神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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強い力に流れ込む負の感情

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 ウォーさんやウィンさんの話で、エルサやユノも感じていた、気持ち悪い気配と悪い力は同じだろうとの事。
 その悪い力には、現状で魔力にすらなっていないただの意識や感情が集合したものらしく、基本的には干渉する事は不可能。
 大量の魔力を使えば干渉も可能だろうけど、そうするにはセンテが吹き飛ぶくらいの事をしなければならないだろう……と言うのがアーちゃんの意見。
 意見を言う時、男性的なその土の体をいちいちくねらせるのは、目を逸らして見ないようにしておいた。

 ともかく、大量の魔力なら俺がとも思ったけど、センテを吹き飛ばすなんて対処法を取るわけにはいかない。
 ウィンさん達も俺ならそうだろうと考えたうえで、センテから離れるのが一番だと結論付けたようだ。
 そしてそのウィンさん達……スピリットなら、ある程度はその意識や感情に干渉する事が可能なのだとか……ここも、色々難しい説明をしてくれたけど、一割も理解できたかは怪しい。
 ま、まぁ、精霊なら干渉できるって事でいいと思う、多分。

「で、実際その悪い力……意識や感情の集合って一体なんなの?」
「人や魔物。生きている物が全て持っている、意識。そして感情。あ、感情というのは、喜怒哀楽とかそういうものですね」
「人間や俺達が魔力と呼ぶものは、その意識や感情からなんだ。まぁ、そのままじゃ使えないから、人間などの生き物は体内で、自然は集合させて魔力になって行くんだが」
「それ以外にもあるけど、それは生き物の場合ね。自然の魔力と呼ばれるものは、意識や感情の集合体が変換された物と考えて、差し支えないわよぉ」

 つまり、生き物の意識と感情が自然に溶けだす、もしくは発散される事で、どこかに集まっていずれ魔力になるって事でいいのかな?
 生き物に備わっている魔力は、体内で他の要素も取り込んで魔力になるみたいだけど、自然の魔力は大体そんな感じで作られると。

「だから、その体内の魔力をドラゴンとの繋がりで混ざり、上質な魔力にする事で、ご主人のような魔法の使い方ができるってわけだ」
「意識とより密接に繋がった上質な魔力、そして自分の体内にある事で制御する事ができるため、イメージを魔法にできるわけです」
「な、成る程……?」

 自然の魔力とは違って、人間の魔力は色々な要素も組み合わさっていて、さらにドラゴンと契約する事で、他の要素も混ざった結果、イメージを魔法にできるようになると。
 うん、まぁ、なんとなくはわかったかな。

「そして、今主様に向かっている悪い力は、人や魔物などの意識ある生き物が発した負の感情」
「負の感情? えっと、妬みとかそういう?」

 負の感情とというのはよく聞く言葉だ。
 あまりいい意味で使われる事がなく、だからこそ負と呼ぶのだろうけど。
 大体は、妬みや嫉み、憎しみ悲しみとかが当てはまる……多分、この世界でもそういった認識は変わっていないと思う。
 一応、聞いておこう。

「そうです。今回は、恨みや憎しみが強いようです。おそらく、周辺で魔物の討伐が活発になり、さらに魔物が押し寄せて人間もやられたりとした事が原因かと」
「生き物が強く感情を発露する瞬間の一つは、死なのよねぇ。だから、その瞬間何者かに向かって、恨みの感情を持てば、それは強く周囲に発散されるのよ」

 恨みや憎しみの感情……そりゃ、魔物に殺された人や残された人は、魔物を恨んで憎むだろう。
 魔物も、本能が主な行動理由だったとしても、そういった感情を持っていてもおかしくない。
 死ぬ瞬間が一番感情を発露するというのも、なんとなく理解できる。
 魔力と意識や感情が繋がっているなら、探知魔法を使った時に、生き物が絶命した後周囲に魔力が霧散していくような感じだろう。

「魔力溜まりなら、どんな感情がもとでも既に魔力に昇華されているから、特に気にする必要はないのですが……」
「まぁ、生き物からしたら、それもバランスが崩れて一概にいい事とは言えねぇがな。それでも、感情がそのままになっているよりはマシだ」
「えっと……それじゃ、その負の感情を大量に詰め込んだ悪い力が、このままだと俺に流れ込んで来るって事でいいんだよね?」
「その通りよ、主様。負の感情、それらはまだ世界に認められていない……要は、たゆたう事を許されていないの。だから、より大きな何かと合わさって、魔力になったり別の何かになる事を求めるのよ。そして、今このセンテ周辺で一番大きな何か……というより、魔力を持っているのは間違いなく主様なのよ」
「水が高い場所から低い場所へ流れるように」
「風が、違う温度へと流れるように吹くのも、です」

 俺の魔力は、人間よりもかなり魔力量の多いエルフでも驚く程らしい。
 そしてここ最近、さらにその魔力量が増えている……つまりこの周辺で今一番強い力、魔力を持っているのは俺っていう事になるわけだ。
 ウォーさんやウィンさんも言っているように、不確定な存在で今センテに渦巻いている負の感情は、強い力に引かれるわけで……アーちゃんも頷いたけど、強い力を持つ俺が引っ張っているような状況って事か。
 ん、待てよ……? 負の感情?

「……そういえば」
「どうかされましたか、召喚主様」
「いや、ちょっと……なんとなくだけど思い当たる事があって……」

 はっきりとは思い出せないのだけど、夢のように感じていた何か……寝ている時に見ていた何か。
 起きている今は、ぼんやりとしか頭に残っていないんだけど、それらは俺に対してではなく何か別の物に対して、憎しみを持っていたんじゃないかと思う。
 こうして、スピリット達の話を聞いてからだから、そちらに考えが引きづられているのかもしれないけど。

「それは、おそらく間違いなくご主人に少しずつ流れ込んでいる影響だろうよ」
「おそらくなのか、間違いなくなのか、はっきりしなさいウォーター。――召喚主様に呼びかけている時、確かに負の感情の影響を感じました」

 スピリット達に話してみると、全員が頷いた。
 ウォーさんやウィンさんだけでなく、アーちゃんやエルサのモフモフを撫でているフレイちゃんもだ。
 となると、おぼろげに変な夢を見たなぁ……と思っていたあれは、今センテを渦巻いているものが原因だったのか。

「夢とは言えない、でも無意識での影響ね。他に何か、思い当たる事はあった? 感情が高ぶるとか……魔力が異様に多いとか。いえ、主様は元々魔力量が異様に多いから、あまり関係ないかもしれないけど」

 ついには、精霊であるはずのアーススピリット、アーちゃんにまで魔力量が異様に多いと言われてしまった。
 まぁ、今更だけど。
 自分でも、最近は特に魔力をはっきりと自覚できるようになった影響もあって、体内にとんでもない魔力があるのはわかっている。

 探知魔法で、他の人の魔力量もなんとなくわかるから、それと比べてね……人がコップ一杯の水くらいの魔力量としたら、俺はダムいっぱいに溜め込まれたような魔力量……いや、それ以上だ。
 そりゃ、異様に多いと言われても仕方ないよね――。


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