少女が、禁断の暗黒曲『地獄へ』を歌うに至った訳

健野屋文乃(たけのやふみの)

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1話 投げ銭は勝利の音がする♪

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わたしの名は【ななえ】自称路上ミュージシャンだ。

わたしは清楚系女子を装うワンピースから、Tシャツにジーパンのラフな格好に着替え、ギターを抱えて街に出た。

わたしは持ち場に陣取って、歌い始めた。
夕方、帰宅を急ぐ人々が、足早に通り過ぎていく。

チャリン♪

投げ銭箱に投げ銭が投げ込まれた。音から100円だろう。

わたしは、ギターを弾きながら軽く会釈をした。

投げ銭をした、このふとっちょくんは、投げ銭をした日は、買い食いをしない。
1日に使う額を決めているのかも知れない。

お前、それ以上カロリーの高いもん食ったら、危険領域にはいるだろ。
って状態なのに、いつも、あげものや甘いものを買って店の前で食べているのだ。

投げ銭をする時と言うのは、きっとわたしの歌が心に響いた時なのだろう。
その時は、わたし自身も「決まった」と思うのだ。

だから、わたしは決意した。
わたしの歌で、このふとっちょくんをダイエットさせてみたい、と。


つづく
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