1,093 / 1,955
結界を貫通する閃光の対処法
しおりを挟む「考えるのは結構だけど、どうしようもないわよ?」
「さて、本当にそうかな?」
俺が想像するモニカさんを打ち消すように、こちらを試すかのように言う破壊神。
確かにどうしようもない……と思う状況で、エルサも怯えている様子だけど、一つ気になる事があった。
「だったら、どうしてさっきみたいに笑っていないんだ? つまらなそうにして、見切りをつけたって感じじゃないように見えるけど?」
「……少し、ほんの少しだけ魔法に驚いただけよ」
本当に驚いただけなのだろうか?
破壊神の表情、それは先程つまらないと言った時と同じ無表情なんだけど、どこか違う印象を受けた。
先程のはおもちゃを失くした子供のような、拗ねたのに近いつまらなさ……でも今は、どちらかというと何かを隠しているような、面白さではなく焦りとかそういった何かを押し殺しているような無表情だ。
破壊神の事はよく知らないけど、ユノはこの世界で再開してから見て来たから、なんとなく……そう、ほんとになんとなくだけど違いを感じた。
「確かにさっきは大笑いしていたけど……ん、待てよ?」
「どうしたのだわ」
「いや、ちょっとね……」
笑いそのものは、余裕さとか俺が使った魔法の思い切りが良すぎたからとかだろうけど……存在の次元が高い神で、多少の事じゃ傷付かない体……か。
ユノはほぼ人間らしいけど、それ以外に俺は破壊神と同様の存在と会った事がある。
いや、破壊とかではなくて、神としての存在と……。
「そうか、アルセイス様……」
「何をブツブツ言っているの? 今度はこちらから行くわよ、そろそろ終わりにするべきでしょうから……ねっ!」
「うぉっと! くそ、落ち着いて考え事もできない!」
「命を狙っている相手を目の前に、落ち着いて考えに没頭できるわけないでしょう? ほら、当たったら痛いわよ?」
「うぉ! ぬぁ!」
頭の中で、暢気なお姉さんの姿が思い出される……いや、本当に暢気というわけじゃないんだけど、雰囲気がリネルトさんとかと似ているんだよね。
ともかく、何かをひらめきかけた瞬間、破壊神が俺に向かって指先を向けたので、咄嗟に横へ飛んで避けた。
今まで俺がいた場所には、閃光と共に一筋の線……唯一残っていた俺の後ろにあった、洞窟の名残……壁が貫かれる。
その後も、俺を追うように指先を動かし、それから逃げるように飛んで跳ねて走って避ける。
閃光は、光ったと思ったら目標地点に当たっているくらいの速度なので、見てから避けるなんて事は不可能……指の動き、その先を避けるようにしなければ、とてもじゃないけど避けられない。
幸い、魔力も含めてまだ元気があるので避けられているけど……それもいつまで続くか。
「くっそ! こう立て続けに打たれたんじゃ……! とぉ!」
破壊神を中心に円を描くように走りつつ、そのままでは避けられそうにない場合は、飛んで避ける、跳ねて避ける、しゃがんで避ける。
とにかく無理やりにでも体を動かして、閃光は放たれるより前に避けるの繰り返し。
閃光はどうやら、放つ瞬間は指を固定しなければいけないらしく、俺が反応して避けた先に指を動かされる事はないのが救いか。
「あははは! 結構面白いわねこれ。ほらほら、ちゃんと避けないと当たるわよ?」
「あぶっ!」
楽しそうに笑う破壊神は、先程俺が指摘した様子もなくなり、本当に面白がっているようだ……遊ばれているようで、悔しい。
もしかすると、本気で当てるつもりじゃないのかも? という考えも一瞬だけよぎるけど、お腹の辺利を狙われてそれも打ち消された。
本気でやれば俺が避ける先を予測して放つ事もできるかもしれないけど、今のところその様子はないのでこの間に方策を考えないと……。
「光を反射っと! でき……れば! ん? そうか……成る程!」
「何を考えているか知らないけど、無駄よ!」
「それはどうかな……? っと!」
というか、俺が強く考えている事って向こうに伝わっているはずじゃ……? もしかして、真似た神の御所だから何かをしようとしている時は、読めなかったりとか?
まぁ、理由はなんであれ、不完全ならそれは俺にとってはありがたい。
閃光を避けるのに精いっぱいになりながらも、なんとか考えをまとめる。
結界は不可視で強固な壁だけど、光は通してしまうから意味はない。
でもよくよく考えれば、先程俺が避けた時に壁に当たった際には、壁を貫通して穴を開けていた……結界を通って俺に当たった時は、火傷をしたくらいなのにだ。
さすがに、俺は魔力で硬いらしいけどその影響だけとは考えにくい。
それと、さっき考えた反射……光だから鏡にでも当てれば反射するはず、というのを考えれば……そうか!
「一か八か!」
「ん? ついに疲れて諦めたのかな? まぁ、ちょっとつまらないけど、いつまでも追いかけっこは続けられないわよね」
足を止めて、破壊神に体を向けて閃光が放たれるのを待つ。
こちらが観念したと思ったのか、口角を上げて指先を向ける破壊神……生憎と、まだ息切れすらしていないから、疲れたわけでも諦めたわけでもない。
でも、ずっと追いかけっこを続けられないのは同感だ、と考えながら即興で魔法のイメージをする。
爆裂の魔法は、ただ魔力任せに爆発させるだけだったから簡単だったけど、今回はちゃんとイメージしないと駄目だ……失敗したら、あの閃光が俺を貫いてしまうだろう。
「一思いに貫いてげるわ!」
「……反射鏡!」
指先から、光が生まれる……その瞬間に練り上げた魔力を使って、イメージを解放。
破壊神と俺の間に魔法の壁を生成。
それは真っ直ぐな壁ではなく、結界を歪ませた即興で作った鏡……みたいな物。
「そんなっ! 光が逸れた!?」
「やっと、驚いた顔が見れた。爆発させた時は、声しか聞こえなかったからね」
狙い通り……とまではいかなかったけど、魔法の壁のおかげで俺に向かう当たるはずだった閃光は、立ったままでの俺の数十センチ横を通り過ぎた。
イメージが甘かったのか、鏡と言うより光を屈折させて直撃を避けただけみたいだけど、それでも十分破壊神を驚かせる事には成功した。
一番の成功は、閃光に当たらなかった事だけど。
「な、何をやったの……? ただ結界を張っただけに見えたのに」
「リ、リク! さっき結界は無駄だって……!」
「結界のようだけど、ちょっと違うんだよエルサ」
戸惑っている様子の破壊神に、驚くエルサ。
俺が使った魔法は、結界を元にはしているけど別の魔法。
光は屈折したり反射したりするから……形はハウス化でドーム状の結界に慣れていたおかげで、曲面にできた。
まぁ、光の反射率とか屈折率とかまで、細かく計算できる状況じゃなかったし、鏡をイメージして歪みを持たせてさらに分厚くする。
そうする事で、上手くいかなくても直撃は避けられるようんなるんじゃないかって。
本当は鏡をイメージして、完全に別方向へと反射させるつもりだったんだけど……結界をイメージの基礎にしているせいなのか、透明で不可視の壁になっちゃったからね。
結果は閃光が貫通してしまったけど、直線のはずが途中で曲がって俺には当たらなかった。
直撃しなかっただけでも、咄嗟に考えたにしては上出来だ……これで多少考える時間ができるし、次は一度使った魔法だからもう少しちゃんとイメージができるはず――。
0
あなたにおすすめの小説
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる