忘却のテレビ

O.K

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闇に閉じ込められて

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深夜、静寂が部屋に包まれ、主人公はひとりテレビを視聴していました。彼は普段から深夜の番組を楽しむのが好きで、特にミステリーやホラーの番組に魅了されていました。その夜も、彼は通常通りにテレビを点け、恐怖を楽しむためにリラックスしました。

しかし、その日は何かが違っていました。画面に映し出された映像に、彼は気づかされました。テレビ画面に、ぼんやりと女性の姿が反射しているのです。主人公はまず、自分の姿を確認するために手鏡を持ち寄せ、テレビの前に立ちました。しかし、彼は自分自身の姿をテレビ画面には見つけることができませんでした。

焦りが彼の心を包み込みました。テレビ画面に映し出されているのは、彼自身ではなく、見知らぬ女性の姿でした。その女性は黒いドレスを身にまとい、静かに微笑んでいました。彼女の瞳は主人公を見つめ、深淵のように暗く、不気味な存在感を放っていました。

主人公はテレビのリモコンを握りしめ、パニックに陥りました。チャンネルを変えようとしましたが、リモコンのボタンを押しても、画面上の女性の姿は変わりませんでした。彼の部屋は、不気味な沈黙に包まれ、時折聞こえるテレビの静かなホワイトノイズだけが聞こえました。

主人公は恐れを抱きながらも、テレビの前に立ち尽くしました。女性の姿は次第に近づいてきて、彼の前に浮かび上がりました。彼女の手がテレビ画面から伸び、主人公の手に触れました。その瞬間、主人公は凍りつき、絶望に包まれました。

そして、次の瞬間、主人公はテレビ画面に引きずり込まれ、彼の部屋は闇に包まれました。彼の叫び声が消えると、部屋は再び静寂に戻りました。テレビは元通りの映像を再生し始め、彼の姿は消え去りました。

この怖い出来事は、誰にも知られることはありませんでした。主人公は永遠に消え去り、その部屋は誰にも触れられない場所となりました。彼の存在はただのテレビ画面の中で、深夜の闇に閉じ込められてしまったのです。
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