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3章 12人の思惟

6話 ようこそ美しき本能の世界へ

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会璃(あいり)と騰子(とうこ)は、

巫女が着るような紅白の千早を着ていた。


手には神楽鈴、頭には金冠をかぶっていた。


彼女たちの、正装なのだろうか?

正式に招待されているの?


その凛々しさに、思惟たちはたじろいだ。



その美しさに、カメラ娘魂に火がついたニッキ―は、

一眼レフデジカメを構えた。



何故、私たちは12人に増えてしまったのか?

私たちは、何者なのか?

私たちは、元に戻れるのか?


色々聞かなければならない事はいっぱいあったが・・・


「とりあえず良いですか?」


正装な顔をしていた会璃(あいり)さんは

「えっ?」て顔をした後、私的な柔らかな表情になって頷いた。


ニッキ―は、すぐさまパシャパシャと撮りまくった。


カメラに撮られ慣れしていない会璃さんは、

照れまくっていたが、それがまた愛おしく感じた。

 

徐々に美に対する熱狂が、ニッキ―の心に満たしていった。

そして、熱いマグマの様な感情が、全身を駆け巡った。



ニッキ―の記憶が会ったのは、そこまでだった・・・



「思惟ちゃん・・それは・・・」


「ニッキ―ちゃん・・・・ニッキーちゃん!それはダメだって!」


囁くような湿った声の会璃さんの声と、

止めに入る汎都と舞夢の声で、ニッキ―は我に返った。


ニッキ―の手には、会璃さんの帯が握れれていた。

帯を外された会璃さんは、透き通った視線で、

ニッキ―を見つめていた。


「違います・・・私は・・そんなつもりじゃ・・・ごめんなさい・・・」


ニッキ―は、恥かしさのあまり声を詰まらせながら、

会璃さんに土下座した。


そんなニッキ―に、裸族のすっぽんは嬉しそうに、


「ようこそ美しき本能の世界へ」


と囁いた。






つづく





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