魔法使いになった俺、ちょっと実家に帰りたい

ぼっち飯

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第8話 町へ行こう!

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「あの、ディアスタから町への行き方を教えてもらえたので、一緒に行きませんか?俺一人だと不安なので。」

「それは俺としても助かる。あの穴のことを知らせねばならんのだ。」

「では、よろしくお願いします。」

つい、右手を差し出した。しまった、握手の文化ってあるのか?と思ったが、ディヒトさんは俺の手を力強く握り返してくれた。

「こちらこそ頼む。それと、その貴族みたいな話し方はお前のいつもの話し方なのか?堅苦しくてかなわん。名前もディヒト、と。」

やった!気さくな人っぽい。なんかもう見苦しいところは見られた気がするし、ずっと敬語は疲れる。取り繕うのは今更だ。

「それは助かる。ディアスタに、草原の民には礼を持って接するように言われたし、緊張していたんだ。俺のことはアラタ、で。あの立派な馬は…ディヒト、の?」

「そうだ。ヴィントという。強くて賢い、俺の相棒だ。アラタ、珍しい名だな。町までよろしく。」

良い奴そうで本当に良かった。ディヒトは俺の足にちらりと目をやり、ヴィントに乗せてくれた。馬に乗ったことはないというと非常に驚いて、少し考えた後一緒に乗ってくれた。思った以上の視界の高さと不安定さにビビっていたので、ちょっと安心だ。ヴィントは大変だろうけど。

改めて自分の格好を見てみる。所々破れたり、擦り切れたりしている、だるんだるんのスウェット。クリーンでは汚れは落ちても、服の傷みはそのままだ。もちろん裸足。絶対町で浮く。さっき知り合ったばかりとはいえ、誰かが傍にいてくれるのは非常に心強い。

「あ、ちょっと待ってもらえる?町に行く前にステータス確認しろって言われてたんだった。ステータスオープン。」

おお、ゲームみたいな画面が出た。さすがにレベルとか、HP、MPみたいな表示はないか。えっ、俺、15歳ってことになってるんだ。ん-、年齢の横に三角の記号があるな。タップできるのか?おー、できた。成程、身体年齢は精霊の恩寵により15歳、と。画面をチェックする俺に、ディヒトが言う。

「精霊の使徒様というのはすごいのだな。四角い魔法陣は初めて見た。書かれているのは精霊文字か?町ではそれをあまり見せない方が良い気がするが。」

「うん、そうなのか?…ディヒトがそう言うならそうなんだろう。この文字は日本語だよ。俺の国の言葉。俺、ここの常識も何もわからないから町に着くまでの間に色々教えて欲しい。ディアスタはギルドに登録しろって言ってたけど。登録って何が必要なんだろう。年齢とか聞かれるのか?俺、本当は30歳なのに『精霊の恩寵』で15歳になってるってさっきの画面に出てたんだ。」

初乗馬の俺のために、ヴィントは徒歩よりちょっと早いくらいの速度でとことこ進んでくれている。

「アラタはどう見ても俺より年下じゃないか。15ってことでいいんじゃないか?町に行ったことのある者から、売り買いするならギルドに登録すると良いと聞いている。俺も一緒に登録しよう。」

アプリによると、一番近い町の名はヌフ。徒歩で1時間半と表示されているから、このペースなら1時間くらいで着けるかもしれない。

異世界の町。どんなところなんだろう。なお道すがら、俺は記憶喪失中で最近草原の民に拾われたという設定に決定した。
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