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第十六篇第十一章 天下分け目の大戦・什
“伝説を打倒せよ”
しおりを挟むU・Jが一気に波動を高める。
そして、足に全身全霊を叩き込み、地を蹴り
クロスの懐へと一気に潜り込んだ。
そして、十手に濡羽色の水流を纏わせクロス
の足元から半月状に振り上げる。
其れをクロスは、半歩のバックステップにて
回避すると、十手に纏われた流水のギフトの
特性“連撃”の範囲を完全に見切った。
「ハッ…数ミリとどかねぇってトコで躱すかよ…伊達じゃねェのも大概にしろよなッ!?クロスの旦那ァ!!」
完全に攻撃を見切られたU・Jではあったが
其処から一歩を踏み込み、乱舞する様に十手
を振るってクロスへ攻め込む。
しかし、クロスは其の総てをギリギリの所で
回避し、圧倒的な余裕を見せ付ける。
「どうした…U・J。ワシはテメェにガキの遊戯なんざ教えてはねェぞ…ッ?」
クロスは斧を持たない左手でU・Jの肩部分
を掴むと、其の場所から大地のギフトの特性
“振動”をU・Jの身体に叩き込む。
「グッ…ッァア…ッ!!」
体内に直接、送り込まれた振動に依りU・J
は血反吐を吐き出しながら十手でクロスの手
を振り解き、バックステップで距離を取る。
「おー……揺れたぜ。内蔵とか骨とか…なんかもろもろな…」
「次は…身体の中のモン…潰してやる。眈々とな…」
「おお、怖ぇ…怖ェ……。でもまあ、驚きはしないぜ?旦那が伝説と呼ばれてんのも…俺は近くで見てたからな。これでまだチカラの半分以下だろ…」
「だったらどうした?チカラを半分に限定してもテメェじゃワシには敵わん」
クロスは、今、一つ言葉を出し違えた。
絶技、固有特性と未だチカラには上限の部分
が残されており、チカラには上が在る。
だが、流す波動、ギフトの放出量は今の所で
既に上限値に近い部分だったのだ。
其れは、師として強がりを述べた結果、此の
言葉違いが起きたのでは無い。
U・Jの突発的な波動の上昇が其れをクロス
から無理矢理、引き出したのだ。
敵わないと言葉を発しながらも愛弟子の力量
が此処迄、錬磨されていた事に目を細める。
「だはははッ……良いねェ。そうじゃなきゃよ。でもな、俺はめちゃくちゃ今でマックスだ…あんま期待すんなよッ…旦那ァ!!」
「……フン…」
期待、以上だ。
クロスにとって、此れ程の喜びは無い。
其れが、敵として相見えて無ければどれだけ
喜びは倍増した事だろうか。
ほんの少しの胸の締め付けもぐちゃぐちゃに
丸めてかなぐり捨てたクロスは斧を構え眼前
へと迫るU・Jに対抗する。
「ウオォッ!!」
「ドラァァ!!」
雄叫びと共にぶつかり合う武器が放つ衝撃波
が石柱群の間に、響き渡る。
そして、背後へと跳んだU・Jの振り切った
十手から放たれる水撃の散弾の嵐を地上から
眺めてクロスは一つの決心を見せる。
其れは、本気で愛弟子を潰して此処で裏切り
という行為の道を止める事だった。
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