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第十六篇第一章 “日の出戦争”
直進する奪還隊
しおりを挟むそして、陽動四隊とは別に組織された国王達
の奪還を目指す五番隊は、真っ直ぐに帝国軍
本部の敷地内を邁進していた。
此の隊の所属メンバーは、六撰将の内ガルフ
を抜いた五名のメンバー達。
「大体、時間も予定通りだ。コレは完全にスケジューリングの勝利だね……帰ったら此の成功体験を社内に落とし込まないとね」
六撰将兼M・S・システムズの代表取締役を
務めるマルク・セイアートがそう話す。
「マルクさん……戦争での成功体験は中々、会社には落とし込みづらいんじゃ……」
六撰将兼孤児村ピースハウスの経営者である
ザック・トニーキースはそう反応する。
「貪欲なる姿勢は良き事ですよ。総てを前進させようとするとは……素晴らしいですね」
六撰将兼プレジア政府法務省に所属していた
ガスタ・レイノルズは目尻を下げる。
「ウフフ……個性が色豊かで面白いですわね。早く国王様達も混ぜてお話してみたい所です」
六撰将兼由緒正しき歴史を誇る鳳凰殿の巫女
リア・フローレスは笑ってそう話す。
「そりゃ間違いねえってぇの。かなりお待たせしちまっとるからな……今行きやすぜ……ストラーダ様ッ!!」
六撰将兼プレジア政府防衛省に所属していた
ランス・テラモーノはそう気合いを込める。
そして、奪還を目指す五番隊の行方の先にて
緩りと地下の階段を降りた場所では牢の前で
二人の人間が手ぐすねを引いていた。
「問題は未解決の儘だが……そうだな。此れ程の愉悦は中々味わう事が出来ぬ……」
牢の前で椅子に片足を組んで座った其の男は
白い手袋を引っ張ってニヤリと笑う。
「国王様……恐らくとんでもない量の血が流れます……ですが、総ては貴方様の裏切りが原因である事をお忘れ無き様に……」
もう一人の眼鏡の女性は牢に繋がれた国王と
其の妻に対し厳しい表情でそう話した。
此の二人は宰相ガズナから此の命を受け此の
帝国軍本部の地下牢に幽閉した罪人二人の身
を守護する任を受け持った。
宰相警護特命衛士兼現政府環境省に所属する
女性、イヴ・パルテナス。
同じく宰相警護特命衛士兼財務省に所属する
男性、アダム・リスキーノ。
此の二人に護られる地下牢には此の戦争勃発
の火種となった男であるプレジア王家の国王
ストラーダ・ケーニッヒ。
そして、其の妻でありロードの母親。
サーラ・ヘヴンリーの姿があった。
「…………ロードまで来ているのね…」
「………ああ、俺達が撒いた火種の処理をアイツにまで背負わせてしまうとは……だが、信じる他無いな……変革の為なのだ…」
「……ぅう……ごめんなさい…ごめんなさいッ……ロードッ……」
予測はしていた筈だった。
だが、真横で涙に暮れるサーラの姿を見ると
ストラーダの胸は張り裂けそうになる。
生まれが違う、此れだけが罪となる時代。
時代が時代なら、何の罪にも問われない。
其の問題が戦争勃発の火種となった事を今は
悔いるしか無いというのだろうか。
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