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名付けられた関係

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舞人へ

私の大親友の舞人!
全然会えないから、寂しく思ってるよ。
メールすればいいとは思ったけれど、なんか私達にはあまりメールは似合わないっていつも思ってた。
だから、手紙なんか書いてみました。
実はさっき観た映画のヒロインがしょっちゅう手紙を書くから、影響されちゃった。
舞人に初めて声を掛けた日みたいでしょ。
映画に影響されるのは、私が生きる上でのターニングポイントなのかもしれません。

会えないと、会えてる時より相手の事考えるって気付いたの。
それで、思いました。
舞人は私の大親友だなって。
異性同士の友情はないと思ってたけれど、もう親友になってしまったから、どうしようもないね。

だからどんなに忙しくても、どんなに大人になっても、舞人の話してくれた思い出話とか、一緒にロープーウェイに乗って景色見たこととか、大切にする!
舞人はどんな事を思い出す?

やっぱり、映画に影響されすぎてるね。
呆れてるでしょ?

それから、感謝を伝えたくて。
舞人と出会ってなかったら、ここまで明るくいられなかったし、学校だけが全てだと思い込んで寂しくなってたと思うし、誰かの前で歌を歌うなんてあり得なかった。
それに、恋人ができるなんて・・・

本当にありがとう!!!

今度会った時、舞人が話してくれた思い出話の中で私が一番好きだった話を発表するね。
前に途中で違う話しちゃったから。

じゃあまたね!


 僕は君から贈られた手紙を何度も読み返した。
僕らの関係に名前が付けられた。
大親友。
どこにでもあって、映画にもよく出てきて、特別感のない関係。
名前のないNO NAMEの方がずっとマシだった。
枠に収まってしまった気がして、本当に君が届かない人になってしまって、こっそり想うことも憚られるような居所を与えられてしまった。

 でも僕は、その手紙が大切でどうしようもない。
君が僕を大切に思ってくれている事は伝わったから。
僕が君を良い方向へ導けたと思えたから。
その手紙は、僕がこれまで君のそばにいた事を証明できる唯一の証拠だ。
僕が君を本当に諦めるべきだと分からせてくれる宝物だ。
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