『数億光年離れた遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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11章 ファンファーレが鳴る中

4話 人類の少女の胸に抱かれながら。

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「白虎が案内してそう、着いて行って見よう」

知佳の言葉に、沙羅も従った。


人類の2人の少女の前を、バイカルが歩いて先導した。

あゆみは、人間の少女に抱っこされながら、管制室に向かった。

廊下に集まってきた機械猫たちが、あゆみを見上げた。


「あゆみが人質?」

「あゆみが人類を説得した?」


状況が掴めない機械猫たちは、遠巻きに一行を見つめた。


その中には羨望の眼差しを送る者たちもいた。


「人類に抱っこされてるけど」

「人類に抱っこされれるだと!?」

「なんて事だ!」

「いいな~」


そんな声が聞こえて来そうな視線を、あゆみは受けた。


>まあまあ。


あゆみが声が出れば説明できるのだが、今は無理だった。

バイカルはほぼ小声でしか話さないし。


あゆみとバイカルと人類の進み道は、自然に開いた。


とりあえず、管制室にいるシュガーコートが、なんか説明してくれるだろう。

愛想が良いアンドロイドだし。


廊下の両側が水槽になっているエリアに入った。


「沙羅、見て見て、イルカがいっぱい!」

「ホントだ!可愛い~」


沙羅と知佳が手を振ると、水槽の中のイルカたちも手を振りかえした。

イルカたちも人間の少女に抱っこされているあゆみが、羨ましいらしい。


あゆみは、自慢げにイルカたちに手を振った。


>それにしても人類の少女に抱きしめられるのは心地が良い。

>いい匂いがする~

>このままこの少女のペットに成りたいくらいだ。

>なっ


バイカルに視線を送ると、

『それも悪くないな』

と小声で呟いた。



バイカルの横を歩く知佳が、バイカルの頭を撫でた。

バイカルは今まで見た事がない程、照れた。


バイカルのハードボイルドな面しか見た事がなかったあゆみが、始めて見た表情だ。

バイカルは元々動物園で飼われていた白虎だ。

5000年前の事だが、人間慣れはしているはずだ。


知佳に撫でられるバイカルから、覇気が消えていた。


そのバイカルの表情に、機械猫たちも驚いた。


「あの白虎のバイカルが!」

「嘆かわしい」

「こうも簡単に人類に懐柔されるとは!」


そんな声が聞こえてきたが、バイカルに気にする様子はなかった。

それは、あゆみと5000年の付き合いで、初めて見せた白虎バイカルの本性だった。




つづく
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