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第十四篇第一章 追憶の遭逢
運命の岐路 “反発”
しおりを挟むそして、刻は流れ、三年後。
ストラーダは兄エヴィアが戦地の初陣を飾り
華々しい勝利を齎した歳と同じ十八歳となり
第十四代国王にして父、リオスからの招集に
応じ皇居の最上階へと来ていた。
「ストゥよ……御主ももう…十八か。エヴィアは其の歳で戦場の指揮官を経験し今や軍師としての才能を花開かせている…御主も戦場は幾度と無く経験してきたろう…依って迫る次戦の指揮を御主に任せたい……何、心配するでない…今回は特別に帝国軍元帥テイラーをも動かす…学び経験するがよい」
父リオスからの命にストラーダは黙り込んで
俯くと瞳を閉じてしまっていた。
「何じゃ…其れでも自信が無いと申すか?情け無い男よの、御主は………」
「いえ…違います………」
ストラーダは意を決して目を見開き言葉を
静かに紡ぎ始めて行った。
「俺は…王家というモノを好きになれない…戦争もそうです…。何故…王家は国民を下に見るのか……理解ができません……」
「ストゥよ。人には誰しも上に立つ者とそうでない者…宿命が授けられて生まれ落ちるのじゃ…我々は気高き神獣…グリフィンの翼から生まれた一族…其の加護に依って此の国を統治するに至った……先祖代々繋いできた運命の灯火を消さぬ為にも…呑み込み背負って…誇り高く生きねばならん………」
リオスからの言葉にストラーダの溜め込んで
来ていた全てが堰を切ったかの様に溢れる。
「生まれで全てが決まんのは…納得出来ねぇし……だとしたら偉いのは俺達じゃねぇだろ……偉いのは其れを勝ち取って来た先祖達だッ!!其の上に胡座掻いて能書き垂れんのが誇り高い王族ってヤツのやる事なのかよッ!?」
ストラーダは喉を焼き切る様に声を荒げると
勢い良く扉から駆け出して行ってしまう。
そして、其の先に円柱に背中を預け此方側を
見遣る兄エヴィアの姿があった。
「逃げるんだな…出来損ないの弟よ…」
足を止めたストラーダは拳を強く握り締めて
兄エヴィアへの怒りを現す。
「兄さん……」
「まあ、案ずるな。ケーニッヒ王家の未来は我が照らしてやろう……そもそも心の弱いお前には…王家での人生は全うし得ないだろうよ……落ちこぼれなんだから……」
「……人の痛みがわからねぇアンタなんかに……説教される筋合いはねぇんだよッ!」
ポンとストラーダの肩に手を当てて煽る兄の
エヴィアの手を振り解きストラーダは皇居の
土地から駆け出して行ってしまった。
「………スピアよ。教育とは難しいモノよの」
「ええ…本当に。国王様も父としては苦戦中ですな……」
「返す言葉も無いわ。すまんが頼めるか?」
「息子を行かせましょう……なに、心配無い。ストラーダ様も頭が冷えたら戻って決ますよ…」
第十四代国王リオスは頭を抱え傍らに待機
していた防衛大臣スピア・テラモーノに頼み
をして溜息を深く吐くのだった。
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