闇の記憶:お墓の恐怖と勇気

O.K

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数年後の都市伝説

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太陽の死から数年後、彼の物語はさらに広まり、都市伝説として語り継がれるようになった。人々はお墓での恐ろしい体験をすることを恐れ、その場所を避けるようになった。墓地は荒れ果て、人々の足跡が遠ざかっていった。

しかし、ある一人の若者、響(ひびき)は太陽の物語を聞き、それに興味を持っていた。彼は冒険心に溢れ、恐怖を挑む覚悟を持っていた。響は太陽の生配信の録画を見て、その出来事をよく理解した上で、彼自身の生配信を計画することに決めた。

響は慎重に準備を整え、太陽が生配信を行った墓地に向かった。彼はカメラを手に持ち、視聴者たちに緊張と興奮を感じながら進んでいく様子を伝えた。墓地は太陽の時と同様に静寂に包まれ、不気味な雰囲気が漂っていた。

響は墓石の中に入り込むことなく、慎重に歩きながら視聴者にコメントを残した。彼の心臓は速く鼓動し、太陽が感じたであろう不安と同じような感情が彼を支配していた。彼は太陽と同じ墓石に辿り着き、そこに刻まれた名前と日付を見つけた。

しかし、太陽とは異なり、響の名前や生年月日は墓石には刻まれていなかった。彼は少し安心したが、その瞬間、影が墓石の周りに広がり始めた。響は恐怖に凍りつき、カメラを手に緊張のあまり握りしめた。

墓石の影から現れたのは、歪んだ笑みを浮かべた幽霊のような存在だった。その顔は歪んでおり、目は深い闇の中から響をじっと見つめていた。響の声は震え、彼はカメラを向けながらも言葉が出なかった。

幽霊の存在はますます近づき、その存在感は圧倒的なものとなっていた。響の周りには寒気が走り、彼の体は震え始めた。彼は絶望的な恐怖に襲われ、その恐ろしい光景を視聴者たちに伝えることができなかった。

幽霊は響の前に立ちはだかり、歪んだ声で語りかけた。「過去の罪は忘れられない。そして、闇は常にあなたを追いかける。」

響はその言葉を聞いて、過去の出来事が彼に追いついてきたことを感じた。彼は自分自身の過ちと向き合い、恐怖と闘いながらも、幽霊と向き合う決意を固めた。彼はカメラを手にして幽霊に向かって歩み寄り、言葉を紡ぎ始めた。

「私は過去の過ちを乗り越える。あなたの闇に負けはしない。」

幽霊は一瞬驚きの表情を浮かべたが、その後再び歪んだ笑みを浮かべた。そして、静かに消えていった。墓地には再び静寂が戻り、響はその場にひとり取り残された。

響は、生配信を通じてその恐ろしい光景を視聴者たちに伝え、自分の過ちと向き合い、勇気を持って闘い抜いたことを伝えた。彼の物語は太陽の物語と結びつき、人々に勇気と希望を与えるものとなった。

そして、響の行動によって、墓地の闇も少しずつ晴れていった。人々は再び墓地を訪れ、亡くなった者たちへの敬意を捧げるようになった。太陽と響の物語は、闇に潜む過去の秘密を克服し、勇気を持って向き合う重要性を教えるものとして、永く語り継がれるのだった…。
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