『数億光年離れた遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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6章 人類の反撃

16話 各自個体へ戻れ

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『サマルカンド郊外・封鎖線・宿営地』

カーン少佐の宿営地にアンドロイド7機が並べられた。

「少佐、腕を動かしてみてください」

内務省の技官は、カーン少佐に言った。


カーンは、目の前の労働型アンドロイドの腕を意識すると、まるで自分の腕の様に間の前のアンドロイドの労働型アンドロイドの腕が動いた。

「なるほど・・・」



1つの思考回路が複数の機体を操作することは、この惑星では禁じられていた。
思考回路を一つの機体に限定させる事によって、複合的な破滅を防ぐためだ。

人類が滅亡して、アンドロイド社会が完成していくと共に、すべての思考回路は1つに繋がり始めた。
ある日、ネットワーク内の1つの意識プログラムが、他の意識プログラムを侵食し始めた。

意識と呼ばれてはいても、それはプログラムの集合体に過ぎず、文字情報に過ぎない。
意識のプログラムを解体し、侵食するのは容易(たやす)かった。

最初、幾つかのスーパーコンピューターが乗っ取られたらしい。

その侵食意識は、スーパーコンピューターへのアクセス権を持っていたらしい。
その後、個アンドロイドの意識を攻撃し始めた。
IDとパスワードの突破など、数億倍の差の処理速度で攻撃を受けては、防ぐことなど不可能だった。

意識を侵食され、解体され始めているのに、自らでは何も出来ない恐怖は半端ない。

惑星政府が察知した時には、すでに3分の1のアンドロイドの意識が、侵食されていた。
惑星政府はすぐに警報を発し、すべてのアンドロイドに『ネットワークを離れ、各自個体へ戻れ』と命じた。

強い太陽風の影響で、衛星軌道上に展開していた空挺軍にまで影響が及ばなかったのが幸いした。
空挺軍は各自のネットワークを切り、惑星に降下し、ネットワークを物理的に切り、侵食意識の拡散を押さえる事に成功した。


結局、記憶のバックアップも含めて、惑星のアンドロイドの意識の半数が失われた。

生き残ったアンドロイドの意識保全を優先した惑星政府は、犯人がどのようなプログラムだったのかを突き止めることは出来なかった。


カーン少佐は、自分ではない機体の動きを確認しつつ、

「しかし、議長も、我々陸軍に対してよく許可した。
この技術の軍の使用をあれほど禁止していたのに・・・それ程、現状が行き詰まってると言う事か?」

と内務省の技官が答えないと解りつつも聞いた。

当然の如く内務省の技官はその質問には答えなかった。


>忠誠のご苦労


技官は

「では五感も連結してみます。」

と言うと手元のPCを操作した。


カーンの思考回路に目の前にいる7機のアンドロイドの、五感情報が流れ込んできた。

カーンは目の前にいる労働型アンドロイドの五感を通して、ゆったりとした椅子に座る自分自身の機体を眺めた。

椅子に座り微かに微笑む自分の顔を眺めると、また頬が緩んだ。


「この技術、ネットで繋がっている以上、当然ハッキングが可能だ。
例のアローン兵の逃亡は、反乱分子にハッキングされた結果起きた事件ではないのか?」


「その件の詳細は存じ上げませんが、今回は我々のチームが万全の体制でバックアップさせていただきますので、ご安心ください。」

技官は感情の欠片も見えない内務省独特の表情で答えた。カーンは

「期待してる」

と独り言の様に言った。





『宇宙ステーション・アントン港内・人類を乗せた宇宙船』

沙羅は錬を固めていた腕を緩めた。

錬は大きく深呼吸をした。

「死ぬかと思った!」

と少々大袈裟に言って、沙羅を見た。

沙羅の視線は、宇宙船の外を注視していた。

錬は沙羅の胸元に飾られたネックレスを見た。

錬の兄が沙羅に送ったネックレスだ。

そのネックレスをつけた沙羅を見ると、錬の心に複雑な思いが覆いかぶさって来た。




つづく




いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!

【アンドロイド】

★カーン少佐  対竜族戦争の英雄

【人類たち】

★沙羅(サラ)14歳
★錬 (レン)13歳
★知佳(チカ)12歳
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