RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第七章 天下分け目の大戦・陸

男を伝説たらしめる理由

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六撰将三人が放った連携技がクロスを襲う。

六撰将達も流石のクロスでさえ、此の攻撃は
躱せず、決まるであろうと考え三人の心内は
既に其の後に向かっていた。

だが、伝説の男とは伊達では無い事を此処で
クロスが身を持って証明しに掛かる。



「………甘いな。まるで御遊び……ガキの戯れだな……」



ふと、発せられた言葉に三人は慌ててクロス
に向けて改めて注意を向ける。

言葉通りと言えば、言葉通りなのだろう。

クロスは、足裏に波動を集中させると先ずは
手始めとばかりに、マルクの与えた方向をも
決め付ける特性を意図も容易く破った。

そして、巨大な斧を振り上げると同時に地面
が紅葉色の隆起となって盛り上がる。

其の紅葉色の大地がリアの放つ真珠色の水流
を完全に封じて見せたのだ。



「ま、まさか………」


「泡沫を眺めていたのかしら……私達は…」


「弱ったね……こんなタスク…誰が残っても無駄だったんじゃないか……?」


「いや、やるしかないです……皆さん…」



三人は、顔を向き合わせて頷き合う。



「「絶技……」」



ザックは足場を青鈍色の土を固めて踏ん張り
ボウガンから天地が揺れる程の一矢を放つ。

同じくマルクは、全波動を角の槍に込めると
身体を旋回させながらクロスへ突っ込む。

リアは、羽ばたき大空へと舞い上がって行く
と翼から溢れた羽根達がまるで大河の様へと
変化しクロスを呑み込もうとした。



 天地鳴動・亀浄ノ一矢てんちめいどう・きじょうのいっしッッ!!!!」


 突甲撃・螺旋突とっこうげき・らせんとつッッ!!!!」


 賢唱・鶴御ノ舞けんしょう・つるみのまいッッ!!」



三人は手の内の総てを晒け出してでもクロス
を打倒する為に、早まり絶技を放つ。

だが、焦りの中で放たれた此の大技もクロス
という強者にとっては気にする事も無い。



本当に、唯、それだけなのだ。


同じ様に斧を振る衝撃と大地のギフトの技で
クロスは三つの絶技を完封してしまう。



「怪物…でしょ。こんなのさ……」



ふと、溢したマルクの本音。

其れは、三人にとって共通の感情だった。

恐怖に塗れた六撰将の三人はクロスを眺めて
後退りを本能的にしてしまう。

其処で、決まった事が一つだけあった。

簡単な事だ。

彼等、彼女等、三人の敗北だ。



「ワシ等は政府直属の国家最強部隊…帝国軍だ。何百年の歴史があると思う?主等みてェな“賊”なんぞ……数え切れぬ程に、返り討ちにして来た…。そして、此の国を護って来たんだ……諦めろ、もう終わりだ…」



其の、言葉が深く深くに突き刺さる。

まるで、棘の様にもがけばもがく程に奥へと
突き刺さり抜く事が難関となって行く。

此れは、現実なのだ。

振り上げられた斧、隆起していく紅葉色の地
そして、降り注ぐ岩礁の雪崩。

何一つの傷を与える事すら出来ず蹂躙を許す
六撰将の面々の目に映るのは伝説と呼ばれた
“猛虎”を異名とする男の姿。

其れは、余りに圧倒的で余りに無慈悲である
と叫びたくなる程の力量差だった。



帝国軍本部、中庭の戦い。

同盟軍マルク・リア・ザックvs政府軍クロス

勝者クロス・ヴェルタイガー。
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