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1章 離島から来た少年

第1話 雨女さまの来訪。

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雨の日の夕方。

丘の上のレストランの駐車場には、ピンクのラパンが停まっていた。

かすみが、レストランの勝手口から入ると、さっそくひよりが声を掛けてきた。


「かすみちゃん、びしょ濡れじゃない!風邪ひくから早く着替えて!

言ってくれたら迎えに行ったのに」


祖父母のレストランでバイトをしてもらっている、女子高生だ。

人懐っこい性格で、すぐに、かすみのお姉ちゃんみたいな存在になった。

中学生のかすみに取ってとても頼もしい存在だ。


「雨の日は客が多いから、いいよ」

祖父母のレストランは、なぜか雨の日は客が多い。

何故なのかは不明だ。


「着替え手伝おうか?」

「いいよ」

「一緒にシャワー浴びる?」

「浴びない!」

ひよりは人懐っこいが、ちょっとウザい。


かすみは自分の部屋に駆け上がると、素早くシェフの制服に着替えた。


レストランの厨房に入ると、ひよりが小声で言った。

「また来てるよ、雨女さま」


雨女さま。

雨の日になると必ずくる女性客だ。

着物を着て大きな赤い傘を持っているから、それはそれは目立つ。


そして晴れの日に、絶対見かけない。


「注文、行って来るね」

ひよりは、注文を取りに行った。


注文は決まっている。

珈琲とデミグラスオムライスだ。


まあ、得意料理の1つだ。問題ない。


なぜ雨女さまは、なぜ雨の日にだけ来るのか?

かすみは、デミグラスオムライスを作りながら考えた。



つづく へお越し頂けると嬉しいです♪ ルン♪ o(≧▽≦)o ルン♪
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