RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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最終篇第二章 “薔薇に潜む金獅子のルーツ”

勇猛なる獅子

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エルヴィスは、顔を上げる。

其の表情は笑みを浮かべ、未だ希望という光
を帯びた、やたらに真っ直ぐなモノだった。



「良く知ってる…何度も何度も味わって来たからだ…」



エルヴィスの心の中の景色は、ララと対決を
始めた最初と何ら変わっていなかった。

絶望的なチカラの差、圧倒的な敵を前にして
味わって来た悔しさの数々。

其れは、エルヴィスが反乱軍を立ち上げ其の
頂点に君臨する迄の十年で幾度も彼の前へと
立ち塞がって来たからだ。



「順風満帆じゃ無かったぜ…。ウィルフィンにアドラス…其れにゼロ…アイツ等を仲間として迎え入れる迄に俺が何回…殺されそうになったか知らねェよな…アンタは……」



エルヴィスの言葉に、ララは口を噤む。



「其のたんびによ…隠れて泣いてるアドリーを何回…見た事か……」



そして、ララが口を開いて言葉を遮る様にし
自身の想いをエルヴィスに向ける。



「なら、此処で止まりなさい。貴方じゃ私には敵わない…解ってる筈よ」


「いいや、解らねェし、解りたくもねェ。アイツ等に此れ以上、苦しい思いをさせるつもりはねェからだ…」


「子供の台詞よ、其れは。努力すれば何でも出来るなんてそんな甘い世界は無いの…」



其の言葉に、エルヴィスはニヤリと笑う。

そして、自信に満ち溢れた表情で次の言葉を
言い放ち、覚悟を見せ付ける。



「上から目線の奴はよ…みんな同じ様な事を言いやがる。けどな、理屈じゃねェんだ。絶望なんか関係ねェ…今迄、何度も……乗り越えて来たんだからなァァ!!!!」



エルヴィスの叫びは、其の身体に、其の心に
自身を奮い立たせるチカラを宿らせる。

まるで、百獣の王が其の地に君臨し、雄叫び
を上げたかの様に衝撃の波を起こした。



「……波動が…膨れ上がって行く……」



ララは、目を見開いた其の変化を感じ取って
次のエルヴィスの動きに身構える。



「誰よりも雄々しく…誰よりも勇猛果敢に…其れが曲者揃いの反乱軍を率いる唯一無二の手段だった…俺は其れを体現して来た…」



まるで、地鳴り。

白柱ノ塔・南、其の頂上を彩る薔薇色の蔓や
剣山が襲い掛かる中、エルヴィスの放つ輝き
は其のどれをも上回る。

洗練された、其の速度で迫り来る蔓を潜って
襲い掛かる剣山を其の威力で破壊し、ララの
眼前へと神速の動きで辿り着く。

そして、振るわれた双剣の動きに何とかララ
の刀は追い付いたが、威力に押されて背後へ
一気に吹き飛ばされてしまう。



「獅子奮迅…百獣の王のチカラに限界なんかねェよ…もっと上に行けるぜ…?」



エルヴィスの固有特性が発動していた。

其の名も、“奮迅”。

迅雷のギフトでありながら、業火のギフトの
特性“昇華”に似た能力を獲ている。

其の上で、エルヴィスには元々の特性“貫通”
さえ備わっており、其の破壊力は未だに頂点
の景色を見せる事すら許さない。
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