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番外編「何処にいても、どんなに時が経ったとしても」― side凉一 ―
第3話「信じているけれど、大好きすぎて」
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俺と綾香は日曜日に今度は綾香の部屋で会っていた。
そして、その時に俺にとってはちょっとした……いや、かなり重大な事件が起こった。
事件と言っても俺の心の中に凄いもやもやした気持ちが渦巻くという俺以外には決して解ることがない事件なんだけど。
それは俺が綾香がお茶とお菓子を持ってくるねと言って、部屋から出ていってからすぐのことだった。
本当に勝手に見るつもりはなかったんだけど、俺の目の前に置いてある折りたためる机の上に綾香が受けたいと言っているA大学のパンフレットが置いてあったから、つい手に取ってしまい、見てしまった。
そして、これが間違いだった。
実は俺は綾香がなりたいという心理カウンセラーは大半、女性がなりたいものだと思っていた。
でも、パンフレットを見るとそうでもないらしく、A大学の綾香が行きたいという学科にはかなりの数の男子もいるみたいだった。
ああ、でも、そういえばテレビとかに出てくるカウンセラーの先生とかも男性の人が結構いるよな。
だけど、ということは……大学に行ったら、綾香の周りには俺とのことを知らない男子も沢山いるようになるわけで……しかも、綾香は凄く可愛いから、綾香と仲良くしたいという男子もきっと多く出てくるわけで……。
ついこの間、実と綾香と大学がきっと離れてしまうだろうということを話して、実が言ってくれたことで、大学が離れても大丈夫だと思ったところなのに……。
でも、やっぱり、生まれた時からずっと隣同士の家に住んでいて、幼稚園も小学校も中学校も高校も一緒で、それでも、ずっとずっと綾香の隣に俺以外の誰かが居座ってしまわないかと心配だったわけで……。
それに彼氏と彼女となった今でも……将来の約束をしている今でも、やっぱり、その心配は完全には消えていなくて……。
ただ、それはきっと、信じていないとかじゃなくて、俺が綾香のことを大好きすぎるところから来ているんだろうけど……。
そんなことを思っていると綾香が戻ってきた。
「涼一、オレンジジュースと苺のショートケーキでいいよね?」
「あ、うん。ありがとう」
「あれ? 涼一、A大学のパンフレット見てたの?」
俺がまだ手に持っていたA大学のパンフレットを見て、綾香が言った。
「あ、うん、勝手に見てごめんな」
「いいよ。そんなのただのパンフレットなんだし」
「いや、俺にとっては重大なことが解るパンフレットだった」
俺は思わずそんなことを言ってしまった。
「え?」
綾香は持ってきてくれたオレンジジュースと苺のショートケーキが乗ったお盆を折りたためる机の上に置いた後、俺の方を見て、きょとんとした。
でも、俺は心の中で渦巻いているもやもやした気持ちが全然、納まらなくて……。
「綾香、大好きだよ」
そう言って、その後、思わず綾香を強く抱きしめた。
そんな俺に綾香は、やっぱり不思議そうにしていたけど、綾香も俺を抱きしめ返してくれた。
そして、綾香は何も俺に聞かずにいてくれた。
ああ、俺、やっぱり、綾香と大学が離れたら、耐えられないかもしれない。
俺は綾香を強く抱きしめながら、心の中でそう思った。
そして、こんな俺の重たい綾香への想いが久し振りに長い間、穏やかだった俺達の関係をこの後、わりとすぐに壊してしまうことになってしまった。
そして、その時に俺にとってはちょっとした……いや、かなり重大な事件が起こった。
事件と言っても俺の心の中に凄いもやもやした気持ちが渦巻くという俺以外には決して解ることがない事件なんだけど。
それは俺が綾香がお茶とお菓子を持ってくるねと言って、部屋から出ていってからすぐのことだった。
本当に勝手に見るつもりはなかったんだけど、俺の目の前に置いてある折りたためる机の上に綾香が受けたいと言っているA大学のパンフレットが置いてあったから、つい手に取ってしまい、見てしまった。
そして、これが間違いだった。
実は俺は綾香がなりたいという心理カウンセラーは大半、女性がなりたいものだと思っていた。
でも、パンフレットを見るとそうでもないらしく、A大学の綾香が行きたいという学科にはかなりの数の男子もいるみたいだった。
ああ、でも、そういえばテレビとかに出てくるカウンセラーの先生とかも男性の人が結構いるよな。
だけど、ということは……大学に行ったら、綾香の周りには俺とのことを知らない男子も沢山いるようになるわけで……しかも、綾香は凄く可愛いから、綾香と仲良くしたいという男子もきっと多く出てくるわけで……。
ついこの間、実と綾香と大学がきっと離れてしまうだろうということを話して、実が言ってくれたことで、大学が離れても大丈夫だと思ったところなのに……。
でも、やっぱり、生まれた時からずっと隣同士の家に住んでいて、幼稚園も小学校も中学校も高校も一緒で、それでも、ずっとずっと綾香の隣に俺以外の誰かが居座ってしまわないかと心配だったわけで……。
それに彼氏と彼女となった今でも……将来の約束をしている今でも、やっぱり、その心配は完全には消えていなくて……。
ただ、それはきっと、信じていないとかじゃなくて、俺が綾香のことを大好きすぎるところから来ているんだろうけど……。
そんなことを思っていると綾香が戻ってきた。
「涼一、オレンジジュースと苺のショートケーキでいいよね?」
「あ、うん。ありがとう」
「あれ? 涼一、A大学のパンフレット見てたの?」
俺がまだ手に持っていたA大学のパンフレットを見て、綾香が言った。
「あ、うん、勝手に見てごめんな」
「いいよ。そんなのただのパンフレットなんだし」
「いや、俺にとっては重大なことが解るパンフレットだった」
俺は思わずそんなことを言ってしまった。
「え?」
綾香は持ってきてくれたオレンジジュースと苺のショートケーキが乗ったお盆を折りたためる机の上に置いた後、俺の方を見て、きょとんとした。
でも、俺は心の中で渦巻いているもやもやした気持ちが全然、納まらなくて……。
「綾香、大好きだよ」
そう言って、その後、思わず綾香を強く抱きしめた。
そんな俺に綾香は、やっぱり不思議そうにしていたけど、綾香も俺を抱きしめ返してくれた。
そして、綾香は何も俺に聞かずにいてくれた。
ああ、俺、やっぱり、綾香と大学が離れたら、耐えられないかもしれない。
俺は綾香を強く抱きしめながら、心の中でそう思った。
そして、こんな俺の重たい綾香への想いが久し振りに長い間、穏やかだった俺達の関係をこの後、わりとすぐに壊してしまうことになってしまった。
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