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最終篇第七章 “夜明けの唄”
国王としての“最後”の言葉
しおりを挟む後に語られる“日の出戦争”の最終幕。
開戦を告げたあの時から、数時間。
其の幕は今遂に閉じられようとしている。
其の舞台は、王城と帝国軍本部の間に場所を
構える屋外の広間で執り行われる。
其処には一部の重症者を除き、帝国軍の面々
裏帝軍、監獄勢、大臣達の姿が見える。
更には、同盟軍に加盟した反乱軍、革命軍に
六撰将、そして死蜘蛛狂天の姿。
そして、バルモアの人間を含めた其の中心に
立ったロード達の姿もあった。
其の者達が列を成し、軽く首を上げて見遣る
石段の高台の上に立ったのは此の戦争の上で
対立した同盟軍と政府軍の中心。
ストラーダとガズナだった。
「皆、良く聞けッ!!」
口を開いたのは、現国王ストラーダ。
多勢に声を届ける様に腹から声を絞り出す。
「俺達は、国の存亡と未来を賭けて多くの負傷者、犠牲者を出した此の戦争の当事者となったッ!!其の傷は癒やす事なんて出来ねェ!!其れが、戦争ってモンだッ!!」
其の声に総ての人間が耳を傾ける。
「だが、各々が掲げた正義はどんな道を通るかが違うだけだろうッ!?総ては愛する此の母国プレジアの為だった筈だッ!!道は違えた…だが終着点は同じッ!!戦争を無かった事に等は誰にも出来んッ!!犠牲は帰る事は無いッ!!だからこそッ!!!!俺達には使命があるだろうッ!!此のプレジアという国の為に……俺達は其の終着点にて手と手を結ばなければならねェ!!」
ストラーダの言葉に、列を成した者達が近く
に居る者達と互いに目配せを仕合う。
「互いに違う旗を掲げ、血で血を洗う戦争は此処を持って、終いだッ!!此処からは新たな始まりを示さなくちゃならねェ!!今こそ手を取り合い……立ち上がれッ!!誇り高きプレジアの民よッ!!」
段々と列を成した者達から歓声が形と成りて
其の広間を包んで行く。
バラバラだった歓声が一つの大きな声と成る
頃には涙する者、笑う者、肩を組む者、様々
な感情が入り乱れたが、其処に喜びでは無い
感情を持つ者は確認出来なかった。
此れだけの人数、だ。
居たかもしれない、だが、呑み込まれて行く
事こそ運命だったのだろう。
其れだけの歓声が上がったのだから。
「………熱を当てちまった所、悪いがよ皆。傷は深く、擦り減った心を癒やすには時間が必要だな……王城の食糧庫を開くッ!!完全解放だッ!!!!暫しの宴を持って、和睦という名の和解ッ!!!そして更なる未来へと英気を養うとしようやッ!!!!」
其のストラーダからの提案に戦士達は更なる
大歓喜の輪が広がって行く。
帝国主義に於いて、最も食糧が集まる場所は
王族の居る場所なのは明白。
書き記すなら、売る程に在る、が正しい。
其れを完全解放し、和解の宴を開く。
ストラーダに個人にとっても、王族という名
からの脱却を考えた第一手となった。
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