RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十五篇第四章 政府軍〜威光再臨譚〜

時代の節目

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王都リオプレジアに存在する帝国軍本部へと
向かう道中に一人の緑色の髪の男性は段々と
戦争を予期して出された避難命令に因り人気
の減って行く都の町に訪れていた。



「…………ど、どうして。僕は此処に呼ばれたんだろう……?ま、まさか……仕事中に良くお菓子をつまみ食いしてるのがバレた…とか?いやいやいや……流石のあの人でもまさかそんな事まで知ってる筈は無いよね……?う~ん……ダメだ……解らないよお……」



緑の髪の男性は目の前に聳え立つ何とも豪華
な邸宅を前にして門の前で頭を悩ませる。

すると、緩り緩りと重たそうな扉が開く。

其の男性は意を決してガチガチの身体を前へ
押し出す様に中へと進んで行く。

そして、邸宅の奥へと辿り着いた緑の髪の男
は緊張した面持ちで扉をノックするととある
部屋の中を覗き込んだ。



「………遅いぞ。アレス少将」


「ひ、ひぃぃっ!!ご、ご、ご、ごめにゃ……ごめんなさいっ!!!!いやいやいや…も、もうしゅ……申し訳御座いません!!ヨハネ中将っ!!!!」



部屋の中にて少将アレスを待ち受けた人間は
中将のヨハネ・ヒューストン。

だとしたら全てが合点が行く。

此の王都の町に此れ程迄の絢爛豪華な邸宅を
有する事が出来るのも全ては此のプレジアの
歴史の中にも燦然と輝くヒューストンという
名家だからこそで在る。

更に言えば、少将アレス・ニールズが此処迄
心情が揺れ動いていたのもアレスとヨハネの
関係性に紐付いていた。



「アレス少将、君が此れ迄に目的地に遅れて着く事は無かった……だがしかし其処から何故か合流迄に遅れるのが癖……大方、何かまた怒られるのではと、門の前で右往左往していたのだろう」


「……お、おっしゃる通りです……」


「まあ良い。兎にも角にも時間が惜しい…参るぞ、共に」


「えと、そんなに時間が無いんですかね?まだ決行日は数日後ですけど……」



身支度を整えたヨハネが扉の前で背筋を綺麗
に伸ばしたアレスの横へと立つ。

そして、小さく言い放った。



「訪れるのは時代の節目だ……何方に転ぼうとも新たな時代が訪れる……其れを待つのに時間等有って無い様な物だ。我々は此れからも強く気高く……そして美しく無ければならぬ故に」



ヨハネの言葉に深く頷いたアレスは先に扉を
潜り抜けたヨハネの背中を追って行く。

そして、既に因縁渦巻く帝国軍本部へ其の足
を緩り緩りと進めて行くのだった。

しかし、ヨハネの背後で何やら少将アレスは
事あるごとに首を横に傾げている。



「どうかしたのか?アレス少将」


「あ、あの………ぼ、僕は結局の所……何を怒られるのでしょうか?」


「…………醜さは相変わらずだ。アレス少将」



結局、怒る話等、何一つ存在していない筈が
アレスにとってはただ呼ばれた事は無い筈と
疑って掛かっている事にヨハネは小さく呆れ
の込もった表情を浮かべた。
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