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10 ときめきの章

なんか・・・ごめん。

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高校に入学したばかりの教室。
私はいきなり3人の男子に口説かれた。

中学の時より、ちょっとだけ痩せた結果の、高校デビューだ。
自分で言うのもなんだけど、ちょっと美少女になった。

でも、話はもっと複雑だった。
私には前世の記憶があったからだ。
私の前世は、あの織田信長。

今世では、女の子になって見ました。




そして、私を口説こうとしている3人の男子。
感の良い読者なら気づいたかも知れないが、
前世では、光秀、秀吉、家康だった男子達だ。
どうも前世の記憶があるのが私だけらしく、
3人は私が信長だったとは知る由もない。



「君と一緒に居ると、なんか良い事がありそうな気がする」

と元秀吉と元家康は口々に言った。
そりゃそうだろう、お前らは!

それに比べて私は・・・

私の脳裏に燃える本能寺の光景が浮かんだ(泣)




さて、こいつらとは別に、
もうちょっとおぞまし光景を読者に紹介しよう。




私が入学した高校の教室には、こいつらの他に、

今川さん、斉藤さん、浅井さん、朝倉さん、
六角さん、松永さん、武田さん、などなど・・・・

私が前世で攻め滅ぼした方々がずらりと揃っていた。

おぞましーY(>_<、)Y

救いは、この方々も前世の記憶がない事だった。

それは良かった。本当に良かった。



しかし、それにしても、元光秀&元秀吉&元家康はしつこい。

30分以上私を口説き続けている。

つい私は

「もー、ちょっと、しつこいよ!」

と大きめの声を上げてしまった。


すると教室中が一瞬で凍(い)てついた。

見ると誰もが、恐怖に怯え、そして死を覚悟した目をしていた。

心の奥に潜む前世からの恐怖が湧き上がって来たかの様に・・・

今の日本人が絶対することが無い表情だ。


パッと見は、女子高生が、ちょっと大きめの声をだしただけなのに・・・


なんか・・・ごめん。



おしまい
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