1,299 / 1,955
強力な魔物ひしめく中を突き進む
しおりを挟む「はぁっ! せいっ! うん、問題ないみたいだ」
横からロジーナの隙を狙っている魔物など相手に、魔力放出モードで斬り伏せたり、突入する直前に献身を伸ばしたおかげだろうか、剣その物に吸収できる魔力に空きができたようで、問題なく消滅させられる。
さすがに試していないけど、そこらの魔物の魔力を吸収すると上限値とかになりそうなので、今は基本的に魔力は放出させておいた方が良さそうだ。
俺へ流れて来る魔力の他に、剣そのものが蓄積させる魔力もあるみたいだからね。
まぁ、悠長に魔力を吸収させている暇がないってのもあるけど。
それに魔力吸収の方に頼っていて、いざって時にさっきのレムレースみたいに吸収速度が遅くなったり限界を迎えないようにしなきゃいけないから。
「礼は言わないわよ、リク!」
「いや、むしろこっちがお礼を言いたい方だよ!」
なおも剣を振り回しながら、こちらに声を掛けるロジーナ。
それに応えつつ、横から突っ込んできたキマイラを斬り、飛んで来た魔法を斬り払う。
俺一人だったら、もっと強引に魔法をまき散らしながらになるから、ロジーナがいてくれるのは本当にありがたい。
魔物の集団に突っ込んで中央のヒュドラーに向かっていた時よりも、進みが早いからね。
「……リク、見えているわね?」
「うん」
自分の体よりも大きな剣を軽々……多少アンバランスになりながらも振り回すロジーナが、ふと進みを遅めて言った。
魔物達の囲みの向こうから飛び込んで来る魔法を斬り払いつつ、ロジーナに速度を合わせながら頷く。
俺達を囲む魔物達の向こう……進行方向から少し南にズレた辺りで、さっきからいくつもの細い線のような光が見えていた。
「魔物に向かっているね。光が曲がるのはなんか不思議だけど……」
空へとに伸びる細い光……赤いそれは山なりになって、魔物達へと降りる。
まだ距離があるためにはっきりとは見えないけど、魔物達がひしめく場所の上で赤い光が消えて波上に、そして円形に広がっているようだね。
赤い光……糸のようにも見える程細いから、赤い糸? いや、運命の人と繋がっているとかじゃないだろう、いくつも別方向に迸っては消えているし。
紛らわしいから、赤い光のままでいいか。
「あれは魔力ね。直接関わっていないから予想でしかないけど……魔物を操作するために、魔力を飛ばしているんだと思うわ。リクみたいに、魔力を固めてそのまま攻撃とかじゃないはずよ」
魔力を固めてって、魔力弾の事か。
離れて見ているだけだから、赤い光がどれだけの魔力を含んでいるのかどうかまではわからないけど……魔力弾程じゃないのは間違いないんだろうね。
あれは、本来変換されて魔法になる魔力をそのまま、現象として放つもの……のような気がするから、凝縮して固めるのに必要な魔力量はかなり多い。
「でも、魔物を操作って……って事は、あの光の発生源に魔物を操っている誰かがいるって事?」
「おそらくね……あの子か、それとも別の誰かか……私が干渉して知る限りでは、何人か可能な人物がいるわ。予想通りなら、それが原因で私達の所にいたヒュドラーとレムレースや他の魔物達が、連携していたのでしょうね……んっ! リク、光が気になるのはわかるけど、集中しなさい!」
「っとと。ごめんごめん。とにかく、あそこに行ってみればわかるって事……だねっ!」
話をしながらも、別方向から飛んで来る魔法を避け、目の前の魔物に大剣を振り下ろして斬り裂くロジーナ。
謝りながら、意識を赤い光よりも戦闘の方へと引き戻し、ロジーナや俺に向う魔法、俺に突進してくる魔物のを倒す。
少しだけ先頭のロジーナが方向を変え、赤い光へと突き進みながら、また怒られないように頭の片隅で試行する。
ロジーナが知っている人物か……もしかしたら、帝国に関連している組織の幹部とかかもしれない。
何人か、という事は可能な人は限られているわけで、つまり誰でもできるわけじゃないのは魔力量とかが関係するんだろう。
だから、組織の関係者がいるのだとしたら幹部級……ツヴァイやクラウリアさんのように、魔力譲渡で無理矢理保持できる魔力量の上限引き上げられた人である可能性が大きい。
