神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
765 / 1,955

エルサにキューをあげて冒険者ギルドへ

しおりを挟む


「よし、とりあえず荷物は置いたから、皆と合流しよう」

 宿に入り、個室で持っていた荷物を置く。
 あとはフランクさんに報告へ行くだけだから、一応剣を下げるくらいで特に荷物は必要ないからね……最低限のお金は持っているけど。
 本当は、報告後にブハギムノングへ行って一泊するかなと思っていたんだけど、補修はしてあっても穴だらけになっているテントを新調するため、今日はルジナウムで過ごす事になった。
 ……荷物を置くだけなら、ルジナウムに留まるモニカさんやユノの部屋に置いてもらおうかと思っていたんだけどね。

 宿を取る際に、受付をしてくれた人から「街を救った英雄様からお金は取れません!」なんて言われたけど、そこは商売なんだからと、きっちり宿代は払わせてもらった。
 さすがにちゃんとした商売をしている宿屋に、無償で止まるのは気が引けるからね。
 ちなみに、ずっとユノ達が止まっていた宿ではなく、それなりに値が張るいい宿になっているんだけど、それはここ数日ずっと野営ばかりだったから、たまには少し贅沢を……という事で、ソフィーとモニカさん、さらにエルサの意見が合った。
 まぁ、おかげでそこそこ広めな男女別のお風呂があったり、言えば貸し切りにしてくれるんだけど。

「お風呂に入りたいのだわー」
「ははは、まぁ今日の夜にでもしっかり洗ってあげるから、今は我慢だ」
「……むぅ、だわ。代わりにキューを要求するのだわ!」
「もしかしなくても、キューを食べたかったから言い出したとかじゃないよな? まったく……」

 部屋の外に出る前に、エルサが頭にくっ付いたまま急に話始めたと思ったら、お風呂を我慢する代わりにキューの要求……狙ってたな。
 宿を変えるのにエルサが同意した理由は、ゆっくり入れるお風呂のためなんだろう……野営中はお湯に浸かったり体を洗ったりはできなかったわけだし。
 移動だったり、逃げる男を追いかけたり、さらに兵士さん達を相手に試乗会をしたりと頑張ってもらったので、仕方ないなと思いつつ、今置いたばかりの荷物から残りのキューを出して渡す。

「そのまま食べてもいいけど、涎は垂らさないでね?」
「保証はできないのだわ~」
「はぁ……おっと、のんびりしてたら皆を待たせちゃうか。買い物をしないといけないから、急がないと。キューも買わないともうなくなっちゃったし」
「キューは、何事においても最優先なのだわ!」
「はいはい、わかってますよ」

 エルサに注意しつつ、部屋を出て扉の鍵を閉める。
 最近は慣れたのか、キューを食べていてもよだれを垂らす頻度は減ったけど、絶対ないわけじゃないから、止めて欲しいんだけど……こればかりは仕方ないか。
 溜め息を吐きながら、皆を待たせないように階段を降りて宿のロビーへ向かった。
 フランクさんへの報告以外にも、テントを新しくしないといけないし、のんびりしてたら日が暮れてしまうからね――。


 宿で皆と合流した後は、冒険者ギルドに向かう。
 道中、ユノにエアラハールさんがトラブルを起こしたりしていなかったかと聞いたら、やってしまいそうだったので、ここ数日は剣を抜く事を決めたそうだ。
 さすがにエアラハールさんでも、ユノに剣を抜かれたらたまらないため、自重するようになったらしい。
 ……だから、再会した時俺と話しながらも剣の柄に手を当てて、いつでも抜けるようにしていたのか……トラブル防止のためとはいえ、街中で危ない事はないように願いたい。

「すみません、フランクさんは……」
「リク様! お待ちしておりました。先んじて、フィネさんが戻って子爵様と会っております。こちらへ……」
「よろしくお願いします」
「ワシは、堅苦しい話はしたくないからの。ここらで適当にしておるわい」

 冒険者ギルドに到着後何度も来ているから、俺の顔も覚えられているしフランクさんがよくいる部屋への行き方もわかるけど、わざわざ案内してくれるようだ。
 受付の女性について行こうとすると、エアラハールさん、ソフィー、ユノはこの場に残るとの事。
 まぁ、偉い人となるべく接したがらない様子を見せるエアラハールさんはともかく、ユノは見張りで、ソフィーは適当にギルドへの依頼を確認して近況を調べるつもりみたいだね。
 ブハギムノングへの移動や、王都へ帰る予定も考えると、以来を受けたりはできないけど、どんな依頼があるかでなんとなく周辺の様子を探る事ができるらしい……エアラハールさんもいるから、そのあたりの話もするらしい。

 ……今後のために俺も参加したかったけど、フランクさんへの報告の方が重要だから、仕方ないね。
 ソフィー達を置いて、モニカさんと二人でフランクさんのいる部屋へ向かった……あ、エルサもいるよ。

「失礼します。ハーゼンクレーヴァ子爵様、リク様がお見えになりました」
「うむ」
「失礼します。フランクさん、報告に来ました」
「おぉリク様、数日ぶりです。フィネから簡単な報告は聞いておりますが……ノイッシュ殿も同席してよろしいでしょうか?」

 案内の女性は、フランクさんに声をかけた後部屋を出る。
 それを見送った後、フランクさんに声をかけて挨拶。
 座っていた椅子から立ち上がり、歓迎してくれる姿勢なのはいつも通りだけど、今日は部屋にノイッシュさんもいた。
 フィネさんはフランクさんの向かいで、今まで報告をしてくれていたようだ……他には誰もいないので、コルネリウスさんは今回同席しないようだ。

「ノイッシュさんもですか? でも……」
「リク様が懸念している事はわかります。ギルドと国との関係ですね。ですが、同席する条件として、ノイッシュ殿からは口外しない、冒険者ギルドとしての考えを持ち出さない、と約束して頂いております」
「ギルドとしてではなく、という事ですか? それならまぁ」
「実は、ノイッシュ殿はリク様が今回何をしていたのか……というのは知っているのですよ。というより、情報共有と協力のために、私の独断で話させて頂きました。……もし、女王陛下の意向に背くと判断されたのであれば、処罰を受ける所存です」
「いや、そこまで大事ではないと思いますけど……」

 元々、冒険者ギルド側に今回の目的やら何やらを知られないようにしていたのは、冒険者が国の軍に強力するからという事。
 自由意思が尊重されるから、絶対ダメではないんだけど、姉さん達の国側から持ちかけられた話なので文句は言われる可能性が高いと、内緒にしていただけだからね。
 絶対に知られちゃいけない! とか、情報を漏らす者は徹底的に処分する! と言う程ではない……と俺は思っている。
 だから、国に対してギルド側が何かを言ったり働きかけたりする事がないのであれば、問題はないはずだ……多分。

「まぁ、約束もしているから、俺からは何もうるさく言うつもりはない。ギルドマスターとしては言わなきゃならんが……ここにいるのはただのノイッシュ個人であると思ってくれ」
「ギルドは他国にも広がる組織……情報を共有し、協力をしていて損はないですからな。……よろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ。ギルドマスターとして何も言わない、という事であれば問題はないと思います。まぁ、本来怒られるのは俺なので、それがないのであれば大歓迎です。意見は多くあった方がいいですからね」


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...