RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十四篇第一章 追憶の遭逢

雨中の墓参

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此処は、眠りの街ロジカルテスタ。

ロジカルテスタには国家最大の広大さを誇る
屍人の眠る墓地“ネクロゲート”が在る。

屍人達の想いを、まるで洗い流すかの様に空
から降り注ぐ冷たい雨の中、ネクロゲートに
一人の男が訪れていた。

其の男は幾つもの墓標が連なるネクロゲート
の土地の中央に確かな足取りで闊歩して行き
他の場所とは異なり完全に一角を切り抜いた
かの様な荘厳な墓の前に立つ。

複数の大きな墓標と其れ等を囲む様に並んだ
小さな墓標達の中央には一つの石碑が存在し
其の石碑にはこう書かれている。



『歴代、ケーニッヒ王家の墓標』ーと。



其処に辿り着いた一人の男は雨に多少濡れた
ウェーブがかった黒髪に漆黒の身なりの良い
スーツ、純白の高貴さ漂うベルトを腰に巻き
其の墓標の連立を眺めた。

そして、右手に携えた番傘で雨を凌ぎながら
左手に抱えた花束を一つずつ、とある墓標の
前へと膝を曲げて置いて行く。

其の墓に眠る者達の名はこう記された。



『第十四代国王リオス・ケーニッヒ』


『プレジア王家エヴィア・ケーニッヒ』



此の二つの墓標の前で墓参しに馳せ参じた男
は瞳を閉じて、冥福を祈る。



「……親父、兄貴。アンタ達の代わりは俺には荷が重いよ………」



此処で、此の男の名を明かしておこう。

第十四代プレジア国王リオス・ケーニッヒの
次男にして長男エヴィア・ケーニッヒの弟と
なる第十五代にして現在のプレジアの頂点に
君臨する男、ストラーダ・ケーニッヒ。

何を隠そう、渦中のロード・ケーニッヒ。

いや、ロード・ヘヴンリーの父である。

降り頻る冷たい雨の中で眉を顰めて今日迄の
国家の状況を憂う国王ストラーダ。

其処に傘も差さずに外套のフードで滴る雨を
凌ぎながら一人の黒ずくめの男が背後へ静か
に歩み寄って来ていた。

ストラーダは其の存在に気付くが其の外套の
男の方へと振り返る事は無かった。

そして、歩み寄って来た外套の男は墓標の前
に立つストラーダの後方で足を止めた。



「フフフ……随分と疲れ切った様子だな…ストラーダ国王殿……」


「其の呼び名は…止めてくれと言っているだろう…ディル」


「フフフ…止めようが止めまいが…お前は其の運命の輪の中に居るでは無いか…」



訪れたのは何と傭兵武族・死蜘蛛狂天の幹部
ディル・ウォンリザードであった。

漸く振り返ったストラーダの視線を受けて
ディルが外套のフードを緩りと外す。



「……そうだな。どんな罪を背負っていようとも第十五代プレジア国王という肩書きは此の先も消せんか……」


「後先考えない行動派のお前の血は脈々と後世に繋がれている……フフフ……お陰で私は苦労が絶えないよ……」


「………お前には世話になっているよ…感謝してる…」



二人は隣り合わせに立つ様に位置を変え再び
ケーニッヒ王家の墓を眺め始めた。
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