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姉さんとの話し合い
しおりを挟む「皆、鎮まりなさい」
「はっ!」
姉さんが、そんな皆に対して声を掛けると、ハーロルトさんは直立不動になり、ヒルダさんは一礼して黙る。
モニカさん達は……喋るのを止めたくらいか。
「そう言えば、授与式はどうなったの?」
「リクさんが倒れてから大変だったのよ。参列者は騒ぎ出すし、女王様はリクさんから離れようとしないしで……」
「ヒルダさんが来て引き剥がしてくれるまで、ずっとリクの事を呼び続けてたからな。それだけ必死だったんだろう」
「授与式の方は、章飾を受け渡すところまで進行していたので、授与は完了したという扱いになっています。最後の混乱は有りましたが、無事終了しました」
「この後の、参列者の方々への説明が大変でしょうが……」
俺が気を失ってしまった後、授与式がどうなったのか聞いた。
モニカさんやソフィーさんは、姉さんをチラリと見ながら状況を説明してくれる。
ハーロルトさんは、授与式が完了した事を教えてくれた。
ヒルダさんは、溜め息を吐きそうな雰囲気だけど……確かに参列していたお偉いさん達になんて説明すれば良いのか、頭が痛いね。
「それよりリク、色々説明……してくれないかしら?」
「授与式の事より、今はこの状況の事だな」
フィリーナとアルネが姉さんを見ながら疑問顔だ。
まあ、いきなり国の最高権力者……女王様が俺を親しそうに呼んだりすれば、どういう事か気になるよな。
んー、どこをどう説明するか……。
「ちょっと待って。……姉さん、こっち」
「ん? どうしたのりっくん?」
部屋の隅に姉さんを呼んで、相談する。
「どこまで言って良いと思う? 異世界から来たとか言っても信じてくれるかな? モニカさんとソフィーさんは知ってるけど」
「そもそも私、りっくんが何でここにいるか知らないんだけど? 聞いた事ある名前だなぁとは思ってたけど、まさか本物のりっくんだとは思ってもみなかったわよ?」
「まぁ、それは俺も同じだね。姉さんがこっちに来てるなんて知らなかったし……しかも国の女王様になってるなんて……ふむ……」
皆に説明する前に、お互いの状況を把握しておかなきゃいけないようだ。
でもそのためには……ユノを起こさないとな。
「姉さん、まずは俺と……あそこで寝てるドラゴンと女の子だけで話そう。それで俺の状況も理解できると思うから」
「……わかったわ。しかしりっくんは小さな女の子が好みだったのね……姉さん悲しいわ……」
「違うから……とにかく、人払いをしよう」
まずはお互いの認識をしっかりする事が大事だ。
じゃないと、何を皆に話して良いかわからないし、不味い事を話してしまうかもしれないからね。
姉さんは、一応女王様らしいから、言ってはいけない事もあるかもしれないし……。
「ふぅ……久々のりっくん……んんっ! 皆の者、詳しい事情はまたいずれ。まずはりっく……リクと話し合う事にする」
姉さんが皆に声を掛け、部屋から出て行くように促す。
女王陛下直々に言われたら、当然皆いう事を聞かざるを得ないよね。
最後に残ったヒルダさんが、俺達のお茶を淹れてくれた後、退室して部屋には俺と姉さん、あと寝ているユノとエルサだけになった。
皆、出て行く時不満顔だったけど……後で説明するから、少しだけ我慢してね。
「さて、まずは起こさないと」
「気持ち良さそうに寝てるわねぇ……でもこっちの……ドラゴン? はりっくんの好きそうなモフモフね」
「俺がモフモフ好きになった原因って、姉さんなんだけどな」
「そうだったっけ? まぁそれは良いわ。どうやって起こすの?」
俺が小さい頃、姉さんとの色々でモフモフが好きになってしまった。
姉さんは気にしていない様子だが、俺にとっては人生を変える程の衝撃だったんだけどなぁ。
おかげで今では、モフモフが無いと落ち着かなくなってしまった……。
それはともかく、今はエルサ達を起こさないと。
「おーい、エルサ、ユノ、そろそろ起きろー」
ソファーで寝ているエルサとユノを、揺さぶりながら声を掛ける。
……おかしいな、いつもならすぐ起きるのに。
「起きないわね?」
「んー、何でだろう……いつも寝起きは良いはずなんだけど。おーい、エルサ、ユノー?」
「ん……」
「……なんなのだわー?」
「お、起きた」
再度声を掛けながら、今度は少し強めに体を揺さぶるってようやく起きた。
でもまだ眠そうだ。
「起きたか、エルサ、ユノ?」
「……まだ眠いの」
「大変だったんだから、まだ寝かせるのだわー」
両方まだ寝ていたいようだが、今は寝ている場合じゃない。
色々と把握しなきゃいけない事が多いからね。
しかし、エルサが言う大変だった事ってなんだろう?
