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第十六篇第八章 天下分け目の大戦・漆
角竜リゼアvs鋏裁ロア
しおりを挟む泡の砲弾をリゼアが鉞で斬り伏せる。
其れを見たロアはニヤリと笑みを浮かべた。
「おっと…残念……そっちは最悪の道への入り口だっての……ッ」
鉞に依り、斬り伏せられた泡の砲弾が衝撃を
受けて爆発を起こすと、まるで連鎖した様に
其れに続く砲弾が大爆発を始めた。
其れも其の爆発は、数が増えると共に勢いを
増して連鎖して行く。
此れは、ロアの覚醒の固有特性“爆連”。
ロアの波動に依る砲弾が触れ合う回数と同じ
だけ爆破が倍々ゲームとなっていく特性。
深藍色の爆煙に呑まれたリゼアの末路を見て
ロアは完全に勝ちを確信して笑う。
しかし、驚きは直ぐ其処へと来ていた。
リゼアは、ほんの少しだけの傷を負ったのみ
の状態で鉞を振るい其の爆煙を切り裂きロア
を目指して突破の勢い其の儘に突っ込む。
「……はァ?あんだけの爆発でそんな小さい傷で済むってのか…?」
「無論。某のチカラは貴公の特性をも凌駕した。後は……滅するだけである」
振り下ろされた鉞を慌てて避けたロアは空中
にて再度、数十発の泡の砲弾を放つ。
地に残ったリゼアはまたも連鎖する大爆発を
一身に受けて其の爆煙の中に取り残された。
だが、またも鉞を振るい爆煙を切り裂く。
其の身体には、大きな傷は刻まれていない。
「どうなってる…?幾ら覚醒体が誇る防御力が高くても…あんだけ喰らってそんなにピンピンしてられるワケ無いだろ…?」
「本来ならそうである。だがしかし、某の覚醒が持つ固有特性が其れを打ち消しているのだ」
「……どんな能力だよ、其れ……」
リゼアの覚醒、其の固有特性は“耐性”。
此れは、波動の領域が本人と同等か其れ以下
の相手の持つ特性の効果を受けないという類
のチカラであった。
ロアの放った泡の砲弾は、倍々ゲームという
チカラを失い個の爆破を起こしただけ。
其れだけでは、既に波動を消費している状態
のロアには超えられないのも必然だった。
「だったら…普通に実力で沈めるだけさ。アンタも…後ろにいる…多くの国逆のモン達もな……ッ」
ロアが深藍色の波動を高めて行く。
すると、ロアの身体が流星のギフトの特性の
一つ“泡沫”に依って分身して行く。
そして、一斉に蟹の鋏を模した腕をリゼアに
向けて狙いを定め始めた。
「絶技… 鋏泡斉射・泡沫夢幻砲ッッ!!」
絶技が誇る波動に依って水分身が実態を得て
其の複数体、全てから高密度に練られた泡の
弾丸が一斉に放たれた。
其れを見たリゼアは黄蘗色の波動を練る。
そして、其の波動を高めて二刀の鉞を構えて
正面から受けて立つという姿勢を見せた。
「儚い夢に踊らされるのも此れで終わりだッッ!!!!」
ロアの叫びと共に、リゼアは大爆発の勢いに
呑まれてまたしても爆煙の中に姿を消した。
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