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4章 シルスの冒険

7話 姫様の元に

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妖精だからって、
みんなが可愛いわけではないらしい。

ニッキ―は、
その事実にちょっとショックを受けた。

城内には、武骨な軍人気質の妖精や、
官僚らしき妖精、技術者らしい妖精など、
色んな妖精たちがいた。

ニッキ―は、
姫様の親衛隊のイケメン顔の少女に連れられて、
姫様の寝所へ向かった。

城内に、それほど華やかさはなかった。
宮殿と言うより要塞なのだろう。

姫様の寝所の前には、
親衛隊の少女が2人、警備をしていた。

2人は、イケメン少女とニッキーに、仰々しく敬礼をして、
大きな扉を開けた。

奥には、お姫様らしい天蓋付きのベットがあった。
想像していたお姫様のベットにしては質素な印象を受けたが、
造りこまれた上質なベットであることは、
素人のニッキ―にも解った。

そして、ベットの上には、
ものすごーく可愛い妖精のお姫様が眠っていた。
その姿は、メルヘン全快だった。
ニッキ―の心臓は自然と高鳴った。

イケメン少女は、熟睡している姫様の耳元で何かを告げた。
姫様は、眠そうに目を開けて、ニッキ―をチラッと見た。

その目は「まだ眠いの・・・寝かせて」と語っていた。
そして姫様の瞼は再び閉じられようとした、
その瞬間、城内に警報が鳴り響いた。

「姫様!」
イケメン少女は声を掛けた。

「う~ん、さっきやっつけたから・・・」

姫様が、寝言のように呟いた。

親衛隊とは違って柔らかな顔立ちの姫様のお付の女官たちが、
ベットに駆け寄り、姫様を抱きかかえた。
そして、ブラとパンツ姿の姫様に、
青金石(せいきんせき)色の服を着せた。

「姫様、おはようございます。敵襲でございます。」
柔らかん顔立ちの女官は、姫様の耳元で囁いた。

「おはようございます」と「敵襲でございます」
組み合わせとしては最悪だ。

青金石(せいきんせき)色の、
姫様の体のラインがくっきり解る服を着終わると、
おにぎりの載ったお皿が運ばれてきた。

女官が、一口サイズのおにぎりを、姫様の口に押し込んだ。
姫様は、成すがまま一口サイズのおにぎりを食べ終えると、

「・・・・ってっ、これエビマヨじゃない!」

「申し訳ありません。まだエビの補給が届かないもので」

「もう!やる気半減↓」

「怒った顔も可愛いよ」と、
兄の狼図ならすぐに言いそうな表情だ。
その表情のまま姫様は、ニッキ―を見つめた。

姫様の目から睡魔が去り、諸々の思考が巡っていた。

「思惟、来てくれたんだ」

姫様の笑顔が零れた。そして、
「思惟も来て」
とニッキ―の手を握った。

やばい・・・かなり・・・やばい、
危険な事が始まる予感しかしない。

美しい妖精の姫様の握る手は、思っていた以上に強く、
ニッキ―に、それを振りほどくの勇気はなかった。


つづく

   
毎週日曜日更新中o(*^▽^*)o~♪
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