「可愛いわねぇ……小さい頃のりっくんを思い出すわぁ」
「俺、こんなに寝起き悪かったっけ?」
昔を知ってる姉さんだけに、少しだけやりづらい。
「んー……起きたの!」
「仕方ないのだわ、起きるのだわ」
「おはよう」
ソファーから起き上がって、伸びをするユノ。
ようやく起きたようだね。
「リクのお姉さん、久しぶりなの!」
「え? 私はユノちゃん……? にはあった事無いはずなんだけど」
「ユノは姉さんを知ってるのか?」
授与式にはユノもいたから、見ているのは間違いないが……久しぶりと言うのはどういう事だ?
「それにはまず私の事を説明しないといけないの。良い、リク?」
「そうだな……姉さんがここにいる理由も聞かないといけないし、仕方ないな」
「ユノちゃんに何があるの? 見た感じ普通の女の子にしか見えないけど」
俺の事を説明するためにも、ユノの事は教えておきたい。
姉さんの事にも関わってるみたいだしね。
「姉さん、すぐに信じられないと思うけど……ユノはね、神様なんだ」
「え? りっくんの言う事だから、信じてあげたいけど……ちょっと何を言ってるのかわからないわ」
そりゃそうだ、いきなり神様とか言われてもすぐに信じる事なんて出来ないと思う。
特に、俺や姉さんのような日本に住んでた人なら尚更ね。
「本当なの。今はちょっと違うけど、ユノは元々神だったの!」
ユノが姉さんにそう言って、ユノの事、俺がこの世界にいる理由を姉さんに話した。
姉さんは、俺がトラックに轢かれるという所で取り乱しかけたが、死んだわけでは無いと聞いて安心したようだ。
しかし……そこで姉さんが取り乱すのか……まぁ、仕方ないと言えるのかもしれないな……。
「そう……そんな事があったのね……。ユノちゃん、りっくんを助けてくれてありがとう」
「気にしなくて良いの。元々私が助けられたの」
「信じてくれたかな?」
「そうね……正直信じられない話だとは思うけど、信じないといけないわね。私自身がここにいるんだもの」
「そうだ、姉さんは何でこの世界にいるんだ? しかも、女王様だなんて……」
俺とユノの事を全部話して、姉さんは信じてくれたようだ。
しかし姉さんの方は、何故この世界にいるのだろう?
見た目とか、記憶にある姉さんとは全く違うし、女王様なんて事をやっているし……まぁ、以前も美人だった事は、弟から見ても間違いなかったけど……。
……でも姉さん、俺の記憶が確かなら……あの時……。
「リク、思い出したの?」
「……あぁ、思い出した。姉さんがどうして日本にいなかったのかを……」
「まぁ、会えば思い出すと思ってたのだわ。けど、辛い思い出だから出来れば、思い出して欲しく無かったのだわ」
「ユノとエルサは知ってたのか……ありがとうな、気遣ってくれて。でも大丈夫。思い出して、姉さんもここにいる。辛い事は乗り越えられるんだよ」
「それならよかったの」
「さすが私の契約者なのだわ」
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