という事は一連の魔物騒動というか、センテを取り囲んだ魔物達をけしかけた首謀者がいるかもしれないわけで。
少なくとも、今回のヒュドラー含めた強力な魔物を使ってというのは間違いないだろうね、ロジーナの予想通りなら断続的に続いている赤い光で、魔物達を操作しているようだから。
中央や北側では魔物の連携が見られなかったのは、赤い光がそこまで届かないからなのかもしれない。
リネルトさんが空から見た、怪しい場所から指示を出していて、だからこそ周囲の魔物が強く警戒して寄せ付けなかったのかもね。
なんにせよ、センテ全体を囲んでいた魔物達の時は、けしかけた何者かはすでに生きていなかったみたいだけど、この先にいる何者か今確実に生きている。
捕まえれば、重要な情報の参考人になると思われる……情報のあるなしに関わらず、魔物に指示を出しているのは止めないといけないけど。
それが、戦場全体にいい影響を与えるかはともかく、やる事は決まった。
「ちぃ! まったく、自分の周りに魔物を多く配置して、厳重に守っているってわけね。向こうは、私達が近付いている事もわかっているみたいよっ! くのぉっ!」
「そう、みたいだっ! ねっ! 近付くにつれて、魔物達の抵抗が強く……なるっ!」
「GAOOOOO!!」
「PIGYAAA!!」
魔物達に常に囲まれている状況に飛び込み、ひたすら赤い光が放たれている場所へと向かっている。
けど、段々と魔物達の囲みが狭まり、飛び込んで来る魔法の数や、襲い掛かる魔物も増えてきた。
さらには、俺達の頭上で赤い光が円形に広がった後からは、魔物達の連携も特にみられるようになった……やっぱり、あの赤い光が何かしらの操作をしているので間違いないようだ。
キマイラがロジーナに向かって飛び込み、斬り伏せられた瞬間さらに後ろからオルトスが飛び掛かる。
俺が頭上から降って来た魔法を消滅させたら、左右からほぼ同時に魔法が放たれたうえ、後ろから足の速いオルトスが噛み付いて来るなどなど。
これまではバラバラに襲い掛かって来ていた魔物達が、俺とロジーナを排除するという目的のために協力やタイミングを見計らうようになっていた。
襲って来る魔物をロジーナが斬り、次いで来る魔物を俺が輝く剣で斬り飛ばす。
魔法は避け、別の魔法は魔物を斬り裂いた勢いのままで振った俺の剣で消滅させる。
さらに俺へと襲い掛かる魔物は、ロジーナが大剣を真っ直ぐ口へと突き刺し、そのまま横に振って別方向から近付いていた魔物へと投げ飛ばす。
「ふぅ……これは、かなり手間ね」
「うん。でも、少しずつでも確実に進んでいるけど、面倒だね」
魔物の集団へと飛び込んですぐの頃みたいに、走るように突き進む事はできなくなっている。
けど、襲い掛かる魔物や魔法を着実に処理して、断続的に放たれる赤い光の発生源へ少しずつ近付いている。
間に魔物達がおしくらまんじゅうでもしているんだろうか、と言いたいくらいひしめき合っているため、正確な距離は測れないけど……あと二、三百メートルといったところだろうか――。
0
あなたにおすすめの小説
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!
胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。
主に5大国家から成り立つ大陸である。
この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。
この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。
かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。
※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!)
※1話当たり、1200~2000文字前後です。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる