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第11話「一難去って、また一難」
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白雪姫の劇が終わって、1週間後に笹原は学校に出てきた。
笹原は教室に入るなり、俺の隣にいた綾香を見るなり、悔しそうな顔をした。
多分、綾香が白雪姫をやったことが気に入らないんだろう。
だから、また飯野と組んで、何か綾香にしてくるかもしれないと警戒していたけど、意外と何日か経っても綾香に何かしてこようとする様子はなかった。
それどころか笹原は他のクラスのそこそこ女子から人気がある男子に告白されて、あっさりとその告白を受け入れ、彼氏持ちとなった。
そうなると飯野も、綾香に嫌がらせをする術もないので、俺達に自分から関わってこようとはしなかった。
「はあ、平和だな」
俺が実にそう言うと、
「だな」
と実も笑顔でそう言ってくれた。
今は昼休みで、俺達は相変わらず4人で固まっているけど、今は綾香と白野は2人で白野が学校に持ってきた女子が読む雑誌を見ながら話に夢中になっているので、俺と実もこうして2人で会話をしていた。
「でも、結局、相田が白雪姫をやることになったんだから、お前ついてるよな」
実がそう言ったので、
「まあ、日頃の行いがいいから」
俺がそう言って、その後すぐに2人で、ぷっと笑い合った。
そして、ああ、本当に平和で何よりだと、ちょっと年寄りくさいかなと思うことを考えていると、
「里川、4組の女子が呼んでるぞ」
とクラスの誰かが言った。
「あー、解った」
もう用件は聞かなくても解っている。
100%昼休みに他のクラスの女子が俺を呼んでるとなれば俺に告白しにきたという用件だから。
「ちょっと行ってくるわ」
だから、俺はそう言って、教室を出ていった。
教室を出ると4組の高山ですと俺より少しだけ背の低い女子が名乗った。
そして、人があまり来ない場所に行きたいというから、中庭に一緒に行った。
中庭には今は誰もいなかった。
「あの、突然、ごめんなさい。私、白雪姫の劇で王子様役をやっていた里川くんに一目惚れぼれして。そして、それから里川くんのことばかり考えるようになって。だから、思いきって、告白しようと思って。本当に凄く好きなんです。良かったら、つきあってもらえませんか?」
高山は顔を真っ赤にして俺にそう言った。
高山の一生懸命さは凄く伝わって来た。
でも、俺は、
「ごめん、俺、もう心に決めた子がいるから」
考える間もなく、そう高山に断って、その場をすぐに去った。
そして、俺はこれで高山とのことは全てが終わったと思っていた。
でも―。
それは放課後のことだった。
サッカー部の部活活動を終え、俺が教室で待っててくれている綾香の所へ急いでいると、いきなり高山が現れて、俺の前に立った。
「うわっ。何だよ」
俺がそう言うと、高山は、
「里川くんが私とつきあえないことは解りました。でも、1度だけ里川くんに抱きついてみたくて……」
と、とんでもないことを言い出し、俺が何も言う暇もなく俺にいきなり抱きついてきた。
そして、俺はよろけそうになったから、思わず里川の背中に手を回してしまった。
でも、その光景をよりにもよって、教室で待っていたはずの綾香に見られてしまった。
笹原は教室に入るなり、俺の隣にいた綾香を見るなり、悔しそうな顔をした。
多分、綾香が白雪姫をやったことが気に入らないんだろう。
だから、また飯野と組んで、何か綾香にしてくるかもしれないと警戒していたけど、意外と何日か経っても綾香に何かしてこようとする様子はなかった。
それどころか笹原は他のクラスのそこそこ女子から人気がある男子に告白されて、あっさりとその告白を受け入れ、彼氏持ちとなった。
そうなると飯野も、綾香に嫌がらせをする術もないので、俺達に自分から関わってこようとはしなかった。
「はあ、平和だな」
俺が実にそう言うと、
「だな」
と実も笑顔でそう言ってくれた。
今は昼休みで、俺達は相変わらず4人で固まっているけど、今は綾香と白野は2人で白野が学校に持ってきた女子が読む雑誌を見ながら話に夢中になっているので、俺と実もこうして2人で会話をしていた。
「でも、結局、相田が白雪姫をやることになったんだから、お前ついてるよな」
実がそう言ったので、
「まあ、日頃の行いがいいから」
俺がそう言って、その後すぐに2人で、ぷっと笑い合った。
そして、ああ、本当に平和で何よりだと、ちょっと年寄りくさいかなと思うことを考えていると、
「里川、4組の女子が呼んでるぞ」
とクラスの誰かが言った。
「あー、解った」
もう用件は聞かなくても解っている。
100%昼休みに他のクラスの女子が俺を呼んでるとなれば俺に告白しにきたという用件だから。
「ちょっと行ってくるわ」
だから、俺はそう言って、教室を出ていった。
教室を出ると4組の高山ですと俺より少しだけ背の低い女子が名乗った。
そして、人があまり来ない場所に行きたいというから、中庭に一緒に行った。
中庭には今は誰もいなかった。
「あの、突然、ごめんなさい。私、白雪姫の劇で王子様役をやっていた里川くんに一目惚れぼれして。そして、それから里川くんのことばかり考えるようになって。だから、思いきって、告白しようと思って。本当に凄く好きなんです。良かったら、つきあってもらえませんか?」
高山は顔を真っ赤にして俺にそう言った。
高山の一生懸命さは凄く伝わって来た。
でも、俺は、
「ごめん、俺、もう心に決めた子がいるから」
考える間もなく、そう高山に断って、その場をすぐに去った。
そして、俺はこれで高山とのことは全てが終わったと思っていた。
でも―。
それは放課後のことだった。
サッカー部の部活活動を終え、俺が教室で待っててくれている綾香の所へ急いでいると、いきなり高山が現れて、俺の前に立った。
「うわっ。何だよ」
俺がそう言うと、高山は、
「里川くんが私とつきあえないことは解りました。でも、1度だけ里川くんに抱きついてみたくて……」
と、とんでもないことを言い出し、俺が何も言う暇もなく俺にいきなり抱きついてきた。
そして、俺はよろけそうになったから、思わず里川の背中に手を回してしまった。
でも、その光景をよりにもよって、教室で待っていたはずの綾香に見られてしまった。
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