RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十五篇第四章 政府軍〜威光再臨譚〜

指切りの約束

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帝国軍本部内、心の間。

最上階に位置する元帥執務室から見て真下に
存在する襖に囲まれた三つの居間。

並べて心・技・体、三つが在るが今回は緊急
で此の三つの間が大将達に当てがわれた部屋
となっており各々が一室ずつを使っている。

其の中の、心の間には大将の一人でガルフを
父に持つアビス・ジャッククォーツが居た。

だが、何故だかアビスはムッとした表情にて
部屋の中心部を見詰めている。



「………何故、平然と其処に居る?」



立ち尽くしたままで、部屋の中心部に置いた
机の横に座り込み何やら、お菓子をパクパク
と口に運んでは笑みを浮かべる女性に対して
アビスは呟く様に問い掛ける。



「えっ?なんでってなんで??」


「……何故、問い掛けに問い掛けで返すのだ……?」


「それはアビスくんだって一緒じゃーん」


「ぐっ……俺が先に問い掛けたのだが?」


「もうっ!!ぐちぐちとめんどくさい事はやめてっ!!ほら…お菓子食べよ?アビスくんっ!」



お菓子を片手に手招きを始めたのは帝国軍の
少将であるエルム・ミュリアルだった。

何故だか勢いに負けて机の前に座したアビス
は言い知れぬモヤモヤを抱えていた。



「………俺は大将…貴女の上司のはずなのだが…友達の様に接して来るのは何故だ?エルム」


「………だって、エルムちゃんの方が一期先の先輩だもーんっ!」


「なっ……まあ其れは事実だ。だとしても友達関係では無かろう…何故、其処に居るかの答えにはなっていない」


「だって、アビスくん。最近ずっと一人ぼっちなんだもん……」



エルムは不思議と寂しそうにそう言い放つ。

すると、アビスは首を傾げて問い掛ける。



「………俺は奴への復讐の為に生きている。馴れ合い等……復讐に必要か?」


「それが一人ぼっちの原因なんだよ?復讐ってゆうのもエルムちゃんには良くわかんないけどさ……一人のまんまじゃ例え、それが達成されてもなにも残らないでしょっ?きっと…多分…だけどさっ」



アビスはエルムの言葉に黙り込む。

すると、エルムが突如として机の上を越える
様に上半身をグッと前に押し出して言う。



「じゃあさっ!これが終わったら……なんか楽しいことしに行こっ?」


「……楽しい事だと…?」


「うんっ!エルムちゃんとアビスくんのデートっ!」


「で、デート……?何故、そうなる?」


「いいからっいいからっ……はいっ!指出してーっ?」



流されるままにアビスの小指とエルムの小指
が結ばれると笑顔でエルムが歌い出す。



「ゆっびきりっげんまーん…うっそついたらっはりせんぼんっ…のーますっ!!ゆびきったっっ!!」


「…………何だと言うのだ…一体…」



エルムなりの優しさ、なのかもしれない。

困り顔のアビスの顔を覗き込み笑顔振り撒く
エルムの前では大将でさえ形無しだった。
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