「君としか恋はしたくない」

愛理

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番外編「何処にいても、どんなに時が経ったとしても」― side凉一 ―

第11話「ずっとずっとこの腕の中に」

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  俺と綾香が宿泊するホテルは外観も内装も部屋の中もとても綺麗だった。
「本当にこのホテルは何もかもが素敵だね」
  綾香が嬉しそうに言った。
「ああ、本当だな。このホテルにして良かったよ」
  俺と綾香は今、2人でダブルベッドに並んで座っていた。
  本当はツインのベッドにすることも考えたんだけど、綾香がダブルベッドの部屋でいいと言ってくれたから。
  でも、俺は綾香がもしそういうことが本当はまだ早いと思っていたり、怖いと思っているなら、普通どおりに2人で過ごすことを決めていた。
  だって、俺は綾香が嫌がることはしたくないから。
「さっき食べたホテルのレストランの食事も美味しかったし」
「うん、本当に」
  俺達はホテルに着いて荷物を受け取り部屋に入ってからわりとすぐにホテル内にあるレストランに食事をしにいった。
  だから、後はもう絶対にやることといえば風呂に入ることと寝ることだった。
  でも、まだそんなに遅い時間でもないので、俺達はこうしてまったりとした時間を過ごしていた。
  だけど、暫くして綾香が、
「ね、涼一、お風呂に入る? 私、お湯ためるよ」
  そう言ったので、俺の中で少し緊張感が走った。
  でも、そんな俺を解っているのかいないのか綾香はいつものように無邪気な感じでバスルームへと消えていった。

  1時間半後、俺も綾香もそれぞれ風呂に入り、時間はもう午後9時を過ぎていた。
  明日も京都巡りをする予定だし、朝早くホテルを出て行く予定だから、もう寝た方がいいかもとは思っていた。
  だけど、何だか普通に寝るにしてもダブルベッドなので緊張してしまって俺からは何も言うことができないでいた。
  でも、1人掛けの白色のふかふかのソファーに座っていた綾香がベッドの真ん中に座っていた俺の後ろに来て、俺に後ろから抱きついて、
「涼一、大好き」
 そう言ったので、俺は綾香への気持ちが爆発してしまい、綾香の方を向いて、強く綾香を抱きしめて、その後、
「綾香、抱いてもいい? もちろん、嫌ならそう言ってくれていいから」
 そう言った。
 すると綾香は俺の顔をじっと見た後、
「嫌がるわけないよ。大好きな涼一なのに」
 そう言った。
 だから、俺はもう堪らなくなり、綾香を抱いていった。

  初めて綾香と結ばれた後、綾香が眠ってしまっても俺は起きていて、綾香を抱きしめたままでいた。
  そして、綾香を見つめて、心の中で、
  綾香、ずっとずっと俺の腕の中にいてくれよな。
  俺はいつも言ってるけど、綾香以外の人には決して恋はできないから。
  そう思った。
  そして、その後、眠っている綾香のおでこにそっとキスをして、とても優しい気持ちに包まれながら俺も眠りについた。
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