1 / 1
その後に続く未来に・・・
しおりを挟む
俺は自称天才漫画家(誰にも言われた事はないが)
最近、ネットで上げた漫画が収益化し始めた♪
でも、時給換算すると、5円未満と言う悲劇的な事は考えないとする。
そんなある日、夕方に駅前のかつ丼屋を出たところで、俺はピンクのジャージを来た女子大生に呼び止められた。
その格好から、この近所にある大学の女子寮の子だと言う事は、すぐわかった。
ノーメイクで寝癖が残る、その女子大生は、
「あなた、赤毛の狼でしょう」
と殺気すら感じる目つきで彼女は言った。
赤毛の狼!!!!!
俺のネットでの漫画家名だ。
ネット内で言われるならまだしも、人通りの多い駅前で言われるとかなり恥ずかしい。
その女子大生の険しい目つきに、
「とりあえず、落ち着こう」
と俺は彼女を、シェアアトリエに誘った。
シェアアトリエに向かう途中、俺は彼女に関する記憶を辿った。
この学校が乱立する学生街に住んでる以上、見かけたことはあるかもしれないが、
それ以上は思いつかなかった。
【赤毛の狼】の名前を知っている以上、ネットで知り合った人間か?
しかし、顔も本名も公表していない以上、俺が【赤毛の狼】であることを特定できないはず。
歩きながら彼女は
「やっぱりあのかつ丼屋に現れた。書いてあった通りね」
と言った。
確かにかつ丼屋の事は、写真入りで色んな所で何度も書いた。
SNSからたどったのか!俺は思い返した。
幾つかのSNSから俺自身に、たどれないことは無い。
カツ丼屋を張り込み、自慢したTシャツを着て、自慢したショルダーバックを持った男を捜せば、俺に行き着く・・・しかし、そこまで努力をして、俺を探し出して何の意味がある?
シェアアトリエに入ると彼女は突然
「赤毛の狼!覚悟!」
と言って刃物を振りかざして襲い掛かってきた。
俺はとっさに自慢のバックで刃物を防ぎ、刃物を奪い取った。
しまった!お気に入りのショルダーバックが!!!!!
俺はショルダーバクを肩からはずし、損害に確認した。
うろたえた俺は
「何で?何で?」
と叫んだ。
「レンを殺しておきながら、よくもカツ丼なんか食ってられるわね!」
レン?レン?レン?
あっ!俺の漫画のキャラクター
俺は変態女に向かって、
「漫画の話だろ!ふぜけんな!現実と漫画の区別ぐらいちゃんと付けろよ!」
と諭すように言った。
こういう現実とフィクションの区別のつかない奴は、大嫌いだ!
世界がおかしくなったのだろう。
変態女は泣きながら、
「わたしがレンの事、好きだって事知ってたくせに!」
「誰だよ、お前?」
「エマ伯爵夫人よ!」
その名前を聞いた時、俺は怒りに手が震えた。
エマ伯爵夫人!?
寝癖ありのピンクのジャージなのは、伯爵夫人のイメージからかなり逸脱はしているが、俺が唯一天才と認める絵師にして、今読んでるネットの漫画の作家だ。
そして、漫画内で俺の愛しのレイアを殺した張本人だ。
「よくも俺のレイアを殺してくれたな!」
俺は刃物で襲い掛かった。
彼女は俺の自慢のバックで、素早く刃物を防いだ。
えええええええええ!
俺のお気に入りのショルダーバックがズタズタに!!!!
俺は涙を流しながら叫んだ!
「あんないい人を殺して、お前はよく生きていられるな!俺のレイアを返せ!」
「2次元と3次元の区別もつかないの、馬鹿じゃない!」
「2次元だろうが3次元だろうが、殺人は殺人だろうが!」
俺とエマ伯爵夫人は、シェアアトリエ内で激しく戦いを繰り広げた。
そう、俺は!
レイアの仇を打たねばならない!
でも時間の経過とともに、俺とエマ伯爵夫人は冷静さを取り戻して行った。
それはそうだろう。幾らなんでも、いつまでも熱狂は続くはずはないのだ。
☆彡
静まり返ったシェアアトリエには一晩中、誰も来なかった。
だから俺とエマ伯爵夫人は、一晩中、レンとレイアの死を嘆き、お互いの漫画を罵ったり絶賛したりした。
こんなにも自分の漫画を熟読している人に実際に会うのは初めてだったし、こんなにも感情移入してくれる人に会うのも初めてだった。
そこは嬉しかったんだと思う。
話してみて気づいたのは、お互いの欠点を補い合えば、上手く行くんじゃない?ってこと。
夜が明ける頃、俺は告げた。
「俺と一緒に夢を追わないか?」
「夢を追う?」
「漫画家としてコンビを組まないか?」
「コンビ?」
「死んだレンやレイアの為にも(なんのこっちゃ!←冷めた赤毛の狼の思考)」
「それが生き残ったわたしたちの使命だと(なんのこっちゃ!←冷めたエマ伯爵夫人の思考)」
「俺たちが組むことを、レンとレイアは望んでいたはず(なんのこっちゃ!)」
「お互いの欠点を補完し合えると?あなたアホなの?」
「もしエマ伯爵夫人の事を天才だと思った俺がアホなら、アホなのだろう」
☆彡
そして俺らは、2人で夢を追い始めた。
漫画を描けることはしあわせだが。やはり収益は欲しい。
俺とエマ伯爵夫人の欠点を補い合った結果、収益は足し算ではなく、掛け算の様に増えていった。
エマ伯爵夫人と、いつまで一緒にいるかは解らないけど、とりあえず収益の結果に、二人でにやけ、その後に続く未来に希望を持つことが出来た。
完
最近、ネットで上げた漫画が収益化し始めた♪
でも、時給換算すると、5円未満と言う悲劇的な事は考えないとする。
そんなある日、夕方に駅前のかつ丼屋を出たところで、俺はピンクのジャージを来た女子大生に呼び止められた。
その格好から、この近所にある大学の女子寮の子だと言う事は、すぐわかった。
ノーメイクで寝癖が残る、その女子大生は、
「あなた、赤毛の狼でしょう」
と殺気すら感じる目つきで彼女は言った。
赤毛の狼!!!!!
