RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
699 / 954
第十六篇第一章 “日の出戦争”

直進する奪還隊

しおりを挟む





そして、陽動四隊とは別に組織された国王達
の奪還を目指す五番隊は、真っ直ぐに帝国軍
本部の敷地内を邁進していた。

此の隊の所属メンバーは、六撰将の内ガルフ
を抜いた五名のメンバー達。



「大体、時間も予定通りだ。コレは完全にスケジューリングの勝利だね……帰ったら此の成功体験を社内に落とし込まないとね」



六撰将兼M・S・システムズの代表取締役を
務めるマルク・セイアートがそう話す。



「マルクさん……戦争での成功体験は中々、会社には落とし込みづらいんじゃ……」



六撰将兼孤児村ピースハウスの経営者である
ザック・トニーキースはそう反応する。



「貪欲なる姿勢は良き事ですよ。総てを前進させようとするとは……素晴らしいですね」



六撰将兼プレジア政府法務省に所属していた
ガスタ・レイノルズは目尻を下げる。



「ウフフ……個性が色豊かで面白いですわね。早く国王様達も混ぜてお話してみたい所です」



六撰将兼由緒正しき歴史を誇る鳳凰殿の巫女
リア・フローレスは笑ってそう話す。



「そりゃ間違いねえってぇの。かなりお待たせしちまっとるからな……今行きやすぜ……ストラーダ様ッ!!」



六撰将兼プレジア政府防衛省に所属していた
ランス・テラモーノはそう気合いを込める。



そして、奪還を目指す五番隊の行方の先にて
緩りと地下の階段を降りた場所では牢の前で
二人の人間が手ぐすねを引いていた。



「問題は未解決の儘だが……そうだな。此れ程の愉悦は中々味わう事が出来ぬ……」



牢の前で椅子に片足を組んで座った其の男は
白い手袋を引っ張ってニヤリと笑う。



「国王様……恐らくとんでもない量の血が流れます……ですが、総ては貴方様の裏切りが原因である事をお忘れ無き様に……」



もう一人の眼鏡の女性は牢に繋がれた国王と
其の妻に対し厳しい表情でそう話した。

此の二人は宰相ガズナから此の命を受け此の
帝国軍本部の地下牢に幽閉した罪人二人の身
を守護する任を受け持った。

宰相警護特命衛士兼現政府環境省に所属する
女性、イヴ・パルテナス。

同じく宰相警護特命衛士兼財務省に所属する
男性、アダム・リスキーノ。

此の二人に護られる地下牢には此の戦争勃発
の火種となった男であるプレジア王家の国王
ストラーダ・ケーニッヒ。

そして、其の妻でありロードの母親。

サーラ・ヘヴンリーの姿があった。



「…………ロードまで来ているのね…」


「………ああ、俺達が撒いた火種の処理をアイツにまで背負わせてしまうとは……だが、信じる他無いな……変革の為なのだ…」


「……ぅう……ごめんなさい…ごめんなさいッ……ロードッ……」



予測はしていた筈だった。

だが、真横で涙に暮れるサーラの姿を見ると
ストラーダの胸は張り裂けそうになる。

生まれが違う、此れだけが罪となる時代。

時代が時代なら、何の罪にも問われない。

其の問題が戦争勃発の火種となった事を今は
悔いるしか無いというのだろうか。



しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...