聖女召喚に巻き込まれて、異世界にきたオレは追放されて聖人になる

坂道冬秋

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ACT42〜受勲の儀〜

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「ちょっと!落ち着いてよ!」

ニナがオレに声をかけた。

「いや!落ち着いていられないよ!こんな経験はじめてだし!何より、異世界での経験で、どうしたらいいか、わからないし!」

「さっき教えて貰ったようにすればいいのよ!」

ニナは普通に答えていた。ニナ自身もはじめての経験のはずなのに、オレよりも落ち着いている。

「ほら!落ち着いて!」

さらにニナがオレに声をかけた。オレとニナ、ナミナとリーシオの四人は、王宮の一室にいた。

この後オレ達は、玉座の間に行く事になっている。受勲の儀に出席するためだ。

簡単に言えば、国王から勲章を受ける儀式らしい。

この今回の受勲の儀が行われるきっかけとなったのが、第二王子ヘンスードとの面会だ。

ヘンスード王子が進言したらしい。

「今まで、マサノリ殿が各地で魔物討伐の働きをした事を考えれば、勲章の授与くらい当たり前です!」

ヘンスード王子は、そんな事を言っていた。

リーシオ曰く、オレが勲章などを受け取っていれば、国家として魔物討伐の援助をする大義名分ができるらしい。

まあ、反対派を黙らせる事ができるのだそうだ。

それにしても、これからオレ達は、マンガやアニメなどでよく見る、王様が奥に座る玉座の前に行くみたいだ。

その上、大勢の貴族の前で王様と話すとか、緊張して当たり前だ。

「皆は緊張とかしないの?」

オレは、三人に聞いた。

「受勲の儀ははじめてですが、私達三人は、騎士団や魔術師団に入る時に、一度玉座の間で国王と謁見していますから」

リーシオが落ち着いた口調で言った。どうやら、騎士団や魔術師団に入る時、入団式のような事をするらしい。

その任命は国王自らがする。つまりは、三人の場合、受勲ははじめてでも、一度は似た経験をしているという事だ。

「フフフ!」

三人は、オレが緊張しているのを楽しそうに笑っていた。

「そろそろ、お時間です!玉座の間におこし下さい!」

そんな話をしていると、オレ達が控えていた部屋に係りの人間が来て、声をかけて行った。

オレは、さっきよりもさらに緊張していた。




玉座の間の扉が開いた。赤い絨毯が玉座まで続いている。正面には玉座があり、国王が座っていた。

周りには貴族らしき人達が、赤い絨毯を囲むように立っていた。

「ほら!頑張って!」

ニナがオレの横で囁いた。

「ああ、うん、わかってる!」

オレは、小声で答えながら、赤い絨毯の上を歩き始めた。

「王国東北、並びに北方における魔物の討伐!そして、穢れの地の浄化を成された、マサノリフジモト殿!そして、その支援をされたニナ・フォルス、ナミナ・ワウメザール、リーシオ・クルボンの三名、入場でございます!」

オレ達が、玉座の間を歩き始めた時、玉座の近くにいた貴族風の人間がそう言った。

周りの貴族が少しざわついている。オレ達は、さらに進み国王が鎮座する玉座の前まできた。

そして、オレ達は片膝をついてひざまづく。

「面を上げるがよい!」

玉座に座る国王がそう言ったのを聞いて、オレ達は顔を上げた。

「マサノリフジモトと従者達に、東北、北方における魔物の討伐!並びに、穢れの地の浄化をした事を讃え、勲章を与える!」

国王が、オレ達を見つめながら、そう宣言した。オレは、少し呆けた状態になったが、すぐに我に返り答えた。

「謹んで、お受けいたします!」

オレが、そう言った瞬間、周りの貴族達からは歓声のような声が漏れ、拍手が鳴り響いた。

それ以降は、勲章の授与などが行われたが、あまりの緊張のため、オレの記憶からはスッカリ抜け落ちてしまっていた。




「このような所に呼び出して申し訳ない」

そう言ったのは、さっきまで玉座に座っていた国王だった。

「いえ!そんな…」

オレは、モゴモゴしながら答えていた。今、オレ達四人は、国王の執務室にいた。

受勲の儀の後、オレ達はこの部屋に呼ばれていた。

オレ達四人だけでなく、ゲランさんやガイム団長、第二王子のヘンスードもいた。

「改めて今回の事、この国を治める者として感謝する」

国王は、オレ達に向かってそう言った。

「いえ、そんな、当たり前の事をしただけなので…」
オレは、よくマンガなどで主人公が言う、使い古されたセリフを言った。内心苦笑してしまった。

「いや、君に関しては、今まで私達は失礼な態度をとってしまっていた!命すら狙う者がいたとも聞く!本当に申し訳ない事をした!」

そう言って、国王は頭を下げた。

「顔を上げて下さい!」

オレは、そう言っていた。

「そして、この謝罪が公式にできない事を、さらに謝罪する!」

「いえ、大丈夫ですから!気にしていませんから!」

オレは、この状況にあたふたしていた。第二王子のヘンスードの時もそうだったが、公式の謝罪はできない状況らしい。

貴族社会や王族のしがらみだろう。色々と国王にも事情があるようだ。

「その上で、恥を忍んで頼みたい!魔物の討伐の助力をお願いしたい!」

そう言って、国王はまた頭を下げた。オレ達は、国王やヘンスードから話をされるまでもなく、そのつもりだった。

ただ、これからは、国家が後ろ楯となる。当然、魔物討伐は今までよりスムーズに実行できるだろう。

それだけ救える人が増えるという事でもある。

「顔を上げて下さい!オレ達は、この国の人達を守りたい!オレからもお願いします!魔物討伐にご助力下さい!」

オレは、そう言って国王に頭を下げた。この非公式の国王の謝罪は、公には一般に知られる事はないはずだった。

しかし、数日後には、王宮内だけでなく王都全域に噂として広まっていた。

これには、オレのような素人にも意図的なものを感じた。

つまり、この情報を外部に漏らした者がいたのだ。

しかし、これによって、オレの行う魔物討伐は、暗黙のうちに、国家の事業として認められる事となった。

おそらく、そうなる事を見越して、何者かが情報を拡散したのだろう。

こうして、国家事業としてのオレ達の魔物討伐が始まった。

これを、王宮内の貴族や王族、王都の人々の多くが歓迎した。

そうだ、ここではじめて、オレ達は国家や民衆に認められたのである。





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