を
照らす太陽を見上げていた者達だった。
だが、しかし帝国軍へ入隊後に勿論の事だが
全員が全員、結果を残せる訳では無い。
争いから敗れ去った者。
はたまた気性が荒く手に負えなくなった者。
様々な理由を付けられ帝国軍から裏帝軍への
異動を命じられているというのが現実だ。
帝国軍とは国王直下を名乗っている。
国王とは勿論だが此のプレジアという国の中
でトップに君臨する象徴と呼ぶべき存在。
其の国王直属を名乗るという事からも帝国軍
は此の国の武力、防衛の最高戦力で在り名誉
な存在だと言うのが解る。
しかし、同じラインから入隊した者達の中に
在っても裏帝軍というのは国王直下では無く
政府直下を名乗らされる。
此れは王家ケーニッヒの国王在っての政府と
此の国の基盤を創り上げたかつての王家の者
が取り決めた絶対の掟だった。
力関係は国王に次いで政府、政府とは国王を
支えるNo.2の組織である。
だからこそ、其の力関係は帝国軍と裏帝軍に
在っても因果関係は崩されない。
裏帝軍とは帝国軍の下で在るという事が明確
に記されている国書すらあるのだ。
従って、裏帝軍所属の人間達は帝国軍の誉れ
高き出世レースから外れた所謂、負け犬達の
集まりである事を意味していた。
勿論、武の腕だけでは無い。
国の象徴として国民に指示される人間性を
持たぬ者達も裏帝軍には送られる。
解り易く言えば決められたルールに縛られず
反発する様な人材等だ。
適合出来ずに裏帝軍へと送られた人間の中に
はただひたすらに組織としての在り方の部分
で内部改善を声に上げた者もいた。
良いものは良い、駄目な者は駄目と声にして
叫ぶ事は雄弁だとも思う。
しかし、其の言葉が内容を見られず詭弁だと
切り捨てられる事も今の世でも俗に存在する
事だとも思ってしまう。
だからこそ、裏帝軍へと堕ちた者達は希望に
満ち溢れていた当時を忘れて行く。
堕落し腐敗して行った者達に当てがわれる様
な任務等、解り切っているだろう。
表には出せぬ、汚れ仕事である。
組織が大きければ大きい程、厄介な火種など
早めに処理して置きたい筈だ。
国の象徴である帝国軍に其の様な任務自体を
落とせる筈も無く、既に政府の中でも価値を
下げられた者達の手に行き届く。
其の理由は簡単である。
裏帝軍とは、いつでも切り捨てられる弱者達
の溜まり場であり有象無象としか見られては
居ないからであった。
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