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第十六篇第二章 天下分け目の大戦・壱
戦火の凶弾
しおりを挟む互いにオーラを纏っての激しいぶつかり合い
が繰り広げられ戦いは加熱して行く。
幾度とも無く互いの武器が混じり合い甲高い
金属音を奏でながら両者が翼を羽ばたかせて
鎬を削りあって行った。
「しぶといな……さっさと白旗を上げてくれても良いものを……」
「それ、誰に言ってる?」
加速する戦いの中で両者はまだ余裕を持つ。
特にアレンは常に笑みを浮かべて、ノエルの
放つ攻撃を全て見切っているかの様に振舞い
武器を振るっていた。
「此の戦いだけではない。此の戦争其の物の話だ……貴様等では俺達、政府を堕とす事など不可能……何故、わざわざやられに来たのか疑問だ」
「それ、本気で言ってんの?」
戦いの最中でノエルがアレンの返答に対して
完全に黙り込んでしまう。
「この国を変えなきゃいけないって事を俺達は俯瞰して見た時に気付いたんだよ。だからここにいる」
「幻想だ。其れは……。そして、其れを貴様等が成そうとしようとも…辛い思いをするぞ?ならば貴様等で無くても良いだろう」
「………何度も聞くけど……それさ、本気で言ってんの?」
アレンは、ニヤリと笑って言葉を続けた。
胸の内の想いに力強く覚悟を込めて。
「別に俺等がしなきゃいけない理由はねぇよ?でもさ、俺等は気づいたんだぜ?変えなきゃいけないってさ……それを解ってる俺等が……黙って引き下がる理由にもならねぇよ!!そんなのはッ!!」
アレンのカットラスが瞬間的にノエルの圧を
抜き去ったかの様に空中で振るったアレンの
水流の一撃がノエルを吹き飛ばす。
空中から、仰向けに突き落とされたノエルの
身体に渦巻く様に張り付いた水流が地面へと
到達する直前に勢いを増した。
そして、激しい水流と共にノエルを地面へと
突き刺す様に炸裂したのだった。
だが、瞬時に立ち上がるノエル。
傷は深いが負ける訳には行かない。
そして、翼をはためかせた其の瞬間だった。
「……………ぐっ……しまっ…」
空中に飛び上がっていた筈のアレンの身体に
異変が起こったかの様に重心がぐらつく。
其の原因は、地上から放たれたノエルの部下
からの射撃の弾丸だった。
其の弾丸が数発、アレンの身体を射抜き体勢
がぐらついた所にノエルが追撃を行う。
「済まんが、此れは戦争。正々堂々の勝負では無い……俺を許す必要も無い、あの世で幾年も恨み続けるが良いッ!!」
空中のアレンに向かって飛翔するノエル。
其のノエルの身体の周りには疾風から生まれ
翼をはためかせる何匹もの白い鴉の群れ達が
飛翔を始めていた。
「絶技…… 鴉鋭爪・群鴉………ッ!」
正に形勢逆転。
アレンの身体は、ノエルの絶技から放たれた
鴉の群れと鉤爪の一撃に依り切り裂かれた。
そして、血を噴き出しながらアレンは緩りと
地上へと堕ちて行くのだった。
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