「忘れられない人」

愛理

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第13話「冷たい態度」

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  君山課長に陸人の写真集のイベントの手伝いをしてくれと言われてから、数日後に陸人の最初の写真集のイベントがあった。
  イベントの打ち合わせは君山課長にこの仕事のことを伝えられた次の日に陸人のマネージャーとしていて、私はまた陸人の身の周りのお世話をしてくれればいいと言われていた。
  本音を言えばそういうのではなくイベントの用意とか、そういった仕事がしたかったけれど、かなりの金額でこの仕事を会社が引き受けたらしく私は言われるまま、陸人の身の周りのお世話をするしかなかった。
  といっても、勿論、何か買ってくるとか、そういったことはなく、あくまでイベント関連での陸人の身の周りのお世話なんだけど。
  そして、私はイベントの初日、陸人のマネージャーに言われて、すぐに陸人の楽屋に行った。
  コンコンとノックをすると、
「イベント関連の人? 入ってください」
  と中から陸人の声がした。
  私はその陸人の言葉に戸惑った。
  だって、陸人は今、イベント関連の人って言ったから。
  でも、さっき、私に陸人のマネージャーが、陸人には私がもうすぐ楽屋に来ることを伝えてるからと言っていたから。
  え? 何? もしかして、今回の身の周りのお世話をする人は私って陸人は知らないの?
  私はそう思いながら、静かにドアを開けた。
「こんにちは。今日はよろしくお願い致します」
  私は仕事なので、一応、畏まった挨拶をした。
「亜美?」
  陸人は私を見て凄く驚いた。
  やっぱり、陸人は私が今回もイベントのお手伝いをするって知らなかったんだ。
  じゃあ、何で陸人のマネージャーは私を指名してきたの?
  私がそう思っていると、
「亜美が今回もイベントの時の俺の身の周りの世話係なんだ」
  陸人は急に冷たい口調と声で言った。
  私はそんな陸人にドキリとした。
  もしかして、陸人は私がこの仕事に関わるのは嫌なんじゃ……。
 そう思ったけど、私は、
「はい。マネージャーの方から私にご指名が入りまして」
  そう言い、今回、私がここに来た経緯を説明した。
  すると陸人は、
「マネージャーから? 沢渡さん一体、どういうつもりなんだろ? まあ、そういうことならよろしくお願いします。とりあえず別に今は何もしなくていいから、何処かで休憩していてくれるかな?」
  やっぱりまだ冷たい口調と声でそう言った。
  そして、無表情で一体、何を考えているのか解らない感じだった。
「はい」
  本当は陸人に何でそんな態度取るの? 
  それなら何で私を抱きしめたりしたの?
  そんな風に色々と聞きたかったけど、あくまでこれは仕事の一貫なので、私は返事をして、さすがに仕事中なので、皆が仕事をしている中で、休憩することはできないけど、とりあえず陸人の楽屋から出ていくことにした。
  ただ、楽屋から出てすぐに自然と涙が零れてしまったけど。
 陸人があまりにも私に対して、冷たかったから。
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