「君としか恋はしたくない」

第３２話「とうとう告白します」

  とうとうサッカーの試合の当日になった。
  綾香も白野と一緒に俺の試合を見に来てくれていた。
  だから、カッコいいところを見せたいとも思っていた。
  だけど、本当はこの試合が終わった後に綾香に告白する方にかなり緊張しているんだけど。
  だって、もうずっと片思いしてきた綾香に告白するということは俺の今までの人生の中での最大イベントと言っても過言ではないくらいだから。
  そして、試合はわりと活躍できて、チーム全体もいい調子だったので、勝利した。
  俺は試合が終わって、退場する時に綾香と白野が座っている席を見た。
  ２人はわりと前の席で見てくれていて、俺は試合が始まる前に２人が座っている席を見つけることができていたから。
  綾香と白野は俺達が勝ったからだと思うけど凄く嬉しそうにしていた。
  俺はそんな２人を見て思わず頬が緩みそうになった。
  だけど、この後に俺にとっては最大のイベントがまだ残っている。
  俺はそう思い緩みそうになった頬を引き締めた。

  そして、俺はミーティングが終わり、シャワーを浴びて、着替えた後、綾香が待っていると言ってくれていた会場の入口付近まで行った。
  そこには白野もいた。
「お、来たね。じゃあ、私はこれで帰るから、２人で幸せな時間を過ごしてね」
  白野は綾香から事前に俺と一緒に帰ると聞いていたらしくそう言って、１人で帰っていった。
  本当に白野はサバサバしていて、いい奴だなと思った。
「涼一、お疲れ様。カッコよかったよ」
  俺が白野ことをいい奴だなと思ったすぐ後に綾香がそう言ってくれた。
「そう？　サンキュ。じゃあ、帰ろうか」
「うん」
  そして、俺達はいつものように手を繋いで帰った。
  綾香に告白するのは自分の家がいいかなと思っていたから。
  そして、俺達の家がある場所に着き、俺は綾香に俺の部屋に来てほしいと言い、綾香を部屋に連れてきた。
  部屋に入った途端に俺は綾香のことを真剣な表情で見つめた。
「涼一？」
  いつもと違う感じの俺に気づいたのか綾香は不思議そうに俺の名前を呼んだ。
  俺は深呼吸をして、
「綾香、綾香に話があるって言ったのは、俺が綾香のことを好きだよって伝えたかったからなんだ」
  そう言った。
  俺がそう言った後、綾香は一瞬、何を言われたのか解らないような顔をして、その後すぐに泣きだしてしまった。