俺のネットでの漫画家名だ。
ネット内で言われるならまだしも、人通りの多い駅前で言われるとかなり恥ずかしい。
その女子大生の険しい目つきに、
「とりあえず、落ち着こう」
と俺は彼女を、シェアアトリエに誘った。
シェアアトリエに向かう途中、俺は彼女に関する記憶を辿った。
この学校が乱立する学生街に住んでる以上、見かけたことはあるかもしれないが、
それ以上は思いつかなかった。
【赤毛の狼】の名前を知っている以上、ネットで知り合った人間か?
しかし、顔も本名も公表していない以上、俺が【赤毛の狼】であることを特定できないはず。
歩きながら彼女は
「やっぱりあのかつ丼屋に現れた。書いてあった通りね」
と言った。
確かにかつ丼屋の事は、写真入りで色んな所で何度も書いた。
SNSからたどったのか!俺は思い返した。
幾つかのSNSから俺自身に、たどれないことは無い。
カツ丼屋を張り込み、自慢したTシャツを着て、自慢したショルダーバックを持った男を捜せば、俺に行き着く・・・しかし、そこまで努力をして、俺を探し出して何の意味がある?
シェアアトリエに入ると彼女は突然
「赤毛の狼!覚悟!」
と言って刃物を振りかざして襲い掛かってきた。
俺はとっさに自慢のバックで刃物を防ぎ、刃物を奪い取った。
しまった!お気に入りのショルダーバックが!!!!!
俺はショルダーバクを肩からはずし、損害に確認した。
うろたえた俺は
「何で?何で?」
と叫んだ。
「レンを殺しておきながら、よくもカツ丼なんか食ってられるわね!」
レン?レン?レン?
あっ!俺の漫画のキャラクター
俺は変態女に向かって、
「漫画の話だろ!ふぜけんな!現実と漫画の区別ぐらいちゃんと付けろよ!」
と諭すように言った。
こういう現実とフィクションの区別のつかない奴は、大嫌いだ!
世界がおかしくなったのだろう。
変態女は泣きながら、
「わたしがレンの事、好きだって事知ってたくせに!」
「誰だよ、お前?」
「エマ伯爵夫人よ!」
その名前を聞いた時、俺は怒りに手が震えた。
エマ伯爵夫人!?
寝癖ありのピンクのジャージなのは、伯爵夫人のイメージからかなり逸脱はしているが、俺が唯一天才と認める絵師にして、今読んでるネットの漫画の作家だ。
そして、漫画内で俺の愛しのレイアを殺した張本人だ。
「よくも俺のレイアを殺してくれたな!」
俺は刃物で襲い掛かった。
彼女は俺の自慢のバックで、素早く刃物を防いだ。
えええええええええ!
俺のお気に入りのショルダーバックがズタズタに!!!!
俺は涙を流しながら叫んだ!
「あんないい人を殺して、お前はよく生きていられるな!俺のレイアを返せ!」
「2次元と3次元の区別もつかないの、馬鹿じゃない!」
「2次元だろうが3次元だろうが、殺人は殺人だろうが!」
俺とエマ伯爵夫人は、シェアアトリエ内で激しく戦いを繰り広げた。
そう、俺は!
レイアの仇を打たねばならない!
でも時間の経過とともに、俺とエマ伯爵夫人は冷静さを取り戻して行った。
それはそうだろう。幾らなんでも、いつまでも熱狂は続くはずはないのだ。
☆彡
静まり返ったシェアアトリエには一晩中、誰も来なかった。
だから俺とエマ伯爵夫人は、一晩中、レンとレイアの死を嘆き、お互いの漫画を罵ったり絶賛したりした。
こんなにも自分の漫画を熟読している人に実際に会うのは初めてだったし、こんなにも感情移入してくれる人に会うのも初めてだった。
そこは嬉しかったんだと思う。
話してみて気づいたのは、お互いの欠点を補い合えば、上手く行くんじゃない?ってこと。
夜が明ける頃、俺は告げた。
「俺と一緒に夢を追わないか?」
「夢を追う?」
「漫画家としてコンビを組まないか?」
「コンビ?」
「死んだレンやレイアの為にも(なんのこっちゃ!←冷めた赤毛の狼の思考)」
「それが生き残ったわたしたちの使命だと(なんのこっちゃ!←冷めたエマ伯爵夫人の思考)」
「俺たちが組むことを、レンとレイアは望んでいたはず(なんのこっちゃ!)」
「お互いの欠点を補完し合えると?あなたアホなの?」
「もしエマ伯爵夫人の事を天才だと思った俺がアホなら、アホなのだろう」
☆彡
そして俺らは、2人で夢を追い始めた。
漫画を描けることはしあわせだが。やはり収益は欲しい。
俺とエマ伯爵夫人の欠点を補い合った結果、収益は足し算ではなく、掛け算の様に増えていった。
エマ伯爵夫人と、いつまで一緒にいるかは解らないけど、とりあえず収益の結果に、二人でにやけ、その後に続く未来に希望を持つことが出来た。
完
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる